オタク文化の切れの端

基本的にweb小説を紹介するブログです。普通のラノベも読みます。批評とかもします。たまに一般文芸とか映画の感想とか思ったこととかが入ります。

【小説紹介と雑談】『Garden of Clockwork』とSCPの話し

VRMMO。深淵に臨む。

 

 

おすすめ度☆☆☆☆

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています) 

 

 

 先に言っておきますと今回紹介する『Garden of Clockwork』はもう3年以上更新がないので、正直続きが書かれる可能性は低いことを述べておきます。それでも紹介する理由は面白いからです。というか個人的には未完結であろうが、それまでの面白さで評価してるので普通に紹介します。まあ完結した方がいいのはそうですけどね。

 この小説は概要にもあるVRMMO物にSCPの要素を混ぜた小説ですね。このジャンルのやつだとよく見られるスキルレベルのアレに戦闘→リソース回収・自身強化→戦闘の気持ちいいループ。序盤はそうやって進んでいくんですけどそのうちに説明の足りてなかった世界観が徐々に浮き上がってくる構成です。

 知らない人に為に説明しますと、SCPっていうのは報告書の体で異常な物、事、場所について創作しようというコミュニティサイトですね。正確に言うとちょっと違うんですがまあそれは置いといて。

 このSCPという創作物は元々海外の掲示板で発生したものなんですが、それがウケてじわじわ広がっていき、今では世界中で盛んに創作が行われてます。

 特徴としては報告書という体裁で、ここに創作されるものはSCPのフォーマットに則った実用的かつ客観的な文章で書くようにされていることですね。情緒的な主観などはなるべく排除されています。

 方向としては割とホラーな風味が多いですが、いろんなジャンルの報告書が作られていて、特に評価が高いものは良質のショートストーリーを読んだかのような読後感があって一コンテンツとしても非常に深い広がりがあってとても楽しめます。

 で一言で言えば『約束事に則って自由に創作しよう』というサイトのコンテンツな訳ですが、ここのコンテンツは基本的に二次創作OKなんですけど営利利用はダメというスタンスです。なのでSCPの二次創作ってこの内輪で止まりやすくて外にはあまり出てこないですね。前提を説明するのが面倒なのでそりゃあ好きな人で集まってるとこで消費しますよね。地産地消というか。まあそうじゃないと明らかにめんどくさいことになるのが目に見えてるので仕方ないです。

 しかしまあSCPの世界観って先人が10年以上練り上げてきたものなので、普通に魅力的なわけですよ。しかしながらSCPのサイトでストーリー的なものを描くのは結構厳しいし、営利目的も無理となると他のとこでもまあ出てこない。(ちなみに厳しい理由はいろいろあるんですけど説明するのが面倒なので省きます)

 そんな中でこの『Garden of Clockwork』はVRMMO物の路線にいれつつ、SCPの流れを上手に世界観に組み込んでいるのですごい。

 SCP自体が誰にでも創作できるけど、ちゃんと枠組みの中に入ってるかサイトにいる人たちで精査してね! っていう方式で各記事の面白さを担保してるんですけど、そのせいで自由なように見えて結構縛りが強いんですよね。味が強いというかSCPの要素を入れると下手なものは全部塗りつぶされちゃう。

 その辺りをうまく制御して自分の物語に落とし込んでいるのがこの小説のすごいところで、その当時はやっていたVRMMO物に組み込めちゃう作者さんはパワーが高いです。更新はもう望めないかもしれませんが、こういうのが好きな人には是非お勧めしたい小説です。

 

https://ncode.syosetu.com/n3889du/

【小説紹介と雑談】『リィンカーネーションダービー ‐新人トレーナーがんばる‐』と二次創作の面白さの種類

 その男には前世の記憶があった。
 その男が生まれ変わった世界にはウマ娘という存在がいた。
 だが、その男は競馬も競走馬もほとんど知らなかった。
 その男が新人トレーナーになった時、一人のウマ娘に出会う。
 そのウマ娘の名前はハルウララ
 競走馬をろくに知らないその男でも、聞いたことがある名前だった。
 だからこそ、その男はハルウララをスカウトした。
 そしてその男はハルウララを育成し始めて思った。
「え? 競馬を知らない俺でも名前を知ってるぐらい有名なんだし、ハルウララってすごいウマ娘じゃないの?」

 この物語はウマ娘を知らず、競馬もほとんど知らない凡庸な男がウマ娘の世界に転生して新人トレーナーとして頑張る話である。

※注意※
基本的にアプリやアニメ、漫画の設定を遵守するつもりですが、現状判明していない設定などは独自設定として描写しますのでご注意ください。
※注意※
作者は競馬の知識があまりありません。極力調べて作中で描写する予定ですが、間違っていたら「このニワカめ!」と罵ってからこっそり教えてもらえるとすごく助かります。
※注意※
アプリの面白さとアニメの感動とこのハーメルンに投稿されている数々のウマ娘SSに触発されて書き始めました。広く温かくゆるい心で読んでいただけると嬉しいです。

 

 小説紹介から引用

 

二次創作用おすすめ度☆☆☆☆☆

(二次創作おすすめ度 指標

☆5つ 純粋に完成度が高く、原作を知っているのならば間違いなくおすすめできる小説

☆4つ 原作をある程度知っていれば楽しめる完成度の高い小説

☆3つ 原作の知識が前提になっているものの楽しめる小説

の目安で付けています) 

 

 今回も前回と同じくウマ娘の二次創作ですね。ハルウララ(のちに他のウマ娘も)に焦点を当ててアプリ版のストーリーをベースに丁寧に描いています。アプリなどでは簡略されてしまいがちの一戦一戦に紡がれる思いが熱く描かれており、そこに至るまでのトレーナーとウマ娘の信頼関係や、ウマ娘同士の友情やライバル関係など、アプリ版では語られないもののユーザーが欲しかった物が描かれています。とても面白く読んでいます。

syosetu.org

 この辺りの需要があってそういう二次創作が結構出てるよねって話は前の記事でもやりましたね。要するにウマ娘のアニメでやってたようなキャラの深堀を他のキャラでもやってほしいという。実は私アニメまだ見てないんですが、特に二期の評判がいいらしいので今度見ようとは思っております。

 でまあ単純にウマ娘のストーリーってスポコン物として完成度がめちゃくちゃ高いんですよね。それを元々あるドラマチックな競馬史実から引用してIFを語れたり、夢の対決が出来たりするんですよ。そりゃ強い。

 スポコン物は根強く人気があったわけですが、ここにきてまた再確認されたなーみたいな気持ちがあります。この辺の話はやると長くなるので今度別記事でやるかもしれません。

 

 それとは別の話しなんですが、二次創作でおすすめの評価基準変えてみました。今はこの記事だけですが、あとで別記事も直しときます。たぶん。

 まあ二次創作ってどうしても原作が土台にあるわけなので、誰にでも勧められるってわけじゃないですよね。原作の前提を省略してたり、説明が省かれてたりすることが結構あるので、そこも難しい。

 そういう小説がつまらないというわけでもなく、むしろ原作をしっかり知っていればとても楽しく読めるものもあるわけで、他のオリジナル小説よりも万人に受けるという指標が機能しないなーと思った次第です。そもそも読者の読解力とか知識によっても最適な本って変わると思ってるので普段のも個人的指標以外の何物でもないんですけども……。

 なので単純に完成度高いなーって思った小説を多めに☆つけするようにしました。まあ一個人の感想なのであんまり鵜呑みにはしないでほしい……。この辺りの二次創作の話しもまた別記事でやるかもしれません。

 とりあえず今回はここまで。ではまた。

【小説紹介と雑談】『ウマ娘 ワールドダービー 凱旋門レギュ『4:25:00』 ミホノブルボンチャート』とウマ娘の話し【二次創作】

おすすめ度☆☆☆☆

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています) 

 

 今回紹介する小説はウマ娘の二次創作ですね。ハーメルンで前からあるRTA物とウマ娘を組み合わせた話になります。RTA物の説明をちゃんとするとニコニ二動画に~~とかこういうスタイルの動画にそこの流行りが組み合わさって~~とかめちゃくちゃ長くなるので説明は端折ります。簡単に言えば既定の路線をなるべく早くやろうとするけど、ポカとかのせいで茶番っぽくなるタイプのコメディです。ネット文化とかが複雑に絡んでるので説明がとてもめんどくさい。

 まあこうやって書いたわけですが、この小説ではあんまりRTAパートは出てきませんね。特に後半になるほど小説パートばかりになっていくので、あんまりRTA物って感じは鳴りを潜めていきます。真面目なウマ娘の二次創作小説というか。

 アプリの方でもあるミホノブルボンライスシャワーのライバル関係にオリジナルの主人公でもあるトレーナーとの関係性も入れて、真面目にレースに向けて特訓していきます。

 おおむねアプリ版通りでそこの関係性をきちんと補足して、綺麗にやっています。後はそもそもの原作であるウマ娘のストーリー自体がパワーありまくってるので、そりゃあ面白いよねという。

 とりあえずウマ娘知ってる人ならかなり楽しめると思います。最初のノリ寒いなーってなった人は4話辺りから小説パートが始まるのでそこまで飛ばしながら読んでみるといいかもしれません。

 

syosetu.org

 

 

 ここからは雑談なんですが、ウマ娘の二次創作めちゃめちゃ増えてますよね。それも普通に原作アプリのトレーナーを主人公にした、あんまりアプリストーリーと変わらない感じのやつ。

 これが(ランキング入りしてて評価高いやつは)大体面白いのでそもそものウマ娘のアプリが作ったストーリーって面白いな、というか気合入りまくってるなーというのが一つ。

 そこからまあウマ娘自体も超気合の入った二次創作で、元々の競馬で作られたデカいストーリーを引っ張ってきてるしと当然かもと思ったのが一つですね。

 そもそも物語とかでなんで神話とかをバックボーンにしがちなのかって説明が端折れるのもそうですが、そもそも世界観にリアリティ出すのに読者の既知要素を利用するとやりやすいからですね。

 何の情報もないなかこうだから魔法使えるよ! より魔女だからとかこういう神話の神の血を引いてるからっていう方が納得しやすい。

 でウマ娘の話しに戻しますと、元々競馬のフィールドで何年も積み上げてきた事実があってそれを元に競馬界隈の人が物語を紡いできたわけですよね。

 馬自体は別に喋ったりしないので競馬の界隈の人が馬の仕草からこの馬とこの馬はライバル関係で~~とか○○みたいな二つ名とかを作っていったわけです。こういう話しの裏で活躍できなかった馬は処分されるみたいな現実を見えないようにしてるわけですね。その是非はここでは関係ないので放置します。

 まあそうやって作られた信頼と実績の原典を引用して、もっと人(オタク)好みにして作られたのが競馬の二次創作であるウマ娘なわけです。馬を全部女の子にするとか最たるものではないでしょうか。あとはウイニングライブとか。FGOとかもそうですが、大体女の子の方がウケがいいですからね。売れるのが正義とは言いませんが、売れないと次もないし、いろんなとこにヒットしやすい。

 しかしそうやって原典で確保した世界観のリアリティをウケるように変えていくと大体権利者問題に引っ掛かります。先に挙げたFGOの場合は権利者が死んでるので文句言われないんですけど、ウマ娘の場合は馬が文句言わないのはそうですが、権利者である馬主の許可も取ってきたのがすごいですよね。Cyagamesの人はめっちゃ気を使っただろうし、今も売れてホッとすると同時に界隈のごたごたにめっちゃ目を光らせてると思います。

 でまあ元々面白い原典の利用と改変の許可もらって、その上でめちゃくちゃ金かけて丁寧に作ったら大ヒットというある意味順当な感じですよね。とてもすごい。

 しかしながらノベルゲームじゃないのでどうしても主人公とウマ娘たちの絡み自体は少し物足りなくならざるを得ません。一緒に育ててきたウマ娘とのやってきていただろう絡みが不可視化されていてそれを見たい! という欲求が今のウマ娘二次創作が原作ストーリーを強化したものが多い理由な気がします。そりゃあ面白いわけですよ。そもそもの年季が違いますからね。

 長々書きましたが個人的には面白い二次創作が増える分には歓迎なのでどんどん増えてほしいですね。これ以外にも何作か読んでいるのがあるので、そっちも今度紹介したいと思います。

【雑談】読んだ本を全部紹介するか否か

 今回は特に何かを紹介するわけではないんですが、ちょっと気になってたことがあったのでアンケートでもと。

 今のところ私が気が向いた時に何とも言えない雑談と共におすすめできる小説を紹介してるんですけど、実際に読んでいる数で言えばもっとあるわけです。少なくとも毎日文庫本一冊程度は確実に読んでいるので。

 一応現在の更新分まで読んだ上で面白かった物を紹介しているために微妙な更新頻度になってるんですけど、実際のところどうなのかなぁと。読んだものを全部紹介した方がいいのか、それとも今の感じのがいいのか。

 全部記事にしてあげるってなるとめっちゃおすすめなやつ以外おすすめ度と一言コメントくらいになると思うんですが、今の状態とどっちがいいのかと言われるとわかりません。ちなみにその場合、どうでもいい雑談は別記事になるでしょう。

 一応アンケート置いておくのでできれば気軽な感じで投票してもらえると嬉しいです。

 

 

docs.google.com

 

 正直イエスかノーだけでやる投票機能があればそれでよかったんですけど、はてなブログにはそれがなかったのと、何か導入するっていうのにめんどくさくなったのでgoogle様の力をお借りました。無。

 なにとぞなにとぞ~

【小説紹介と雑談】『その勇者、虚ろにつき』と推しのいる人いない人

剣と魔法の世界、魔王との戦争に明け暮れる同盟四国の一国、ノル国は国秘とされる召喚魔術により、現代世界より呼び寄せた勇者で魔王を倒そうとする。

しかし、現れた勇者は心持たぬ虚ろの怪物。魂に空洞を宿す連続殺人鬼だった。

その勇者に願うな。
例え、諦められぬ願いがあろうとも。

その勇者にすがるな。
例え、絶望の淵にあろうとも。

その勇者に挑むな。
されど、人は生き抜くために闘いを選ぶ。

これは世界を救おうとする勇者の物語。
これは世界を護ろうとする英雄達の物語。

 

 

おすすめ度☆☆☆(☆)

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています) 

 

今回の小説は異世界ファンタジーです。魔法のあるファンタジー世界に狂人である主人公が転移してきて、異世界民を虐殺するので現地の強者がそれを止めるべく白熱の魔法バトルを繰り広げます。もっといい説明があるかもしれませんが実際こんな感じ。

 主人公は悪役のような行動や言動を行い続けるので、どちらかといえば敵役の方に目が行く珍しい作品でもあります。主人公のキャラクター性的に共感する相手が敵役になるのでそっちに目が行くというか。

 割と残酷なシーンも多く、異世界転生系の流れを予想しているとそれを大きく外されることになります。その辺を楽しめるかが好き嫌いの分かれるポイントかもしれません。

 内容としては戦闘シーンに重きが置かれていて、そこに至る過程をシリアスに描いているので、こういう土台の整った戦闘描写が好きな人には特におすすめできるものとなってます。ハードボイルド戦闘風味というか。いやまあ厳密に言えば違うと思うんですが伝わってほしい。

 普通の転生物は結構お腹いっぱいって人にもおすすめです。

 

 

https://ncode.syosetu.com/n7248z/

 

 

 ここからは雑談なんですが、割と最近になって推しって言葉がよく聞かれるようになったじゃないですか。急に市民権獲得しましたよね、推しって言葉。

 昔からたくさん小説やら漫画やらを読んできたんですが、キャラクターを推すってことをしたことがないんですよ。現実の人間でもそうですね。

 しかしながらこれだけ推しという言葉が叫ばれて普遍的に使われるようになったということは何かしら皆このような気持ちがあったということだと思うんです。名づけられてなかった概念に名前が付けられたので流行ったというか。

 ということで推しがいないという私は少数派に属するわけですが、それについて少し考えてみると物語の捉え方の違いかなぁと。

 小説であれ漫画であれ、物語そのものには優劣は存在しないわけですが、それを心が動かされる、情景を想起させるetc→面白いという風に定義すると、どうしてもそこには優劣があります。ここにはそれを受け取った人間のバックグラウンドなども加味されるので人それぞれ違うんですが、それでもある程度共通のものがあってそこが上手だと名作と評価されるわけです。

 私は普通の人間より物語を摂取した関係上、この尺度で物語を読みます。キャラクターの存在もいかに”面白い”に近いのかという関係で評価しますし、そこでどれだけ魅力を感じても物語の一要素というところからは抜け出しません。なので推すということに繋がらないわけですね。現実の人間(芸能人とか)も別に会おうと思わなければニュースとかで流れてくるだけなので、物語のキャラクターと同一の見方をしています。面白いなとは思いつつ、何かしようとは思わないわけです。

 私のようなことなく普通に読んでいるとキャラクターを物語の一要素ではなく人間として見るようになるので、そこにある思い入れが一定値を超えた時、物語から帰ってきてもキャラクターという枠を飛び出して特別な存在=推しになるというのが私の考えなんですけど、一概にこれだと言い切るには幅広いので何とも言えません。

 でもまあ少なくとも何か入れ込む対象がいたほうが生きる気力にもなっていいですよね。精神衛生的にもそうですし。まあそんなこと言って引いた目線だからできないんだぞと言われればそうとしか言えないんですけど、その辺は中々変えづらい訳で。上手く切り替えられるとより人生が楽しいかもなーなんてことを考えておりました。

 

 

 

 

【小説紹介と雑談】『IF GOD 【佐為があのままネット碁を続けていたら…】』とヒカルの碁の話し

原作で佐為がネット碁を続けていたら……という二次小説になります。
早期に佐為と塔矢行洋の対決が実現。ヒカル、佐為、行洋の3人で<sai>の正体を隠す。

(注意書き)
※このSSは以前arcadia様に投稿していたものと同じものになります。(現在は、arcadia様の方に投稿していた分は全て削除済となっております)

 

おすすめ度☆☆☆☆

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 

 今回の小説は漫画『ヒカルの碁』の二次創作小説ですね。『ヒカルの碁』自体はアニメ化もした名作で私もめちゃくちゃ好きなんですが、少し古めの作品なので軽くあらすじだけ。

 主人公ヒカルが家にあった古い碁盤に触れると過去に碁の天才棋士と呼ばれた藤原佐為に憑りつかれる。囲碁のことを全く知らなかったヒカルだったものの、佐為の目的である碁で神の一手に辿り着きたいという熱意を間近で見るうちに、ヒカルも碁の世界にのめり込んでいく。

 みたいな感じですね。囲碁という余り馴染みのない題材でありながら、それをよく知らない人間にも物語が分かり、なおかつめちゃくちゃ面白いという奇跡の漫画です。

 言っちゃあなんですが囲碁って漫画に映えないじゃないですか。盤面を一目で見れるのは小説にない利点ですが、基本的には囲碁の知らない人間が漫画を読むわけです。私もヒカルの碁はめちゃくちゃ好きですが、囲碁のルールはほんの少ししか知りません。そんな人間が大半なのではないでしょうか。その上でそういう人でもわかる面白さがないといけません。なので囲碁がメインでありつつも、基本的に読者にとってはそれによっておこる人間ドラマがメインになります。

 それでもですよ。どうしても囲碁が思考の遊戯である以上、派手な立ち振る舞いは行われないわけです。相手の一手に対しての思考や気づき、その上での感情の揺らぎなんかが面白いポイントなわけですが、それって一枚絵の連続である漫画では表現しにくい領域ですよね。表情とコマ的限界のある文字数で、複雑な思考や感情を伝えるよりも最初から小説のような文字ベースで行った方が合ってるという。

 しかしながらヒカルの碁のすごいところはその辺りをすっ飛ばして、私たち囲碁知らない民にもわかりやすくかつ面白いところです。

 ストーリーがいいとかキャラ立ちがすごいとかたくさんすごいところはあるんですが、私が一番すごいと思ってるのはどう見ても小説での方が向いてるであろう微細な心の情動を漫画でやってしまっていることです。『ヒカルの碁』の作画はデスノートバクマンなどの作画も手掛けている小畑 健という方がやっているのですが、本当に画力がえぐい。コマ割りとかもそうなんですけど、表情で雄弁に語らせるその技術に驚くばかりでしたね。

 

 ……とまあ本家である『ヒカルの碁』の話しを長々とやってしまったんですけど、この題材自体はやはり文字媒体の方があっていると思うんですよ。成り立っているのはえぐい画力と秀逸なストーリー&キャラクターのおかげというか。その点、この二次創作は原作の空気感を全く損なわず、ありえたであろうIFの話しを描いてくれているので、とても楽しく読むことが出来ました。また原作を読み直してみようかなと思わせてくれる二次創作の一つの形、その深みを感じれました。

 『ヒカルの碁』が好きな方にはまず間違いなくおすすめできる小説です。読んでない人は読んでください。面白いし面白いので。

 

syosetu.org

 

【小説紹介と雑談】『東方遺骸王』と二次創作の話し

気がつけば、枯れ果てた身体。閉ざされた石室。
人も、神も、妖も、姿を見せぬ過去の世界。
偉大なる魔法使いは覚醒し、寝床を探す物語が始まった。

 

おすすめ度☆☆☆☆

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 今回は東方プロジェクトの二次創作小説です。かなり昔に読んだことがあったのですが、最近また見つけだして最近読み直した経緯があります。

 内容としてはミイラのような見た目の不思議な力を持つ存在に主人公が転生し、太古の地球から気ままに過ごした結果、結果的に東方の世界観が構築されるという普通思いついてもやらないようなスケールの大きさの話しとなっています。

 要するに東方世界には神とか神霊とか呼ばれるほどに力の大きい存在がいるので、木っ端だと見向きもされないしご都合主義感が強くなるのをどうすればいいだろうという問題に対して、じゃあその世界の創世史に主人公絡ませればいいじゃん! そしたら力持っててもたくさんいる原作のキャラと関わらせて問題ない! という力技で解決している話しですね。スケールがエグい。

 二次創作なのでどう向かうかという指針はあるわけですが、その世界を一から作りましたという根拠を出すには越えなければならないハードルがたくさんあります。

 というかそうやってオリジナルの世界観を構築してその上に他の作品を乗せるって二次創作じゃほぼみません。なぜならそれって半分オリジナルなので……。それを二次創作でやって納得させるにはハードルがめちゃ高いので……。

 しかしながらそのハードルの高さを乗り越えてこの作品は成立しています。その土壌には東方というジャンル自体が二次創作しやすい大らかな感じなのもあるでしょうが、作者さんの構想力がとても高いことがあげられると思います。

 一話当たりの文字数は短めで、細部まで説明がなされるというわけではないのですが、必要な部分のエッセンスを丁寧に抜き出してそれを描写するのがとてもうまく、するすると読むことができます。ちなみに作者の方の名前をどこかで見かけたようなと思ったら、昔読んでたなろう小説の作者さんでした。そちらも機会があれば紹介するかもしれません。

 東方はあまり知らない私でも、引っ掛かりなく楽しめるような小説であり、オリジナル小説のように楽しむことができる小説なので、興味があるという人には是非お勧めです。

 

syosetu.org

 

【ネット小説 おすすめ】Webで読めるおすすめ小説 その1

 このブログは今まで私が読んできて面白かった小説の紹介記事を書いてきたわけなんですが、読んできたもの全部紹介すると四桁超えると思うので読んで面白かった物を厳選して記事を書いてます。……なんですけどもう100記事を超えてしまっています。

 ここから明確に好きな小説を探すのは辛かろうということで改めて個人的にすごく面白かった小説をこの記事にまとめとこうという次第です。今更と言えばめっちゃ今更。随時追加しておく予定ですが、たぶんあんまり急いではやらないと思います。

 

 一応今回はファンタジー編と銘打ってますが大雑把にジャンルで分けれない奴も出てくると思うので、まあ目安ということで。あと普通に有名どころしか出てこないと思います。場所は基本的になろう、カクヨムハーメルンから。

 

 

 最果てのパラディン

URL→ https://ncode.syosetu.com/n5115cq/

紹介記事→ 【ネット小説 紹介】最果てのパラディン - オタク文化の切れの端

 詳しい内容は紹介記事読んでくださいという感じなんですが、ざっくり言うと平凡な人間だった主人公がかつての英雄だった不死者に育てられ、その時代の新たな英雄へと成長していく超王道の英雄譚ですね。

 過程を飛び越えて主人公が強くなったりはせず、純然たる人々の力で育っていく主人公の姿はまさに英雄譚に相応しい。ファンタジーの熱いところもしっかりととらえていて、誰にでもおすすめできる作品。

 長い間更新がなかったので未完のまま終わってしまうのかと思いきや、ついこないだアニメ化するとの知らせが。なんにせよまた日の目を浴びるのは間違いないでしょう。

 

 無職転生 - 異世界行ったら本気だす -

URL→ https://ncode.syosetu.com/n9669bk/

紹介記事→ 【ネット小説 紹介】無職転生- 異世界行ったら本気だす - - オタク文化の切れの端

 言わずと知れたweb小説界の王。ファンタジー世界に転生した無職が精神的に成長していく様を描いた長編小説。アニメ化もしましたね。個人的には連載初期から追っていたのもあって感慨深いものがあります。

 ある程度の盛り上がりと伏線のための小休止を繰り返していき、終盤になると今までの伏線を回収しながらバンバン盛り上がっていくので、最初っから花火を打ち上げまくれよ!!! みたいな人には合わないかもしれない。

 

 異修羅

 URL→ https://kakuyomu.jp/works/1177354054882641261

紹介記事→ 【ネット小説 紹介】異修羅 - オタク文化の切れの端

 めっちゃ強い英雄達でバトルロイヤルしたらどうなる? めっちゃおもろくなるを体現した小説。普通は崩壊するこの構成を強い筆力で補っているのでとてもおすすめできる。

 

 とりあえず三つ。時間合ったら他のジャンル作るかもっと増やすかどっちかします。

【小説紹介と雑談】《『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO》とMMOの話し

呪詛が蔓延し、異形の化け物である魔物が跋扈する世界を舞台にしたVRMMO『Curse Nightmare Party』。
プレイヤーも呪いによって異形の姿を取り、呪いが込められた道具を操って戦うダークファンタジー系のゲームである。
そんな世界にて彼女は禍々しい妖精の姿を取って冒険を始めた。

 本編あらすじより

 

おすすめ度☆☆☆☆

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 

 記事更新がちょっと空きましたが、最近寒暖差が激しくて眠れないのでやる気を失ってました。不眠は社会性を破壊します。

 今回の紹介する小説は呪術モチーフのVRMMO物ですね。呪術モチーフのVRMMOにてキャラメイクの結果、13の眼がある妖精となった主人公が、ゲーム内世界を成り上がっていく話です。

 中身は呪術を土台とした世界観に、次々と現れる敵から手に入れた素材で自分を強化し、そして主人公以外のその他プレイヤーにその能力で暴れて、また次の敵を倒すというサイクルを繰り返していく、まさしくMMO的な話しになっています。

 サクサク読み進められ、盛り上がるところはちゃんと盛り上がってくれる期待を裏切らない感じですね。説明すると矛盾が生じやすくて詰めるのが大変なところ(主人公の人間性の元とかゲーム運営の都合のよさとか)は置いて、他の魅力的な部分でその辺をカバーしているのが潔くていいなーと思います。

 こういう成長していくVRMMO物が好きな人にはおすすめです。

 

https://ncode.syosetu.com/n3014fi/

 

 

 

 ここから先は雑談なんですが、VRMMOって小説ジャンルはかなり人気ありますよね。それを下地にした異世界転移とかも含めるとかなりのヒット作がありますが、これらのファン層は熱量が一味も二味も違うなって思います。

 前に紹介したシャンフロとかデンドロとかは個別にwikiが作られたりしてます。すごくないですか? 一つの小説にwikiが作られるほどの情報量って。そしてそれを作って編集しようと思う熱量って。ちなみに今回紹介した小説もwikiが作られております(こちらは作者さんの他の作品群と共通しての物っぽいですが)。

 これだけの熱量を読者に発生させているわけで、もちろん小説自体の面白さがすごいのもそうですが、いかにVRMMO(物語の都合でVRがついてるわけで、実際には面白いMMO)を求められているのかというのが分かります。これらの小説の感想ではこういうゲームやりたい! みたいな感想も多いです。単純に面白いMMOやりたーいみたいな話もよく聞きますしね。

 しかしながら正道であるゲームでのMMOはそこまで芳しくありません。今でこそff14がかなりユーザーを伸ばしていますが、それまではWoWが全盛になった時代から、小粒はあれど大ヒットを飛ばしたMMORPGというのはないに等しいです。それはなんでだろうと思って少し考えてみました。

 問題はたくさんありますが、実際のところ、小説ジャンルのMMO読者が求めているMMORPGというのはだれでも『何者かになれる』という場所なのではないかと思います。英雄譚の主人公には感情移入できなくてもゲームという枠組みでなら『何者』かになれるという夢を上に挙げたような(VR)MMO物は魅せてくれるという。

 しかしながらゲームではどうしても枠を決めなければならない以上、その人だけのストーリーから紡がれる『何者か』になれる道筋なんてものはリソースの都合、作れません。

 強者という『何者』になれるようなレア装備を実装するにしたって、それは数多の『何者』にもなれなかった人たちの上で成り立つ物であって、そんな少数のためのMMOはゲームとして成り立ちません。手段が課金だろうが運だろうがゲームの上手さであっても同じです。

 そこで取りこぼされた人たちが別ジャンルで『何者』かになれる、もしくはならなくても満足できるだけのリソースというのをゲームのMMOでは生み出すことが難しい。この辺VRになったら体験の良さとかで何とかなるのかもしれませんが、今の段階だともう一段階ブレイクスルーが起きないと厳しそう。

 まあ言ってしまえばすごい当たり前の話しなんですが、小説ジャンルの(VR)MMOというのは現実のMMOとは全くの別物なんだなぁということですね。何を当たり前のことをつらつら書いてるんだって言われると悲しくなるのでやめてください。

【小説紹介と雑談】『Babel』と世界観構築の性別差

★ 電撃の新文芸より3巻まで発売
大学1年生の水瀬 雫(ミナセ シズク)は大学からの帰り道、ある日おかしな穴に遭う。
穴に吸い込まれ放り出された先は、見たこともない異世界だった。
魔法が当たり前の世界に困惑と共に降り立った彼女は、帰る方法を探す為旅に出る。
隠された大陸の真実。言語と変革にまつわる物語。
歴史に残らぬ少女と魔法士の旅路が、今始まる。 ※自サイト転載。《memoriae 1960~1961年》
本編完結済み・番外更新中。 

本編あらすじより

 

おすすめ度☆☆☆☆(☆)

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 この小説は異世界に転移してしまった学生の主人公の少女が、異世界での出来事で精神的に成長していくハイファンタジーです。書籍化済み。

 内容としてはきっちりとした世界観にそこに根付く人々を通じたエピソードによって主人公である雫が成長していく感じなので、チートや無双などといった自身の能力を上げて世界に価値を示すような物というよりは、どのように世界に馴染んでいくかを描いたものですね。

 主人公の心情や異世界の情景などが三人称による少し硬めの文章で語られて行くのですが、その表現の仕方が分かりやすく簡潔でとてもスムーズに読み進めることができます。

 かといって感情移入しにくいかといえばそんなこともなく、少し離れたところから描かれる視点からでも登場人物の感情の動きが伝わってくるような、そんな文章です。すっきりと読めてしっかり感情移入できるので主人公の成長物語にとても合っています。

 物語で成長を描くとなると主人公はまだ成長の余地を残す子供であって、成長すべき事柄に対して自分一人ではそれに気づくことができません。それを外界からの刺激によって成長するわけですが、一人称で描くと主人公の性格にもよりますが結構まとめずらいことになるのは想像に難くないので、基本的には三人称で描かれることになります(青春小説とか)。

 しかし三人称はどうしても神の視点になるわけで、心の動きからは離れてしまいがちになるので、それをうまく描写できるかは作者さんの技量にかかっています。この辺りをしっかりとこなして高い水準でまとめてるこの作者さんはとても素晴らしいですね。

 この辺の話しをちゃんとしてるとめちゃくちゃ長くなるので結構端折りましたが要するにこの小説はすごいということです。気が向いたらちゃんと書こうかなって気持ちがあります。

 それはともかく、とてもおすすめの小説です。どちらかといえば女性向けですが、男性も楽しく読める完成度の高い小説です。本編は完結済みなので安心して読めるのも魅力。

 

https://ncode.syosetu.com/n4660bi/

 

 

 ここからは雑談ですね。話題は世界観の作り方から作者の性別が結構わかるよねみたいな話しです。

 主観なんですがこの小説で見られるように世界観を先に作って(あって)そこに生きたキャラを住まわせるという物語の作り方が結構女性の作者によくみられる気がします。前に記事にした本好きの下克上とかもそうですね。存在させたいシチュレーションが有った場合、世界観に合わせてキャラクターが作られている印象。最近の漫画で言えば鬼滅の刃とかもそうですよね。鬼がある不条理な世界観が先にあって、そこで産まれた人が足掻く。世界が先にあってその後にキャラクター。他にも私が読んだことがあるので言えば十二国記シリーズや彩雲国物語なんかもそうです。

 こういう作り方というのは作者の知識や技量がめちゃくちゃにモノを言います。キャラクターは作者の引き出し分しか大きくはなれないので、作者が世界観設定や人間心理についての理解が浅かったりすると違和感がモロに出てしまいます。なのでこういう作り方をしている(一般向けの)女性作家さんは名作か視界に映らないかで二極化してる気がします。まあ私が知らないだけかもしれませんが。

 男性の作者の場合、出したいキャラクターがいてそれに世界観を後付けする感じが多いです。キャラクターが主で世界観が従。この場合、好きなキャラクターがいれば刺さる層がいるので、世界観がきっちりしてなくても割と目に付く回数が多い印象。

 この辺は全部主観な上にすべてに例外がたくさんいますが、大雑把にはこんな感じの印象を受けてます。他にも判断基準はたくさんあるのですが、その辺まとめると普通に別の記事にした方いいのでここではまとめません。気が向いたらまとめるかも(記事内二回目)

 ここで勘違いしないでほしいのが、男性だからこう、女性だからこうと切り分けてるんじゃなくて、小説内でキャラや世界観がどういう扱いを作者から受けているのかを考えて、そうしたバックグラウンドを想像するとこういう考えからだから性別はこっちなのでは? という感じで捉えてるだけです。男女の違いがこういうとこに出るのが興味深いと勝手に思ってるだけなのでレッテル張りしているわけではありませんよ!

 なんか脱線しそうなのでこの辺で。

 

【小説紹介と雑談】『美少女になってちやほやされて人生イージーモードで生きたい!』と本来のライトノベルの話し

おすすめ度☆☆☆

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 この小説はTSしてVtuberしてちやほやされるみたいな話です。ラインやディスコード、youtube配信で見られるスーパーチャット(投げ銭)みたいな、Vtuberを見ている若い人に刺さりやすい表現をうまく使ってるのがすごいと思います。

 美少女になって価値を上げ、その上Vtuberでちやほやされて名声を得て、そして他のVtuberの美少女たちと仲良くするという今のエンタメの次郎系のような構成ですね。マシマシマシ。

 個人的にはエンタメの次郎系のようなものはもう読んでいて厳しくなってきたのと、この辺の題材に拒否感があった(なまじすぐ現実で見れる分幻想を抱く余地が少ないように感じる)んですが、コミカライズも決定しているようで確かな需要があるようです。Vtuberを題材にしたものが各ラノベ出版社からも出てきてますし、もうこの辺まで浸透したんだなーと感慨深くもありますね。

 こういうのが好きな人にはお勧めです。

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 ここからは雑談。

 ラノベを読み始めたころであったならば、もっと何も考えることなく純粋に楽しめたような気がするんですが、今こういうマシマシマシな物語を見るとウッとなってしまいます。美少女になるのもコメントでちやほやされるのも美少女と仲良くするのも、なかなかに直接的ですからね。

 まあ結局エンタメって現実では手に入らないこういうの欲しいでしょ? っていうのを叶える物なのでそういうところで清楚ぶってるのは滑稽でしかないんですが、染み込んだものを何とかするのは中々に厳しい。

 しかしながらこういうラノベを好む時期っていうのは誰にでも確かにあって、それこそが本来の定義のライトノベルなのかなとも思ったり。

 結構馬鹿にされてる転生物だとかもう遅いだとかの今の流行を追って書いている作者さん達も、大人に対してはチープだなってわかってて書いていると思うんですよ。でもこういうのを好んでいた時期が確かにあって、そこへ向けて忘れずに書いているわけで誰にも出来ることしゃないし、すごいなぁと思います。それだけが理由って訳でも無いとは思いますけども。

 今はライトノベルの定義がかなり広がってますが、それは名作が多くて大人まで楽しめるものがライトノベルという定義でたくさん出たからであって、本来のライトノベルの意味が指しているのは初めて小説を触り出すような子を打ち抜くような単純で魅力的な話なのかなーみたいなことを考えておりました。

【小説紹介と雑談】『淫魔「人間とかいう種族wwww」』と創作での自由さ

淫魔「愛おしすぎて草」


※当作品はだいこん氏(@daikon_onion)のTwitter投稿をネタ元としております

 

おすすめ度☆☆☆(☆)

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています

 

 先に言っておきますがこの小説は割とあけすけな表現が出てくるので、そういうのが苦手な方はご注意を。

 この小説は淫魔や天使などの上位存在に(性的な意味で)愛されてる人間の様子を、掲示板形式で両方の視点から描いています。堅苦しく書くのがあれなので砕けて言うと、めっちゃ強い人外に性的に捕食される性癖ががっつり出た感じ内容ですね。あとはそれに付随する勘違い物。

 やってることは割と人権無視なんですけど性癖に刺さる人にはむしろ望みの状況で、刺さらない人には軽いホラーに見えるというギャップが面白いです。

 他にも異種族で人間よりも上位の存在が人間にあけすけな好意を持っているっていうのも新鮮で面白いです。まあエロ漫画とかの界隈だと当たり前っぽいですが、それがコメディの領域にやってくるのは中々ないですよね。最近で言えば異種族レビュアーズなんかも同じ感じ。

 なんかこういうコメディの内容をこう硬い文で表現するのが、一線引いて見てますって感じで微妙なんですが、まあ紹介する関係上、あんまりに主観に入ってても万人受けしないかなって思って何とも言えない顔して書いています。

 こういうノリが好きな方にはとてもおすすめできる作品です。

 

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 とまあそれはさておき、ここからは雑談です。要約すると創作と資本主義って相性悪いよねーみたいな話です。

 

 ハーメルンではこのような掲示板形式で全編書かれるものや、活字の本にしにくい工夫がされているものがあったり、そもそも二次創作ものが盛んだったりと独自の文化があります。まあハーメルンの文化というか個人の楽しみのための小説文化という感じ。

 基本的にはこういうのって出版できない訳で作者の方にはお金が行かないんですよ。なんにでも創作するってなるとそこには手間とその人個人の能力が必要で、それをお金の入らない物につぎ込みつつ、それ以外の場所でお金を稼いでいるわけですが、それはまあ大変ですよね。

 この辺りの創作物は大体作者の方の熱意や外からの反応によって動いてるわけで、それを考えると頭が下がります。面白さという点ではオリジナルな物と負けてはないわけ(そもそも勝ち負けの問題じゃない)ですし、体験に価値を見出してるならそれをさせてくれる人にお金が入ればなーって思う時もあります。

 まあそうなると水が低い方へ流れるように、お金が集まるマジョリティ向けの物が作られ再生産される、今のなろうのランキングのようになるので自由さが失われるので難しいところ。そもそも二次創作なら権利問題がありますしね。

 この辺なんとかしようって投げ銭システムのサイトやらskebみたいなパトロンと繋ぎやすくするみたいなシステムも出てきてますが、それだけで暮らすのはやっぱり厳しい。

 こと創作物なんかの文化面で考えると資本主義って言うのは邪魔だなーと思います。アウトプットするにはインプットしなくちゃいけない訳で、それをするにもお金がかかり、万人受けはしない創作物を作るってなった時に生活インフラが保証されていないととても厳しい。働いてその余暇で作るってなってもインプットの時間やお金もそこから出てこないといけないわけですし。

 創作物は全員に公開される共通な財産ってなった方が、全体的な作品自体の質も上がるし自由度も増えると思いはします。作者の生活は保障される感じで。

 とまあごちゃごちゃ言っても評価が人それぞれな関係上、それに一定の価値水準を付けること自体が厳しいので現実と折り合いがつかないんですよねー。悲しい。

 結局のところ全部ロボットがやってくれて人間は余暇を楽しみましょうという状況になってほしいみたいな願望に収束するのが辛いところです。

【小説紹介と雑談】『TS悪役令嬢神様転生善人追放配信RTA』と大きくなる身内話

悪役令嬢にTS神様転生して実は善人だけど追放されるRTAの様子を配信しようとした。
気づいたら金!血筋!権力!女!女!イケメンヤンデレ!暴力!暴力!暴力!って感じの異世界ライフを送る羽目になっていた。
そういう感じのお話。

 

おすすめ度☆☆☆(☆)

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 

 今回の紹介する小説はコメディです。ハーメルンで一時期流行っていたRTA物にTSだとか悪役令嬢だとか転生だとかいろんな要素をごった煮して混ぜ込んだ小説ですね。

 なんかまああらすじを語ると私の方が意味わかんないこと言ってる頭おかしい人間になってしまうのでやれないという。

 この小説は独自色の強いもののかなり作りこまれたファンタジーをベースにして、現代のネット文化の色々を前提として借りて彩ってるという感じです。

 ネット文化、というか人が集まる物事って基本的にはそれに属する人たちで界隈が出来て、その中で通用するような言語などによって文化が形成されて行きますよね。

 皆さんも経験あると思いますが、お友達と集まってるといろんなエピソードを通じてそのお友達間でしか通用しない話し、いわゆる身内話が出来るじゃないですか。それと同じです。そうやってお互いの思い出とかを語ってじゃれ合うのってとても楽しいですよね。しかし、そのエピソードを共有してない他人にとっては全く分からないどうでもいい話なわけです。

 ネット文化は不特定多数が集まってそのエピソードや体験が可視化されるようになったので、その界隈に興味を持った人たちがその情報に触れて簡単にそれに属せるようになる……つまり身内話の規模が広がったわけですね。

 身内話は楽しいので、その規模が広がってみんなそれを知っている前提で話せるのはそりゃとても楽しいわけです。個人的にはコメディの基本って言うのは今まであった過去からの引用することだと思ってます。そうやって過去を共有して話すことでそこには面白さと一体感が生まれる。

 とまあそれっぽく言ってきましたが、要するにたくさん属性(文化)あれば面白いよって話ですね。代償としては物語のまとまりが厳しくなるという点がありますが、この小説では色んなところへ手を出しつつも、ファンタジーの軸が定まっているので楽しく読むことができます。 

 総じてこういうジャンルに対してある程度知識があるとより楽しめるコメディ/ファンタジー小説といった感じです。タイトルのどれかが好きならば読んでみるといいかもしれません。おすすめです。

 

 

 

 

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【小説紹介と雑談】『狂走馬と呼ばれまして』とウマ娘の話し

おすすめ度☆☆☆☆

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 

 今回の小説は今流行りに流行っているウマ娘の二次創作です。と言ってもウマ娘のキャラクターは登場せず、競走馬に転生した主人公とそれに振り回される周りの関係者たちのイベントがメインなのでウマ娘やってませんって人でも楽しめると思います。

 人の知能を持った馬が周りをかき回しながらレースではきっちり締めて勝っていくというのがとても面白いですね。牧場などの関係者描写が割とリアリティがあり、容易に想像しやすく、そこに主人公の行動などが合わさってコメディとしても、競馬バラエティとしても楽しめてとてもグッド。

 ウマ娘をやっていない人でも楽しめるのでこの機会にどうでしょうか。おすすめです。

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 ここからは雑談です。

 

 すごく面白い物語というのは本来の軸に複合して別の面白さも持っていることが多いです。今回あげたウマ娘であれば史実の馬たちにおけるレースというスポーツ物の要素と、それを人に寄せて作られたウマ娘とのエピソードが盛り立てるという構成になっていて、エピソードにより感情移入したキャラクターがライバルとのレースという熱い舞台で勝つという構成になっています。レースという主軸にエピソードというもう一つの面白さを組み合わせて相乗効果を生み出してるということですね。

 この構成はたくさんの物語でも見られるベーシックな構造です。周りの人間との関係を深め、それによって得た力を何らかの勝負事で反映する。ジャンプの標語であった友情、努力、勝利です。今は他にもたくさんの漫画の形態が発掘されたので、あまり聞かなくはなりましたが、スタンダードでかつ力のある型なのは間違いないでしょう。

 ウマ娘のアプリで言えば自分の選択肢がキャラクターの成長に繋がるシステムなので感情移入のしやすさもあり、手の込み具合も相まって流行るのはとても納得だなぁと思います。 ちなみに自分はウマ娘ちょっとやってたんですがガチャが渋すぎたのと、ソシャゲに時間取られすぎそうだったのでやめています。ゲーム自体はとても面白かったです。

 ハーメルンのランキングを見るにウマ娘の二次創作がめちゃくちゃに出てきていて、すごい活気だなぁと思っています。何作か読んでみましたが、面白いものも多く、更新の頻度もめちゃくちゃに高いので作者さんのモチベーションがすごいんだなぁと感じています。

 鉄は熱いうちに打てといいますが、このような流行りはそのゲーム自体もそうですが、そのジャンル(今回のウマ娘であれば競馬、そこから発展してスポコンなど)に熱を吹込み、再発掘、そして深堀に繋がっていくと思うので、こういうクオリティの高い創作物がでるのはとてもいいですね!

【小説紹介と雑談】『貞操逆転世界観童貞辺境領主騎士』と貞操逆転世界

おすすめ度☆☆☆☆

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 ちょっと期間が開きましたが私は元気です。最近はハーメルンの小説を読んでるんですけど、ランキングに上がってるもので好みのやつを読む感じで進めてます。ハーメルンだと二次創作が盛んな土壌なので書籍化狙ってます! みたいな感じの小説がなくてランキングが機能してるのがいいなーと。

 代わりに個人的にはちょっと受け付けないなーみたいな小説もランキングにあったりするのが印象的ですね。個々人の好みを色濃く反映しているというか。この辺りは上手く言い直せるような気もしてますがあんまり考えてないので印象だけ。

 とまあそんな感じなので記事にしたところでこういう性癖の人には刺さるよ! 以上! みたいなあんまり説明するところがない記事になりそうでちょっと躊躇してたんですが、まあそれはそれとして別に適当なこと書けばいいかと気づいたのでこれからはもう少し更新が増えるでしょう。

 さてまあ脱線しましたが、今回の小説は貞操逆転世界での騎士物語という他になかなか類を見ない感じの小説ですね。貞操逆転の世界観をあんまり読んだことないのでこれが魅力だとかはあんまり考えてなかったんですけど、少し考えた結果主人公にどうやって価値を出すかというのの亜種みたいな感じなのではという気がしました。

 大抵の物語では主人公とそれに付随する人たちの関係が進展していくことで進んでいくわけですが、まあ主人公に何らかの価値がないと誰も関わらないわけです。そういうのがない物語もあるでしょうが、正道を考えると基本的には主人公に何らかの価値(才能やら地位やら人格)があって、それが縁となって人との関りが出来、それにより話が進んでいくはずです。

 基本的には物語が進むごとに主人公の価値は増していきます。それは資産のように分かりやすいもののほかに、他人との関係性だったり、主人公の能力だったりします。ここでいう価値というのは主人公(読者)に対しての物なので、思い入れのある○○みたいなものでも価値が増えているといえるでしょう。

 まあ要するに大抵の主人公は何かしらの価値を持っていないといけないということです。それが神様にもらった異世界転生特典だろうが、偶然ヒロインの前を通りがかった運だとか。なんでもいいんですが、何かしらないと話が進みづらいですよね。

 そこで貞操逆転物なんですが、その世界での主人公は基本的にはとても希少な価値観の持ち主であり、それが周りを引き付けるような描かれ方をします。そして主人公(読者)からするとヒロイン枠が寄ってくるので主人公の価値が上がると。その辺りの説明がとてもスムーズに行えて、なおかつ他のジャンルでの当たり前が入れ替わっているので新鮮味があって面白いというのが貞操逆転物の面白さ……な気がします。ほんとはどうかわかりませんけども。

 話を戻すとこの小説はそのような貞操逆転の中での騎士物語で、主人公は内心でコメディを交えつつも、なかなかに骨太な騎士物語を展開させていきます。貞操逆転以外でもきっちりと作られた世界観でとても面白く、貞操逆転していることが新鮮で飽きなく読めます。これからの更新も楽しみですね。

 

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