【小説紹介と雑談】『サラリーマン流 高貴な幼女の護りかた』とラノベのお姫様
あらすじ
「金が欲しい、権力が欲しい」
己が欲のまま意識高い系サラリーマンとして出世街道をひた走る青年、榊平蔵。
しかし、ある日の仕事帰りに、一振りの“鉄の棒”に触れたことで環境は一変!
彼は一般社会から抹殺。特殊な刀を振り回し、この国を守る能力者集団『近衛』に放り込まれてしまう。
そこで出会ったのは国を統べる皇族の一人娘、日桜殿下で――――。
今まで築き上げてきたエリートの立場を剥奪されて、任命されたのは”高貴な立場にある幼女の護衛”。
幼女の世話をし、幼女に諭され、幼女を護る。そんな青年の新しい仕事が始まる!
『書籍化』
オーバーラップ文庫より「サラリーマン流 高貴な幼女の護りかた1」が刊行されました。
第二巻が五月二五日に発売となります。
オススメ度 ☆☆☆☆
(おすすめ度 指標
☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説
☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説
☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ
の目安で付けています)
この小説はなろうでは珍しい異能力バトル物です。サラリーマンとして出世街道をひた走っていた主人公が不慮の事故によって日本刀と接触し、それによって能力が覚醒。国を陰から守る異能力集団『近衛』に配属される……というまあここまで切ってみるとそこまで捻りのない直球な感じです。
そこに厚みを持たせているのがヒロインであり、尊い身分でもある少女との交流による主人公の内面変化や政治情勢に対してのリアリティです。
この辺りが読者の心を納得させるだけの厚みを生み出していて、主人公たちキャラクターを生きた人間へと押し上げています。ヒロインは幼く、そこに対してちゃんとある種のラインを引いて守っているというのもこの世界の当たり前が感じ取れる例ですね。
戦闘も現実に寄せた高解像度の描写に相応しく、理論立てて相手の能力を攻略するという異能バトルの通例をちゃんと踏襲しています。主人公は急激に強くなったりしませんが、地道な鍛錬によって少しづつ向上する能力やサラリーマン時代に培った交渉術による言葉による戦いなど、これはかくあるべしといったところがキチンとハマっている印象です。
異能バトル物ではありますが政治による駆け引きなどがかなりあり、リアル志向寄りになっているので小難しいことはいいから爽快感をくれ! という人には合わないかもしれません。
刀による戦闘、戦いは物理的なものだけではないはず、現実に近づけた異能バトル物をという人におすすめです。
あとは個人的な話しになるのですが、ラノベって基本的には皇族と言えば海外のものになりますよね。どっかのお姫様だとかなんだとか大体は海外の王族なんかが出てくるわけで、天皇の血筋なんかはほとんど出てこない。
この小説はその点が珍しいのですが、やっぱり身近にあるとなまじリアルを知ってるせいか扱いずらいというか。まあ自分の住んでる国の象徴をちょいキャラとかでは出せませんし、半端なことはできないですよね。。その点ラノベでは他の国の姫様なんかは『高貴な血筋の女の子』成分が欲しいみたいな作者の事情でホイホイと出演なされるわけです。
この辺り、海外の実際に王室がある国とかから見たらどうなんでしょうね? そもそもラノベが日本特有の文化みたいなところがありますし、同じように海外の皇族なんかをポイポイ放り込む題材自体がないのかもしれませんが、どんな認識なのか気になるところです。
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サラリーマン流 高貴な幼女の護りかた 1 (オーバーラップ文庫)
- 作者: 逆波,Bou
- 出版社/メーカー: オーバーラップ
- 発売日: 2018/10/24
- メディア: 文庫
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