オタク文化の切れの端

基本的にweb小説を紹介するブログです。普通のラノベも読みます。批評とかもします。たまに一般文芸とか映画の感想とか思ったこととかが入ります。

【小説紹介と雑談】夜伽の国の月光姫

とある小国にアルエという美しい王女がいました。けれど、この国には隠されたもう一人の美姫、第二王女のセレネという少女も居たのです。セレネは、その異質さにより忌み子として扱われ、国ぐるみで秘匿され、暗い部屋でひっそりと命を繋いでいました。でも、セレネには誰も知らないもっと大きな秘密がありました。セレネの中身は、おっさんだったのです……


※そして、本来なら封印されるべきおっさん姫は、2015年10月25日にTOブックス様より書籍として、檻から放たれた獣のごとく発売される事にもなったのです……

 

本文紹介より 

 

おすすめ度☆☆☆☆

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 この小説は(一応)ラブコメであり異世界転生物でもあります。主人公はとある国の王女でその中に現代で暮らしていたおっさんが転生しています。この中身であるおっさんは下種な性格をしていますが、見た目はとても儚げな美少女となっており、それによって起こる勘違いによって物語は思わぬ方向に……といったあらすじとなっています。

 少し思ったんですがこれ一時期流行ってたバ美肉に似たところありますね。バーチャルかは置いておきますが。あれも中身のおじさんが可愛い見た目でおじさんの言語を穴すというギャップが受けてるとこありますよね。この小説もその辺で笑わせてくるのでやはりギャップは正義です。

 異世界転生物ではありますが現代知識で無双とか、特別な能力により周囲を圧倒とかはありません。主人公の基本行動方針は下世話でだらけたおじさんです。しかし見た目は美少女。ただただ見た目と中身が乖離した主人公が周囲に勘違いされながら本人の意思とは関係なくどんどん持ち上がっていくのがこの小説の面白さです。

 勘違い物って話としての整合性を取るのが結構難しいジャンルですよね。主人公の意図と違ってこういう風に誤解されてしまったというのにある程度説得力がないとダメですし。なんかまあ説得力というよりはこじつけ力といった感じもありますが。

 この『夜伽の国の月光姫』はそのような勘違いコメディとしてとてもうまく出来ており、ひたすらに主人公をけちょんけちょんにする地の文も相まって読んでる最中ににやりとしてしまいます。

 またこの小説ではあまり現代のことを出してどうのみたいな描写はあまりなく、異世界と勘違いコメディ―で成り立っており、しっかりとした地盤のない異世界ファンタジーでこれができるというのは作者の力量を感じさせます。こういう世界でのコメディーは寄る辺が少なくて大変ですからね。私たちが現代で暮らしているので当然ですが、ファンタジーでも通じる現代からのギャグというのはなかなかないものです。その辺をうまくやれるというのはやはりすごい。

 あと最初にラブコメと書きましたが主人公の中身としては全くラブしないのでちょっと注意が必要ですね。コメディ9割です。なんにせよ面白いことには違いないので勘違いコメディ―が好き! という人は手に取ってみてはいかがでしょうか。おすすめです。

 

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夜伽の国の月光姫 (TOブックスラノベ)

夜伽の国の月光姫 (TOブックスラノベ)