オタク文化の切れの端

基本的にweb小説を紹介するブログです。普通のラノベも読みます。批評とかもします。たまに一般文芸とか映画の感想とか思ったこととかが入ります。

【ネット小説 紹介】霊晶石物語

気が付けば私は石の様な物体へと変貌していた。
私は確か生前人間だった筈、命を落とした人間は必ずしも人間に生まれ変わる訳でもない様だ。
この体は、青白く発光する透明な結晶体で、不思議な事に周りの地形を手足を動かすかのように操作し、変化させることが出来るらしい・・・。
生まれ落ちた場所は、恐らくどこかの地底洞窟、そして地表には人間の気配が彼方此方に点在している様だ。
後に知る事だが、どうやら私は、迷宮核と呼ばれる石へと転生してしまったのだ。

 

 

おすすめ度☆☆☆(☆)

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 

 この小説はファンタジーです。ジャンルはこれと当てはまるものが思い浮かばないのですが、『神と言われ、魔王と呼ばれても』みたいな人間を上から見つめるシムシティ型が近いかもしれません。もう少し人間に近い視点ですが。

 主人公はダンジョンコアに転生するわけですが、転生と言っても主人公の境遇がそうというだけでそこを前面に押したような書き方ではありません。現代チートで無双! って感じではないですね。あくまで境遇の一つといった感じです。

 ハーメルンのオリジナル作品というのはこういう一風変わった作品が多いような気がします。普通のアイデアは二次創作でやりつくしたし、オリジナルならぶっ飛んだ方がいい! みたいな人が多いんでしょうか。まあ大概二次創作の方もぶっ飛んでるアイデアが多いのでそういう人たちが集まっているからそうなっているだけというのが案外真相かもしれません。

 脱線しましたが小説の話しに戻ります。もちろん主人公は力を持っているわけですが、それが世界観を塗りつぶすほどの大きさではなく、ともに歩む人たちと二人三脚で砂漠の開拓をしていくというのがメインです。主人公の力の源泉も周りの生き物の魔力というのがその辺を表してる気がしますね。

 この小説の良いところは主人公が世界観を壊すことなく、必要なものを地道に積み上げていくところです。物語の大きさに主人公の動きがちょうどいいというか。視点があっているという感じですね。これは結構難しいところで、ちゃんとできている小説は須らく面白いです。

 序盤に周りの人とか国とかをダシにしまくって無双しまくった転生小説とかオリジナル主人公がひたすらに原作キャラにヨイショされる二次創作とか失敗例を挙げるとわかりやすいかもしれません。早々に頂点に立ってぶっちぎってしまうとその世界での楽しいことがなくなってしまうというか。やっぱり何でもバランスが大事ということですね。

 この小説はその辺がきっちりしていて人物、情景描写、世界観が丁寧に描かれていて面白く読めました。

 いつもと少し変わった小説が読みたいという人に特におすすめです。

 

https://syosetu.org/novel/129360/