オタク文化の切れの端

基本的にweb小説を紹介するブログです。普通のラノベも読みます。批評とかもします。たまに一般文芸とか映画の感想とか思ったこととかが入ります。

【ネット小説 紹介】厄災の申し子と聖女の迷宮

 

 

おすすめ度☆☆☆☆

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 

 

 この小説はハイファンタジーです。異世界人という名の日本人が結構出てきますが、主人公は現地の人間です。ひたすらに敵を倒し、自身を強化して成り上がっていくというダンジョン物といえると思います。ここでいうダンジョン物というのは攻略日記のような感じで進む小説群の事ですね。例を挙げるなら『蜘蛛ですが何か』とか『異世界迷宮で奴隷ハーレムを』とかになると思います。他にも『迷宮と掲示板』など。

 主人公が日本人ではなく、淡白な性格なので強くなって周りを引き離していく過程でも嫌味を感じさせず、それがサクサク進むこのジャンルの特徴にあっていて、特に大きな起伏はないものの、ストレスフリーで読み進めることができます。ゲームをきちんと攻略してキャラが育っていく感覚に近いですね。

 ネット小説で初めて出てきたと思われるこのジャンルの小説は、エッセンスだけ拾われて使われるなど幅広い活用を見ますが、この作品の王道ともいえる展開の仕方にはやはり力があるのだとこのタイプの小説を読むと思います。

  思うにこのジャンルが好きな人というのはレベリングなどの作業な好きな人と同じ項でくくれる気がします。ゲームのレベリングはやった分だけ必ず成果が出るもので、それよりも成長速度的には早く、作業が少ない代わりに公平性を他者に担保する(小説の展開は作者次第なので)わけです。

 話は変わりますがみなさん、ゲームでチートを使ったことはありますか? 昔流行ったプロアクションリプレイなんかでの改造なんかもそうですが、ああいうものはゲームのバランスを無視したものや莫大なリソースを手に入れられます。

 しかしながらそうやってバランスが崩壊したゲームというのは味気ないものです。そうやって最強になった場合、ほとんどの場合長続きしません。皆さんも覚えがあることでしょう。公平性の中で他者より強くなるというのが面白さなのであって、そこをチートで抜いてしまえばただの裸の王様です。これはこの小説ジャンルにも言えることでしょう。

 なのでこのジャンルで人気が出る秘訣というのは爽快感のある成長速度とそのバランスの公平性かなぁと思います。そう考えるとTRPGに近いのかもしれませんね。ゲームマスターである作者が読者の現身たる主人公を導くというか。

 結構脱線しましたがこの小説はその辺りが上手く、程よい成長具合で飽きることなく読み切ることができます。

 軽く何か読みたい! という人にはとてもおすすめです。

 

https://kakuyomu.jp/works/1177354054889370224