【小説紹介と雑談】『転生エルフ血風伝』と今のなろうの流行り
「汝、夢幻の世界の住人たらんことを欲するか?」それは地獄への罠。強要される未曾有の大量殺人。開始地点はダンジョンの最下層。最初の敵はドラゴン。復讐を誓った元受験生の転生エルフは、やがて大陸全土を巻き込む戦乱の中心へと躍り出ていく……魔王として。
おすすめ度☆☆☆
(おすすめ度 指標
☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説
☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説
☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ
の目安で付けています)
この小説は異世界転生物ですね。流行りとしては過ぎ去った感じもありますが、この小説自体が2013年投稿なので当時を考えると流行にきっちり乗ってるという感じでしょうか。
中身としては転生してきた主人公が魔王として世界に覇を轟かせていくといった感じで王道ですね。主人公以外の人間からの視点変更もうまく使っていて、世界観の広がりも抑えつつ、インフレをある程度コントロールしてるのがうまいなーと思いました。
しかしながら世界観自体の説明はかなり不足していて、それを賛美的な言い回しで盛り上げて乗り切ってることが多いです。個人的にはもっと地盤を固めて世界観をストーリーで絡めつつ深めていったものの方が好きですね。
とはいえ面白くないということはなく、こういうあらすじの物語が好きなんだ! って人にはお勧めできます。
ここからは雑談なんですが、久しぶりになろうのランキングを覗いたらタイトルにみんな『もう遅い!』だとか『今更戻らない!』みたいなタイトルがすごい量出ててひえぇ……ってなりました。大抵の作品がめちゃくちゃ長いタイトルで、それを読むと成功が確約されており、元いた場所と比べて優越感! みたいな感じ。
勝敗のわからないギリギリのバトルだとか失敗しても成長して……みたいな読者にストレスを与えてそれを開放するみたいな小説はなろうでは求められてない感がありますね。カタルシスまでの展開を約束してもらってストレスなしで読むというのが主流という感じ。
正直こう確約されてると無意識に現実と比べてむなしくなりそうな気もするんですが、人気はあるわけですよね。予定調和的な楽しみ方なんでしょうかね。水戸黄門みたいな感じ。
なろうの読者層おじさん説みたいなことも言われてるので、現実に重ねてる? みたいなことも考えたんですけど調べた感じ10代20代が半分以上を占めている*1らしいので違うみたいですし。
個人的には物語に触ってきた数の違いかなという気持ちもあります。ラノベに触り始めたばかりだとこれくらいわかりやすい感じが一番ウケるとか。私みたいな擦れたオタクの総数なんて全体から見たら大したことないと思いますし。別にマーケティングするようにがっつり情報集めるほど興味がないのであくまで想像ですけども。
何にせよこういう流れ自体は別にいいと思います。しかしながらランキングが汚染されて私好みのが見れないのだけは何とかしてほしいなぁなんて。まあ前々からそうなんですけども。
なろうのランキングが書籍化の登竜門になってる現状、仕方ないといえばそうですが、そういうPVとかの数値に頼らないで当たる小説を見つけてほしいという気持ち……。まあ納得させやすさが違うのでなんとも。この世は儘ならないことだらけです。
終わり。
*1:ソースここ!