【小説紹介と雑談】Game of Vampireと愛される資格の話
レミリアとフランが従姉妹と遊ぶお話。19世紀末ぐらいにスタートです。
東方×ハリー・ポッターものです。特にハリー・ポッターはif要素強めなので注意。
おすすめ度5/5
この小説は東方とハリーポッターの二次創作であり、クロスオーバー小説です。流れとしてはハリーポッター原作のもっと昔、ダンブルドアが学生であったあたりから物語が開始します。そこに東方原作の吸血鬼の二人+オリジナルの吸血鬼が原作の流れに介入するという形式です。クロスオーバーですが、文章の力が強く、どちらも知らない前提だったとしてもそこそこに楽しめるでしょう。とはいえ、ハリーポッター側を知っていれば十分に、東方も知っていればニヤリともできるはずです。
内容は話ごとに変わる一人称を通じて元となる二つの世界を融合させながら、どちらの世界のネームドキャラと関わらせつつ、進行していきます。ダンブルドアの同級生に東方のパチュリー・ノーレッジがいたり、ゲラート・グリンデルバルドの横には吸血鬼がいたりと、原作と違う要素には事欠きません。
視点を担当するのは基本的に東方側のキャラなのですが、そこから覗く世界観は、世界中の人々を熱狂させたハリーポッターの世界観をそのままに、東方の要素も織り交ざった非常に複雑でがっしりとしたものになっています。安定した文章といい、話の構成のうまさも一級品です。
二次創作に嫌悪感がなく、そのうえでハリーポッターや東方を履修しているのならば、非常に楽しむことができると思うのでそういう人はぜひ読んでください。読まないと損ですし、読んだら得します。
ここからは感想
この作品はキャラクターの解像度が高く、その上で対となるキャラクターの対比が非常にうまいです。個人的な好みを上げるならパチュリーとダンブルドアの関係性が一番好きですね。好きなキャラはムーディです。油断大敵!まあ変身されてた時と連続性があるわけじゃないのに好きなのはそもそものムーディのキャラ付けが好きなだけかもしれません。
少し気になった点を挙げるならば昨夜の話ですかね。彼女は両親、引いては血筋の影響により、周りの誰からも愛されながらも成長していくわけですが、少し思うところがあります。
物語の中でレミリアなどの紅魔館のキャラや、ありとあらゆるヴェイユに関連するキャラたちが昨夜を気にかけます。それらを糧に彼女は成長していくわけですが、彼女は別に愛されるための特別なことをしているわけではありません。紅魔館側に対しての愛嬌はそれに足るものですが、それ以外は愛されていた両親、引いてはヴェイユの功績でしょう。そしてその描写は基本的にアリスの視点からしか映らず、物語の外側で行われてきました。
この作品のテーマとして堂々と掲げられる『愛』ですが、彼女の場合はその特殊な出生によって愛されてきました。紅魔館側が昨夜を愛するのは身内、つまり自身の内にあるのだから当たり前のことです。それだけの描写がありましたし、本編ではそれらを示唆する出来事が無数にありました。
しかしながらそれ以外の昨夜の周り、魔法界の人々にヴェイユだからと愛される描写。対比として持ち出しやすいのでしょうが、愛される資格みたいなことを考えてしまいますね。彼女は愛されるべくして生まれたとなると、『愛』というものがあまり救いのないようなものに見えてきてしまいます。もちろんそれに対してのカウンターとしてルシウスとスネイプの話などがあるんですがそれでもなんかなぁと思ってしまうのは私がいます。
まあなんにせよ素晴らしい物語だったのは間違いないです。描写がまるで見てきたかのように鮮明なんですよね。マホウトコロの描写なんかは特にすごいなと思いました。さすがに描写の元はあるんでしょうが、それを情景に浮かべて描きなおせるっていうのはすごいことです。
物語が100点に近づくと残りの点数の部分を言いたくなってしまうのは私の悪い癖ですね。否定的な文章が多くなっちゃいましたが、全体的な評価で言えば二次創作で読んできたものの中でも上位に入ることは間違いなしです。