【ネット小説 紹介】異修羅
【電撃の新文芸様より、二巻発売中です】
地平の全てを恐怖させた世界の敵、“本物の魔王”を、何者かが倒した。
その一人の勇者は、未だ、その名も実在も知れぬままである。
恐怖の時代が終息した今、その一人を決める必要があった。
世界最大の都市――黄都を目指して、強者たちが集う。
そこで勝ち進んだ一人が、『勇者であった』ことになる。
魔王を倒す英雄の物語は、唐突に終わりを迎えた。
そこには闘争の場を求める修羅だけが残る。
――今、修羅の名は十五名。
柳の剣のソウジロウ。
星馳せアルス。
世界詞のキア。
無尽無流のサイアノプ。
静かに歌うナスティーク。
地平咆、メレ。
音斬りシャルク。
絶対なるロスクレイ。
不言のウハク。
魔法のツー。
冬のルクノカ。
黒曜、リナリス。
窮知の箱のメステルエクシル。
おぞましきトロア。
逆理のヒロト。
※小説家になろうにも投稿しております。
おすすめ度☆☆☆☆☆
(おすすめ度 指標
☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説
☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説
☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ
の目安で付けています)
この小説は異世界ファンタジーです。一言で言えば英雄バトルロワイヤルですね。
一人一人が英雄であり、チートと言える力を持っている15人が頂点を目指して戦うわけです。面白いのがわかりきってる題材ではあります。ただしちゃんと書ければという注釈が付きます。
この題材での問題は一人一人の掘り下げ不足から来るキャラクターの舞台装置化、必然的に多数の視点からの描き方になるので高い筆力が求められるなど挙げればきりがないのですが、その中の一つに同じ実力帯であると読者に思わせなければならないというのがあります。
確かにチートなキャラが周りをバッタバッタとなぎ倒すのは痛快ですが、この題材だとそれが何人もいるわけです。
そのうちの一人が異常に強くて全部持って行ってしまったら英雄と称されたチートキャラがモブになってしまいます。だからある程度拮抗させる必要がある。
例えばその異常に強い一人をラスボスに見立てて他のキャラクター達で天秤を水平にする、なんかをしなくちゃならないんですが天秤が傾いたまま全部ぶっ壊しちゃう、みたいなのをよく見る気がします。まあこれが定石というだけで外しても面白い作品はたくさんありますが、定石を知らないと奇策は打てずといいますか。抜けがちな作品は結構多いですよね。
ちょっと脱線しましたがこの英雄群像劇である異修羅はそのあたりのうず高く積まれた問題をきっちり解決し、創るのはとても難しいがそれができればおいしさが保証されているこのジャンルに新たな金字塔を打ち立てています。
キャラの掘り下げからエピソードの出来、戦闘描写。どの出場者にもキャラが立っていてどの戦いを取っても勝敗が予想できず、このジャンルでここまでうまくやってる小説は記憶にありません。
ただ少しだけ残念なのが中盤あたりで策謀によって……みたいな展開が多めになり、真っ向からの勝負を期待していた自分としてはちょっと肩透かしを食らった気持ちにはなりました。しかしそれが悪いかと言えばそうではなく、ただ単に好みの問題だと思います。
ライトノベルを読んでいる人にならまず間違いなくおすすめです。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054882641261