【小説紹介と雑談】本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~
あらすじ
本が好きで、司書資格を取り、大学図書館への就職が決まっていたのに、大学卒業直後に死んでしまった麗乃。転生したのは、識字率が低くて本が少ない世界の兵士の娘。いくら読みたくても周りに本なんてあるはずない。本がないならどうする? 作ってしまえばいいじゃない。目指すは図書館司書! 本に囲まれて生きるため、本を作るところから始めよう。※最初の主人公の性格が最悪です。ある程度成長するまで、気分悪くなる恐れがあります。(R15は念のため)
本文紹介より
おすすめ度☆☆☆☆☆
(おすすめ度 指標
☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説
☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説
☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ
の目安で付けています)
この小説は異世界転生物に属する小説です。主人公は生まれた家庭で愛情を一身に受けながら、生前の望みであった本に囲まれて過ごす目的のために活動することを決意します。しかし転生先の世界では本は上流階級の物。そんな現状を打破するために自分の持てる知識全てを使って邁進し続けます。そんな革新的すぎる彼女を世界が放っておくはずもなく……といった感じで、まあ本好きというのはともかく、設定だけを端的に言ってしまえばなろうの異世界チートみたいな話なのです。
しかしこの小説のすごいところはそこではありません。展開の流れがとても自然なのです。ネタバレになるので詳しい展開は書きませんが、こうなった事態はこうなるのが通例であるというのが世界観として完全に出来上がっており、キャラクターたちはそこで生きている一人の人物として目的を持ち、それに向かってやれるだけのことをします。
つまりキャラクターやストーリー有りきで創られた物語ではなく、まず確固たる世界があり、その上でそこに生き抜く人々の物語を主人公の視点から追うといった形になっているのです。
この物語の創り方はかなり難しく、きちんとした整合性を持たせ世界観に厚みを持たせるためには、膨大なイマジネーションが必要になってきます。私が最近読んだ中で創り方が近いのは、漫画になりますが『乙嫁語り』ですかね。成り立ちが違いますが骨子としては似ていると思います。
基本的に主人公の一人称によって軽く入れるようになっていますが、そこから垣間見える世界観の厚みは他の追随を許さないレベルです。
その上で息づくキャラクターたちの魅力的なこと! 垣間見える仕草や行動にキャラ達の息遣いが聞こえてくるようで、このような自然な魅力というのはこのような創り方の物語からしか出ないなぁとつくづく思います。
とまあここまで書きましたが、ざっくばらんと乱暴に言うなら『めっちゃ完成度が高くて誰でも楽しめる少女漫画』です。誰でも楽しく読めるし、その世界観へ没入できると思います。私はやっぱり神官長が好きです。そりゃああんな風に描写されたら好きになりますよ。
今まで目には入っていたものの放置していて、割と最近に読んだのですがこれはすごいなぁと思い、今まで読んでなかったのを後悔しました。アニメ化も決定したらしく、まあ順当だなぁという気持ちです。
ここ数年読んだweb小説の中でトップクラスの出来だと思っているので、なんかいい作品が読みたいなぁと思っている人には特にオススメします。間違いない。
あと今ならkindle unlimitedで書籍版も読めたと思います。入っている人は是非。
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