【小説紹介と雑談】『その勇者、虚ろにつき』と推しのいる人いない人
剣と魔法の世界、魔王との戦争に明け暮れる同盟四国の一国、ノル国は国秘とされる召喚魔術により、現代世界より呼び寄せた勇者で魔王を倒そうとする。
しかし、現れた勇者は心持たぬ虚ろの怪物。魂に空洞を宿す連続殺人鬼だった。
その勇者に願うな。
例え、諦められぬ願いがあろうとも。
その勇者にすがるな。
例え、絶望の淵にあろうとも。
その勇者に挑むな。
されど、人は生き抜くために闘いを選ぶ。
これは世界を救おうとする勇者の物語。
これは世界を護ろうとする英雄達の物語。
おすすめ度☆☆☆(☆)
(おすすめ度 指標
☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説
☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説
☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ
の目安で付けています)
今回の小説は異世界ファンタジーです。魔法のあるファンタジー世界に狂人である主人公が転移してきて、異世界民を虐殺するので現地の強者がそれを止めるべく白熱の魔法バトルを繰り広げます。もっといい説明があるかもしれませんが実際こんな感じ。
主人公は悪役のような行動や言動を行い続けるので、どちらかといえば敵役の方に目が行く珍しい作品でもあります。主人公のキャラクター性的に共感する相手が敵役になるのでそっちに目が行くというか。
割と残酷なシーンも多く、異世界転生系の流れを予想しているとそれを大きく外されることになります。その辺を楽しめるかが好き嫌いの分かれるポイントかもしれません。
内容としては戦闘シーンに重きが置かれていて、そこに至る過程をシリアスに描いているので、こういう土台の整った戦闘描写が好きな人には特におすすめできるものとなってます。ハードボイルド戦闘風味というか。いやまあ厳密に言えば違うと思うんですが伝わってほしい。
普通の転生物は結構お腹いっぱいって人にもおすすめです。
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ここからは雑談なんですが、割と最近になって推しって言葉がよく聞かれるようになったじゃないですか。急に市民権獲得しましたよね、推しって言葉。
昔からたくさん小説やら漫画やらを読んできたんですが、キャラクターを推すってことをしたことがないんですよ。現実の人間でもそうですね。
しかしながらこれだけ推しという言葉が叫ばれて普遍的に使われるようになったということは何かしら皆このような気持ちがあったということだと思うんです。名づけられてなかった概念に名前が付けられたので流行ったというか。
ということで推しがいないという私は少数派に属するわけですが、それについて少し考えてみると物語の捉え方の違いかなぁと。
小説であれ漫画であれ、物語そのものには優劣は存在しないわけですが、それを心が動かされる、情景を想起させるetc→面白いという風に定義すると、どうしてもそこには優劣があります。ここにはそれを受け取った人間のバックグラウンドなども加味されるので人それぞれ違うんですが、それでもある程度共通のものがあってそこが上手だと名作と評価されるわけです。
私は普通の人間より物語を摂取した関係上、この尺度で物語を読みます。キャラクターの存在もいかに”面白い”に近いのかという関係で評価しますし、そこでどれだけ魅力を感じても物語の一要素というところからは抜け出しません。なので推すということに繋がらないわけですね。現実の人間(芸能人とか)も別に会おうと思わなければニュースとかで流れてくるだけなので、物語のキャラクターと同一の見方をしています。面白いなとは思いつつ、何かしようとは思わないわけです。
私のようなことなく普通に読んでいるとキャラクターを物語の一要素ではなく人間として見るようになるので、そこにある思い入れが一定値を超えた時、物語から帰ってきてもキャラクターという枠を飛び出して特別な存在=推しになるというのが私の考えなんですけど、一概にこれだと言い切るには幅広いので何とも言えません。
でもまあ少なくとも何か入れ込む対象がいたほうが生きる気力にもなっていいですよね。精神衛生的にもそうですし。まあそんなこと言って引いた目線だからできないんだぞと言われればそうとしか言えないんですけど、その辺は中々変えづらい訳で。上手く切り替えられるとより人生が楽しいかもなーなんてことを考えておりました。