【小説紹介と雑談】《『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO》とMMOの話し
呪詛が蔓延し、異形の化け物である魔物が跋扈する世界を舞台にしたVRMMO『Curse Nightmare Party』。
プレイヤーも呪いによって異形の姿を取り、呪いが込められた道具を操って戦うダークファンタジー系のゲームである。
そんな世界にて彼女は禍々しい妖精の姿を取って冒険を始めた。
本編あらすじより
おすすめ度☆☆☆☆
(おすすめ度 指標
☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説
☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説
☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ
の目安で付けています)
記事更新がちょっと空きましたが、最近寒暖差が激しくて眠れないのでやる気を失ってました。不眠は社会性を破壊します。
今回の紹介する小説は呪術モチーフのVRMMO物ですね。呪術モチーフのVRMMOにてキャラメイクの結果、13の眼がある妖精となった主人公が、ゲーム内世界を成り上がっていく話です。
中身は呪術を土台とした世界観に、次々と現れる敵から手に入れた素材で自分を強化し、そして主人公以外のその他プレイヤーにその能力で暴れて、また次の敵を倒すというサイクルを繰り返していく、まさしくMMO的な話しになっています。
サクサク読み進められ、盛り上がるところはちゃんと盛り上がってくれる期待を裏切らない感じですね。説明すると矛盾が生じやすくて詰めるのが大変なところ(主人公の人間性の元とかゲーム運営の都合のよさとか)は置いて、他の魅力的な部分でその辺をカバーしているのが潔くていいなーと思います。
こういう成長していくVRMMO物が好きな人にはおすすめです。
https://ncode.syosetu.com/n3014fi/
ここから先は雑談なんですが、VRMMOって小説ジャンルはかなり人気ありますよね。それを下地にした異世界転移とかも含めるとかなりのヒット作がありますが、これらのファン層は熱量が一味も二味も違うなって思います。
前に紹介したシャンフロとかデンドロとかは個別にwikiが作られたりしてます。すごくないですか? 一つの小説にwikiが作られるほどの情報量って。そしてそれを作って編集しようと思う熱量って。ちなみに今回紹介した小説もwikiが作られております(こちらは作者さんの他の作品群と共通しての物っぽいですが)。
これだけの熱量を読者に発生させているわけで、もちろん小説自体の面白さがすごいのもそうですが、いかにVRMMO(物語の都合でVRがついてるわけで、実際には面白いMMO)を求められているのかというのが分かります。これらの小説の感想ではこういうゲームやりたい! みたいな感想も多いです。単純に面白いMMOやりたーいみたいな話もよく聞きますしね。
しかしながら正道であるゲームでのMMOはそこまで芳しくありません。今でこそff14がかなりユーザーを伸ばしていますが、それまではWoWが全盛になった時代から、小粒はあれど大ヒットを飛ばしたMMORPGというのはないに等しいです。それはなんでだろうと思って少し考えてみました。
問題はたくさんありますが、実際のところ、小説ジャンルのMMO読者が求めているMMORPGというのはだれでも『何者かになれる』という場所なのではないかと思います。英雄譚の主人公には感情移入できなくてもゲームという枠組みでなら『何者』かになれるという夢を上に挙げたような(VR)MMO物は魅せてくれるという。
しかしながらゲームではどうしても枠を決めなければならない以上、その人だけのストーリーから紡がれる『何者か』になれる道筋なんてものはリソースの都合、作れません。
強者という『何者』になれるようなレア装備を実装するにしたって、それは数多の『何者』にもなれなかった人たちの上で成り立つ物であって、そんな少数のためのMMOはゲームとして成り立ちません。手段が課金だろうが運だろうがゲームの上手さであっても同じです。
そこで取りこぼされた人たちが別ジャンルで『何者』かになれる、もしくはならなくても満足できるだけのリソースというのをゲームのMMOでは生み出すことが難しい。この辺VRになったら体験の良さとかで何とかなるのかもしれませんが、今の段階だともう一段階ブレイクスルーが起きないと厳しそう。
まあ言ってしまえばすごい当たり前の話しなんですが、小説ジャンルの(VR)MMOというのは現実のMMOとは全くの別物なんだなぁということですね。何を当たり前のことをつらつら書いてるんだって言われると悲しくなるのでやめてください。