オタク文化の切れの端

基本的にweb小説を紹介するブログです。普通のラノベも読みます。批評とかもします。たまに一般文芸とか映画の感想とか思ったこととかが入ります。

【ネット小説 紹介】フォルカスの倫理的な死

人造の肉と、人造の猫と、本物の猫の話

 

 概要欄より 

 

おすすめ度☆☆☆☆☆

 

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 

 この小説はSF短編です。あまり短編は読まないのですが、この小説は元々作者の方をツイッターで知っていたので読んだという経緯があります。

 生き物を殺して糧を得ることが禁止された近未来、人工的な食事が圧倒的主流になった世界。主人公であるわたしは猫を飼っていた。ペットフードにも押し寄せるその流れ。主人公が飼っていた猫、フォルカスは人工的な食事を受け付けなかった。そして…… みたいな話です。正直あらすじ書くのもすごい無粋な感じがしますがともかく。

 短編というのは長編と違って無駄な言葉に敏感であると私は思っています。どうしても短編の文字数だとテーマを二重三重で複雑に表すのは無理なのでテーマへと収束するストーリーや伏線というのはシンプルなものになります。それかどんでん返しまでのストーリーが伏線なんてパターンもありますがそれはともかく。

 なのでよくできた短編というのは非常にシュッとしてスマートな印象を受けます。文節ごとに無駄なところがなく、必要なものが必要なだけ配置されている。シェイクスピアの台本がどの文字列を取っても成り立たなくなると言われているように、非常にすぐれた短編というのも無駄なものがないのが条件なのかなと思ったりします。

 この短編はとても雰囲気がよく、必要なものを必要なだけ描いてテーマへと収束させています。余分な部分がないのにふわりと広がるようにこちらに教えてくれますし、読後感も素晴らしい。一万文字ほどの短編ですが、この短さでこれだけの密度の短編を私は他に知らないです。まああまり短編というジャンル自体読んだことがない私の個人的な意見なのであれなんですが、少なくともネットに上がっているものでは。

 この短編だけで作者の方のファンになってます。短くまとまっているので読みやすく、すごくおすすめです。

  またこの作者さんは現在ノベルアップというサイトで小説を連載されており、私はまだ読めてないのですが、時間があるときに読んで紹介したいと思います。

※紹介しました

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881239629/episodes/1177354054881239634