【小説紹介と雑談】『俺にはこの暗がりが心地よかった』と小説の掲示板回
「私が選んだ1000人に異世界へ行ってもらう」
全世界のディスプレイに現れた神の言葉によりその騒乱は始まった。
幼馴染みが転移に選ばれてしまった黒瀬ヒカルは、彼女が転移する当日、彼女と共に殺害されてしまう。しかし、なぜかヒカルは死なず、権利がなかったはずの『行動のすべてを地球でライブ中継される異世界転移』に選ばれてしまうのだった。
何の準備もなく魔境へと転移させられた彼は、何度も死の危機に直面しながらもギフト闇の精霊術によりどうにか生き残り続けていた。
「死ねない。地球でみんなが応援してくれているはずだから――」
これは、視聴者達の視線に翻弄されながらもやがて前を向き歩き出す、精霊に愛された少年の物語
おすすめ度☆☆☆☆
(おすすめ度 指標
☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説
☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説
☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ
の目安で付けています)
また期間が開きましたが例によってFF14してました。楽しいからしょうがない。
今回のこの小説は異世界転移物ですね。あらすじは引用した紹介文の通りです。王道ですね。作者の方がタイトル変えるかもーと書いていたので変わった時は記事タイトルも変えときます。
このような感じの設定でよくある主人公周りだけ解像度を高めて、それに都合のいいよう世界側を歪めるご都合主義みたいな感じではなく、しっかりと物語が練られており、世界の上にキャラクターが動いているのが感じ取れます。
異世界転移物というのはこの辺りの匙加減が難しいです。基本的に読者は主人公の活躍を望んでいるわけですが、主人公に有利すぎてパカパカ無双されると物語のリアリティがなくなってしまい、これってただの空想じゃん! と醒めてしまうことになります。そりゃあ全部が全部自分に都合のいい世界に生きている人はいませんからね。これは裸の王様だと気づいてしまうわけです。
かといって現実に即したような苦難を描くとそこから抜け出して活躍する道筋が遠くなり、切ったばったで無双するような単純な主人公の活躍からは遠くなってしまいます。もちろんそういうこと以外にも主人公が活躍する手段はあるでしょう。しかし現実的な路線で行くと栄え辛い、もしくは適切な知識がかなり必要になり、ご都合主義的な設定チートでそこを打開すると上の醒めてしまうことに繋がってしまいます。
この辺りをうまくコントロールして主人公などのキャラクターに感情移入させるような物語を創るのは作者さんの力量がないと成立しません。その辺りこの小説はとてもうまくやっていて、少し引っ掛かるところはあるものの(視聴者数の話しとか現実社会の動きなど)サクサク読めてかなり面白いです。
とまあ紹介とは少し離れるんですが、この小説にはいわゆる掲示板回が結構出てきます。現実の匿名掲示板を模した感じのアレです。
私は結構好きなんですが、なんでだろうと考えた時に主人公の優位が明確に再確認できるからかなーと思うんです。
実際の匿名掲示板はともかく、こういう物語で出てくる場合は主人公たち以外の民意として現れるわけです。基本的には一般の人たちが主人公について語るわけですから、話題の中心です。しかも彼らが主人公の起こしてきた事実を言って再確認しても露骨なヨイショには感じません。あまり嫌味なく主人公の業績が確認でき、話題の中心にもいます。カタルシスポイントが貯められます。読んでて気持ちいい!
しかしながらこれが成立するには語られるだけの業績が主人公に必要なわけです。その辺りの積み重ねが疎かだとそもそも成立させれません。何もしてない主人公を褒めそやせませんよ。無い袖は振れない訳で、その辺りはやはり作者の方の力量が大事。その辺りが私の掲示板回が好きな理由なのかなーなんて思いました。
とまあ結構脱線しましたが、サクサク読めてとても面白いです。異世界転移系を読みたい! けど露骨なのはちょっと……みたいな人には特にお勧めです!
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