【小説紹介と雑談】『サイレント・ウィッチ』と女性主人公
天才魔術師モニカ・エヴァレットは人見知りで、人前で喋るのが大の苦手。
そこで彼女は猛努力の末に、詠唱をせずとも使える無詠唱魔術を習得。〈沈黙の魔女〉として、弱冠十五歳で七賢人に選ばれた後は、森の中で静かに暮らしていた。それから二年が経ったある日、モニカに一つの命令が下される。
その命令とは、学園に通う第二王子を、本人には気づかれぬよう秘密裏に護衛してほしい、というもの。
かくしてモニカは王子の護衛をするために、貴族の子女が通う煌びやかな学園へ潜入するのだった。「いやだよぅ、怖いよぅ……うっ、うっ……胃がキリキリするぅ……」
と泣きべそをかきつつ。
カドカワBOOKS様から書籍化していただけることになりました。ありがとうございます!
コミカライズ企画も、現在進行中です。
番外編・外伝は、タイトル上のリンクからとべます。
おすすめ度☆☆☆☆
(おすすめ度 指標
☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説
☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説
☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ
の目安で付けています)
気づくといつの間にか月日が過ぎていて更新結構開いてしまいました。今回の小説は魔法ファンタジーでの学園物ですね。地球出身の人間が~みたいな異世界系ではないハイファンタジーです。
中身としては天才魔術師でありながらそれ以外は年相応な少女である主人公が、ひょんなことから学園に通う王子の影の護衛として学園に潜入することになり、そしてそこで人間的に成長していくという感じです。
こういうモチーフだと天才魔術師という部分にフォーカスを当てて主人公を持ち上げるのが最近のブームというか流れですが、この小説はそうではありません。その部分は主人公という人物を構成する一要素であって、それ以外の人間的な部分にもきっちりと焦点が当てられており、天才魔術師(数学が非常に得意)であるというステータスがどこにでも出張ってくるというような構成にはなっていません。
それは主人公の脇を固めるキャラクター達も同じで、誰もが皆悩みや葛藤などを抱えており、その人間らしさをうまく物語の上で昇華していくような、気持ちのいい物語になっています。
ストーリーも綺麗にまとまっており、魔術などの設定も凝りすぎず、それでいて説得力がきっちり出るような風に描かれているのでとても完成度が高い小説だなーというのが私の感想です。キャラとしては主人公のモニカが好きですね。
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ここから先はネタバレを含みます。中身としては主人公の性別による攻略対象の選び方って変わるよねみたいなことが書いてあります。
この小説は女性主人公であり、恋愛の要素も入っているわけで、フェリクスとシリルがその対象になっています。その上で最終的には主人公であるモニカがどちらの男性もまだ選んでいない状態で物語は完結を迎えています。
まあ言っちゃあなんなんですが男性には複数のヒロインが理想なんです。子供を産むのは女性で男性は自分の種を残すのに対して負担がないわけです。まあ倫理的にどうとかは置いといた話ですが。事実、恋愛要素が入る男性主人公物って大抵はヒロインが何人かいると思うんですよ。で、アニメなんかを見る層にとってはそれが当たり前になっています。
それが女性の場合だと話が変わってきます。先に言った通り、出産はリスクが高い行為であり、とっかえひっかえとはいきません。複数の攻略対象を侍らせるのではなく、よりよい恋愛対象を選ぶというのが女性の終着点だと思うわけです。乙女ゲーをやったことはないのでわからないんですけど、ハーレムルートとかはあるんでしょうか。いや、あるとは思うんですけど、ギャルゲーのようにほぼ必ずあるとは言えないんじゃないかみたいな気持ちがあります。わざわざ調べようとは思わないのでアレなんですけど。
とまあ若干生々しい話をしたわけですが、そういう私の考えもあってどちらか一人を選んで物語上で蹴りを付けて欲しかったみたいなどうでもいい話です。個人的にはシリルを選んでほしい……。こんな一行で終わることを長々と説明するのはこじれたオタクだけ! 本編でない番外編の方で更新があってそちらで続きが書かれそうな雰囲気もあるのでそうしたら勝手に満足してニコニコします。以上です。