オタク文化の切れの端

基本的にweb小説を紹介するブログです。普通のラノベも読みます。批評とかもします。たまに一般文芸とか映画の感想とか思ったこととかが入ります。

【雑談】ミステリというジャンルについての所感

 今日はミステリというジャンルについての話しでも。

 ついこないだやっていたID:INVADED イド:インヴェイデッドという作品があったので見てきました。今ならアマプラやネットフリックスで見ることができます。リンクは下に。

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 まあ普通に面白く見れたんですが、それはこの作品がSF的な物語を内包してたからであって、私は純粋なミステリというものが楽しめない性質というか。

 そもそもミステリというジャンルの楽しさというのが謎を解き明かしていくことだと思うんですよね。たぶん。

 名探偵に自分を重ねるというのは厳しいと思うんですよ。それだけの洞察力を読者は持ち合わせていないわけですから、名探偵の言葉でそれに気づくというのが普通になる。それに自分を重ねるのはなかなかに厳しいですよ。もちろんそのような楽しみ方もあると思います。作中の材料を吟味して自分で謎を解き、それの答え合わせとして名探偵と自分を重ねる。確かに楽しいでしょうが主流ではないと思います。

 それでですが、ミステリを好んで読む人は考えるに謎という要素が解き明かされて行く様子が楽しいんだと思うんですよ。例えるなら数学の式なんかと同じ感覚で、美しく作られた数学の問題なんかが綺麗な途中式や解になっているの、気持ちいいですよね。それがもっと人間に寄ってきているのがミステリというか。まあ私は数学なんて全く履修していないんですけど。

 その辺りの類似性としてミステリの謎というのは事実に即していないといけません。リアリティの要求が他のことより格段に高い。

 例えばですが事件だ! ってトリックの話しになったら突然冷凍庫に合った冷凍イカで殴ったので証拠が残らなかったなんて言われてもええ……? って困惑します。嘘ですよ? 相棒のことは好きです。

 脱線しましたが、なんやかんやで密室殺人が成立した! なんて言われても納得できないわけです。そのなんやかんやが重要なんだと。そこがあやふやだとそもそも成立しない。

 基本的に物語というのは感情をベースとした物です。感情というのは不確かなもので、揺らぎやすいものです。それを見て揺らぐ自分の感情も。物語ではそこを楽しむわけですが、ミステリでそれを出せる場所は限られているわけです。精々犯人の動機くらいなものですが、その辺りですらこんな出来事があったので○○の事を恨んでいましただとかの理由付けが求められます。厳密で余地が少ない世界です。基本的に事件を解き明かしていく、つまり結果から辿っていくとなるとなんにでも根拠が必要になりますからね。

 謎というのは突き詰めていくとどんどん機能的になっていくものです。一見すぐには分からないものの事実を複合的に組み合わせていくと真実が見えてくる。その間にあやふやなものはないわけです。過去に遡っていくわけですから。もう起こったことは揺らぐ余地がない。

 その辺り感情喚起的な物語が好きな私だとあんまり相容れないというか。起こったことは変えられないことで、変えられないことに対して考えてもしょうがないみたいな私の考え的に面白く見れないというか。なんでも楽しみたいという私的にはなかなかつらいことですが、パッと矯正できるものでもないんですよね。難しい。

 ミステリが好きな人は理系的な人なのかもしれないななんて勝手に思ってます。勝手に思ってるだけなので正誤は知りません。まあそんなことをID:INVADEDを見ながらつらつら考えてました。私がただ面白いミステリに出会ってないというのが案外真相かもしれませんね。

 ではまた。