オタク文化の切れの端

基本的にweb小説を紹介するブログです。普通のラノベも読みます。批評とかもします。たまに一般文芸とか映画の感想とか思ったこととかが入ります。

【ネット小説 紹介】邪神

 あれはいつのことだったか。
 ある朝、目を覚ました俺は人の形をしたバケモノへと変わっていた。
 いや、バケモノなんて可愛いもんじゃないな。世界をまるごと飲み込む『災厄』だ。

 俺の名は『フェイス』。
 人は俺のことを、『邪神』と呼ぶ。

 

 

 

おすすめ度☆☆☆(☆)3.5

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 

 この小説はローファンタジーです。最初の方は現代ファンタジーとなってます。

 これは余談ですがいつも最初にジャンルを言う時、正直、これだ! となる方が珍しく、小説のジャンル分けも生物の分類のように『異世界転生目俺TUEE科xxx属』とやるのが正しいと思います。何が言いたいかと言えば私のジャンル分けはあてにならないということです。

 それはともかく。

 この小説のあらすじを説明すると主人公は邪神と呼ばれる存在であり、元々は人間であるものの今は人に憑りついて生きていること。憑りついた人間は自我が乗っ取られなどはないものの定期的に人間の魂を摂取する、つまり殺人をしないと暴走してしまうこと。主人公が憑いている宿主が死ぬと世界が崩壊する(主人公は違う世界で新たな宿主に宿る)こと。これを踏まえてどうにか主人公が自分を殺す手段を探すというのが大まかな流れです。

 短くまとめると定期的に人を殺すし宿主を殺すと世界を滅ぼす化け物である主人公が頑張って自殺を目指す物語です。なんか身も蓋もない説明で申し訳ない。情緒ゼロ。

 中身について言及すると基本的には主人公であるフェイス君はあまり活躍しません。というか活躍したら世界が滅びます。助言などはしますが活動するのは宿主の方。なので宿主の方が実質的に主人公と言えるかもしれません。

 主人公でありながら舞台装置のような働きですが、性格もあまり人間味がある性格と言えず、ますます宿主の方が主人公っぽいです。実際に描かれる回数も宿主の方が多いので間違いではないでしょう。

 しかしこの小説は『邪神』。ネタバレになるので書けませんが宿主だけが主人公ではないのです。邪神たる主人公が宿主たちとの交流を深めて救われるのかそれとも……。なかなか見ない構成なのは間違いありません。

 主人公に視線が合わさることで物語をいつもより上から俯瞰しているとでも言いましょうか。いつもと違う感覚でとても面白く読めました。少し変わった小説が読みたい人にもお勧めです。

 

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