オタク文化の切れの端

基本的にweb小説を紹介するブログです。普通のラノベも読みます。批評とかもします。たまに一般文芸とか映画の感想とか思ったこととかが入ります。

【ネット小説 紹介】偽聖女クソオブザイヤー

クソのように性根の腐った男が、ゲームのクソみたいな悪役である偽聖女にTS憑依転生してしまった。
憑依先がクソで憑依した魂もクソ。
クソとクソが合体事故を起こして偽聖女クソオブザイヤー!

※頂いた支援絵を一話後書き以外にそれぞれ、場面にあった位置にも飾りました。
カクヨム様とのマルチ投稿です。

 

おすすめ度☆☆☆☆(☆)4.5

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 この小説は異世界転生物でコメディです。ギャルゲーの悪役である偽聖女にTS転生して未来を変えるために頑張るみたいな話です。

 まあ例によってTS物です。この小説、勘違い物でもある上に他にもいくつか。なので属性過多ですがそれらをうまく調和させてるのがこの小説のすごいところです。

 基本的には軽い感じの主人公視点の後に他者視点で同じ場面を描写するという手法が用いられています。一カメ二カメみたいな感じで変わるんですが、この形式は二次創作系統が活発な場所以外であんまり見たことがないんですよね。

 キャラ立ちには適しているものの結局同じ場面を二回やるわけですから話的には進まないので、ストーリー重視の場所だと発展しなかったのかなぁなんて思っています。まあ二次創作が盛んなサイト自体あんまりいかないのでサンプルが少ないのがアレですけど。

 この手法の強みは先に言いましたがキャラ立ちの強さですよね。他の視点で語られることで一人称でありながら視野の広さを確保できて、なおかつ三人称より深堀出来るっていう。こう書くといいことづくめのように思えますが、どんなものにも短所はあるものです。

 欠点は冗長であることですね。話は進まないのでキャラが強くないとできません。二次創作だと元々担保されていますからいいんですけど、オリジナルだと作者さんの力量が試されますね。それまでにキャラ立てしてないとダメなので。

 この小説はそんな難しい構成を取りつつも最後まで物語を崩壊させずにきれいにまとめたところが素晴らしいです。出だしは軽く入りやすい、されども中盤以降はちゃんと深みも用意されてます。もちろんキャラクター表現も素晴らしいですが、背景や人物描写などにもきっちりと手が入っていて隙がありません。ストーリーラインもきっちり〆るところは外さず、序盤から最後まで見据えて一貫しており、とても楽しく読めました。個人的にはやっぱり主人公が好きですね。

 とても面白かったので皆さんも読んでみてください。

 

https://syosetu.org/novel/213320/