オタク文化の切れの端

基本的にweb小説を紹介するブログです。普通のラノベも読みます。批評とかもします。たまに一般文芸とか映画の感想とか思ったこととかが入ります。

【ネット小説 紹介】TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す  ~ヘンダーソン氏の福音を~

 一人の男性が不幸にも命を終えた。しかし、彼は瞑想の中で神と邂逅し、異世界へ“自身を望むがままにする”権能を与えられて送り込まれることとなった。遠大な神が考えることは分からない。与えられた福音は、ただ「汝が為したいように為すがよい」との形なき代物であった。

 「TRPGだコレ」

 しかし、主題を与えず、キャラビルドに制限を設けない権能を与えてはいけない人種が一つ存在した。それはマンチキン、データマンチや和マンチとも呼ばれる、データさえ存在するなら神殺しにさえ興じる変人。彼はデータを隅から隅までなめ回しながら、世界を巡る旅に出る。

 ヘンダーソンスケール行方不明のハイファンタジー冒険譚、ここに開幕。

副題:だからキメラクラスはプレイアブルにすんなってあれ程(ry

Twitterで進捗報告、及び小ネタとしてルルブの片隅など呟きをしております。ID:schuld3157

オーバーラップ文庫様より書籍化が決定致しました。
六万文字以上の書き下ろしを加えて2020年4月25日発売予定!
書籍化に伴い改題しております 旧題[ヘンダーソン氏の福音を【データマンチが異世界に転生してTRPGをする話】]

 

 

おすすめ度☆☆☆☆

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 

 この小説はTRPGをモチーフにしたハイファンタジーです。リプレイ風味の小説ですね。

 個人的にこのジャンル、かなり好きなんですよね。基本的にTRPGをやってる人が書く訳ですが、そういう人たちって世界観のこだわりが強くて、きっちりやってくれるので芯が入りやすいというか。世界観という土台もそうですが、キャラクターもちゃんと行動原理を考えてやってくれるので大抵面白い。まあそれだけの熱量がある人しかやっていけない界隈という印象があります。

 中身は異世界での冒険譚と王道。TRPGをやっていない私でもわかるわかりやすい脚注で用語もきっちりカバー。少し引いた風味で描かれる一人称は取っつきやすく、世界観の作りこみに対して入りやすいです。キャラクター造形もすんなり入ってきますし、作者さんの力量が伺えますね。章ごとの区切りがハッキリしていてここもTRPGっぽいなと思ったり。

 個人的な趣味で言えばもう少し描写を重くして世界観と釣り合いを測った方が好みであり、万人受けしやすそうとは思いますが、それはそれでこの軽妙なテンポを崩してしまうことになるので難しいところ。ロードス島戦記とかが好きだった人に共感してもらえるかもしれません。とはいえそれは個人的な好みでしかなく、この小説がめちゃくちゃ面白いのは間違いなし。

 私もこの小説読んで久しぶりにTRPGやりたい欲が首をもたげてきたのですが、一回足りともこの欲が叶ったことはなく。周りにやれる人間が一人足りともいないので悲しい話です。自分で人を探しに行くという熱情があるわけでもなく、ぼんやりしているうちに鎮火するというのの繰り返し。いつかやってみたいもんです。

 TRPGにちょっと興味あるなんて人には是非。雰囲気が楽しめると思います。もちろんファンタジーが好きな人にもお勧めです。

 

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