オタク文化の切れの端

基本的にweb小説を紹介するブログです。普通のラノベも読みます。批評とかもします。たまに一般文芸とか映画の感想とか思ったこととかが入ります。

【小説紹介と雑談】次期風紀委員長の深見先輩は間違いなく病気

 学校の次期風紀委員長深見先輩は、病気だ。

人の心の声が聞こえる石崎鏡花(いしざき きょうか)は、日々聞こえてくる声により精神を摩耗し、鬱屈とした日々を送っている。
そんな彼女をさらに消耗させるのは、彼女の一つ上の学年であり、狂った内情を持つ次期風紀委員長とされる深見だ。日々深見を避け続ける鏡花であったが、あるとき深見の目の前で倒れてしまい……。『書籍化済み』

 

 

おすすめ度☆☆☆(☆)3.5

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 この小説はラブコメです。心が読める主人公(女)が自分の事を一途に思い続ける男にデレるまでみたいな話です。web漫画の妄想テレパシーが同じジャンルですね。他はパッと思い浮かびませんが。

 心を読む能力がある主人公の一人称、個人的に好きなんですよね。現実だと相手が何を思ってようが実際にはわからないじゃないですか。状況的にこうだろうなって推測はできますけど、それがホントかどうかは本人のみぞ知る。その辺りの齟齬を頑張って埋めてくのがコミュニケーションというか。

 例えば自分の上司が自分に対して何を思ってるか聞きたい時、まあ直球には聞けないですよね。聞いてもいいですが相手もこちらを見ているので何か思っていることがあっても口に出さないことが多い。その辺りを素直に喋るにはお互いの信頼が大事なわけです。まあこの辺は考えによるところもあるので一概には言えないんですけど。複雑でまどろっこしいですね、人間関係って。

 だから明確に嘘じゃない心情がわかる小説だとその辺のまどろっこしいとこスキップして相手の本音が知れるので、あとは表のコミュニケーションをどう目標に持ってくか(例えば自分の事を好きだけどアプローチしてこない相手をどう振り向かせるか、みたいな)になるというか。その辺が単純になって好きです。あんまりわかりやすい説明じゃないかもしれない。要するに人間の心とかいう曖昧な物に確証が欲しいみたいな話ですね。

 この小説の話しに戻しますと、心を読める能力のせいで人間不信気味だった主人公が裏表なく好いてくれる男に心を開くという、まあこのジャンルの王道とも言えるものですね。

 このジャンル、個人的に大切だなって思うところがあって、心情を読む能力と主人公周り以外は現実に即していることです。人の心を読むって能力なのに、その世界のモブが普通の人間の精神してなかったら終わりですよ。周りがファンタジー世界だと心情を作者が明確にトレースしづらいので違和感感じやすかったりもします。

 その辺りある程度押さえていて、主人公の事を好きな理由がきちんとあり、きれいにまとまっているので面白く読めました。欲を言えばもう少しじりじりくっついて欲しかったのですがライトノベル一冊分と考えると厳しいのでアレです。

 ともかくこのジャンルが好きな人にはおすすめです。ラブコメ好きな人も楽しめると思います。

 

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次期風紀委員長の深見先輩は間違いなく病気

次期風紀委員長の深見先輩は間違いなく病気

 

 

 

 ……正直このジャンル、まだまだ語りたいとこがあるので後日記事にするかもしれません。この記事だと脱線しすぎで紹介に入れなくなりそう。