【小説紹介と雑談】全肯定奴隷少女:1回10分1000リンとキャラクターの精神的成熟について
- あらすじ
主人公のレンはダンジョンへ潜ることを生業とする冒険者。まだ年若いレンは冒険者としては半人前で組んでもらったパーティで無様を晒してしまい、落ち込んでいた。そんなとき、ある少女の姿が目に入る。その少女は美しい顔をしていたが服装が特徴的だった。使い古した貫頭衣に首には金属製の首輪。そして両手で持ったプラカードにはこう書かれていた。
『全肯定奴隷少女:1回10分1000リン』
おすすめ度☆☆☆☆☆
(おすすめ度 指標
☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説
☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説
☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ
の目安で付けています)
この小説はラブコメです。ただラブコメと言っても他にも異世界ファンタジーの要素が色濃く混ざっているので、そのどちらでもあると言った方が正しいでしょうか。異世界物のようなファンタジーではあるものの、主人公は現地人ですし、異世界人は出てきません。書籍化済み。
ツイッターの一発ネタが題名のもとになっている小説です。正直タイトルでブラウザバックしそうになるものの内容はなろうの中でとても完成度が高く、非常によく出来ていてびっくりします。
高い文章力と構成力、それを背景にキャラ立ちされた魅力的なキャラが出てくるのがこの小説の魅力です。
構成がキャラの魅力を引き出すよう焦点を当てて組まれているのがわかり、とても上手だなぁと思うと同時にキャラへの愛着が湧いてきます。
ラブコメって複数ヒロインが構成上必須になりがちですが、そうなるとキャラ毎のエピソードが薄くなりがちで、それを解消できるのは結局高い筆力なんだなぁと思わされるというか。
正直なろうだけではなく商業の作家さんでもおかしくないと思っていたのですが、この作者さんの別作品がGA文庫で大賞に選ばれてました。gaの大賞はダンまち以来出ていない超難関です。しかしながらこの作者さんならと納得してしまいました。そっちも読んだので今度記事書きます。
作者さんの技量がやばいので世界観や設定も練られていて異世界ファンタジーとしても完成度が高く、色んな人にお勧めできる小説です。物語内で聖典解釈を絡めて魅力的な文章書くなんてのは教養がなければ出来ないですからね普通。それだけでも作者さんの力が察されます。
ここからは個人的な話しなんですが、この作品のイーズ・アンのようなキャラがかなり好きなんですよね。聖人とか賢者みたいな達観したキャラクター。
私たちはかの有名な釈迦やキリストのように悟りに至っているわけではないので、悟りの感覚というのは分からないわけです。ここで私、悟ってますって人は哲学者なり宗教を作ったりした方いいかもしれません。
まあそれはともかく。私たちの一人である作者の方もこの種のキャラクターを書く時には想像でやるしかないわけです。まあ物語って基本的にはフィクションですからね。ある種のジャンル以外はそうなります。
まあでも物語に出てくる架空の物って現実の延長線上だったり、他の物語で知ってたりすることが多いじゃないですか。例えばドラゴンって言えば西洋タイプか東洋タイプか違いはありますが割とパッと思い浮かびますよね。基本的に知らない物を一から説明するんじゃなくて、現実の物を引っ張ってきてるわけです。一から説明するとめちゃくちゃ時間かかりますしね。そういう骨子の部分は持ってきて説明を省いたうえで、それを想像で補って肉付けして提供すると。肉付けの上手さがキャラクターや設定の魅力、ひいては物語の面白さに通じるわけです。
話は戻りますが私が好きな達観したキャラクターは想像で押し通すことが難しいです。そりゃあ漫画とか小説でそういう役職のキャラクターは腐るほどいますよ。でも基本的にそういうので見る聖人なんかは宗教関連の人という意味でしかないですし、賢者はただ人より知識を多く持っていて魔法に卓越しているみたいな意味でしかないわけです。そりゃ話の本筋には関わらないし、難しいですからね。普通は精神の深堀なんてわざわざしないので全然知らない。知らないものに手を出す必要もないのでみんなやらない。
別にそれはそれで楽しめますが、私はどのキャラでもその役職に到達する過程で必要であったであろう精神の工程を感じたいんですよ。オタクなので。聖人なんかは難しいの極みなんですがその辺り、この小説だときっちり説明されていてとっても好きなんですよ。とても。
長々話してしまいましたが要約すれば一言ですね。面白いので読みましょう。以上です。
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