オタク文化の切れの端

基本的にweb小説を紹介するブログです。普通のラノベも読みます。批評とかもします。たまに一般文芸とか映画の感想とか思ったこととかが入ります。

【小説紹介と雑談】『俺にはこの暗がりが心地よかった』と小説の掲示板回

「私が選んだ1000人に異世界へ行ってもらう」
全世界のディスプレイに現れた神の言葉によりその騒乱は始まった。
幼馴染みが転移に選ばれてしまった黒瀬ヒカルは、彼女が転移する当日、彼女と共に殺害されてしまう。しかし、なぜかヒカルは死なず、権利がなかったはずの『行動のすべてを地球でライブ中継される異世界転移』に選ばれてしまうのだった。
何の準備もなく魔境へと転移させられた彼は、何度も死の危機に直面しながらもギフト闇の精霊術によりどうにか生き残り続けていた。
「死ねない。地球でみんなが応援してくれているはずだから――」
これは、視聴者達の視線に翻弄されながらもやがて前を向き歩き出す、精霊に愛された少年の物語

 

おすすめ度☆☆☆☆

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 また期間が開きましたが例によってFF14してました。楽しいからしょうがない。

 今回のこの小説は異世界転移物ですね。あらすじは引用した紹介文の通りです。王道ですね。作者の方がタイトル変えるかもーと書いていたので変わった時は記事タイトルも変えときます。

 このような感じの設定でよくある主人公周りだけ解像度を高めて、それに都合のいいよう世界側を歪めるご都合主義みたいな感じではなく、しっかりと物語が練られており、世界の上にキャラクターが動いているのが感じ取れます。

 異世界転移物というのはこの辺りの匙加減が難しいです。基本的に読者は主人公の活躍を望んでいるわけですが、主人公に有利すぎてパカパカ無双されると物語のリアリティがなくなってしまい、これってただの空想じゃん! と醒めてしまうことになります。そりゃあ全部が全部自分に都合のいい世界に生きている人はいませんからね。これは裸の王様だと気づいてしまうわけです。

 かといって現実に即したような苦難を描くとそこから抜け出して活躍する道筋が遠くなり、切ったばったで無双するような単純な主人公の活躍からは遠くなってしまいます。もちろんそういうこと以外にも主人公が活躍する手段はあるでしょう。しかし現実的な路線で行くと栄え辛い、もしくは適切な知識がかなり必要になり、ご都合主義的な設定チートでそこを打開すると上の醒めてしまうことに繋がってしまいます。

 この辺りをうまくコントロールして主人公などのキャラクターに感情移入させるような物語を創るのは作者さんの力量がないと成立しません。その辺りこの小説はとてもうまくやっていて、少し引っ掛かるところはあるものの(視聴者数の話しとか現実社会の動きなど)サクサク読めてかなり面白いです。

 とまあ紹介とは少し離れるんですが、この小説にはいわゆる掲示板回が結構出てきます。現実の匿名掲示板を模した感じのアレです。

 私は結構好きなんですが、なんでだろうと考えた時に主人公の優位が明確に再確認できるからかなーと思うんです。

 実際の匿名掲示板はともかく、こういう物語で出てくる場合は主人公たち以外の民意として現れるわけです。基本的には一般の人たちが主人公について語るわけですから、話題の中心です。しかも彼らが主人公の起こしてきた事実を言って再確認しても露骨なヨイショには感じません。あまり嫌味なく主人公の業績が確認でき、話題の中心にもいます。カタルシスポイントが貯められます。読んでて気持ちいい!

 しかしながらこれが成立するには語られるだけの業績が主人公に必要なわけです。その辺りの積み重ねが疎かだとそもそも成立させれません。何もしてない主人公を褒めそやせませんよ。無い袖は振れない訳で、その辺りはやはり作者の方の力量が大事。その辺りが私の掲示板回が好きな理由なのかなーなんて思いました。

 とまあ結構脱線しましたが、サクサク読めてとても面白いです。異世界転移系を読みたい! けど露骨なのはちょっと……みたいな人には特にお勧めです!

 

https://ncode.syosetu.com/n7820go/

 

 

 

【小説紹介と雑談】『お前が神を殺したいなら、とあなたは言った』とエンタメぱぅわー

「ナオキ、君に神を殺してほしいんだ」

 現代日本新興宗教の教祖として生計を立てていた神城ナオキは死んだ。そして彼はその罪ゆえに、無限の地獄へと送られることになった。
 だがなんの手違いか、はたまた陰謀か、彼は神々が実際に存在する異世界「エルマル」に送り込まれる。神とその神官たちが支配するこの世界において、神の加護も特殊な能力も持たぬまま、ただ「神を殺せ」という使命だけをその身に帯びて。

異世界に転移した現代日本人が、「本当の神」を信じその恩恵を世界にもたらす教団を駆逐し、自分の教団で世界を支配していく物語です。
※主人公はいわゆるチート的なものを一切使えません(展開がダルくなるので言語は初手から通じる方向性で)。
※各話タイトルの後ろの(+n日)は、1つ前の話からの時間経過を示します。
※登場人物はだいたいみんな死にます。人によっては鬱展開と感じるかもしれません(作者的には想定より全然そっち側に行かなかったなというのが所感です)
※教会内部の派閥名を見て「あっコレってアレじゃんね」と思った同胞が万が一にもいたらお声がけください

 

おすすめ度☆☆☆☆

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 

 この小説は神学を中心としたファンタジーです。内容としてはファンタジーな部分は少なく、神学を中心に研ぎ澄まされた登場人物たちによる人の限界に挑むようなやり取りが繰り広げられます。

 神学という余り馴染みがないだろう分野を題材にしたこの小説は、深い知識に裏付けされた恐るべき完成度を誇っています。

 昔私が記事に書いたことなのですが「例えば賢者という役職はライトノベルなどにおいてただ知識がありすごい力を使える人という符号でしかない」というのがあります。

 その記事内にも書いた通り、賢者を賢者たらしめる経験と知識を作者が想像するにはそれだけの思索・経験が必要であり、それはとても難しいことでだからこそそれが書かれている小説は最高! という話しです。

 この小説はその高コストを全て支払いきり、その上で私のようなあまり勉強をしていない人間にもわかりやすく小説という形に落とし込み、なおかつ面白いというすさまじいことをしているのです。

 私はあまり神学について知らないので文章で示されたものに「うんうんそうだよね」と頷いたほんの十数行後に示された新しい解に「そっちのが正しいかも!」と飛びついたりと糸の切れた凧のように考えをふらふらさせることになりました。弱い。

 終わり方も最初から筋道を決めておかなければ辿り着かないような非常に美しい終わりであり、構成の面においてもすごい。90万文字を超える長編をこう落とし込める筆力。

 作中のセリフや行動にはほとんどに確かな説得力があり、それが息もつかせぬ怒涛の勢いで最初から最後までを覆っていて、作者さんのパワーをこれでもかと浴びせかけられた私はばたりと倒れたのでした。

 これだけの小説が普通に転がっているなろうというのは恐ろしいところですね。なんと無料で読めちまいます。怖い。皆さんぜひ読みましょう。

https://ncode.syosetu.com/n7775do/

 

エンタメ力の話し

 とまあここまで絶賛しているのですが、お気づきの方もいるかもしれません。私のおすすめ度としては☆4つにしています。

 私個人としてはすごく面白く、これを書いた作者さんに畏敬の念を捧げているところなのですが、それが万人に受けるわけではないというのがその理由です。

 この小説はかなりのハイカロリーで少なくとも流行りのライトノベルのようなお菓子ばかり食べている人にとっては中々に”重い”のは間違いないはずです。少なくとも思索や勉強を好んで食べるくらいの人間でなければサクサク読むことは無理でしょう。

 この小説の面白さの本質はキャラクターの魅力や設定の奇抜さではなく(もちろんそこも面白いですよ!)神学と言う学術に対する人々の闘いなのではと思います。

 日本語ではこれらは一纏めに面白いで括られますが、この面白さは比重で言えばinterestingの方、無理やり和訳すれば”興味深い”という類いの面白さに傾いてるのではと言うことです。

 この”面白さ”というのは知を愛していない方々には伝わり辛いもので、エンタメ小説が好きな――とりわけライトノベルが主戦場の――人々にはそこまで響きません。そして彼らこそエンタメ小説という分野において大衆派であって、その点から見ると万人におすすめできるとは言い難いなーというのが私の考えです。

 彼らが求めるのはエンタメぱぅわーが高くて面白い小説であってinterestingの方ではないですからね。まあこの小説、エンタメぱぅわーもかなり高いのでそういう読み方でも読めちゃうのがヤバいんですが。

 それと一つだけ、ちょっと不満な点があります。まあこれはうるさいオタクの戯言なので小説の面白さには全く関係ありません。

 それまでひたすら学術への人々の(営み)を見せられ、それも歴史と言う大きな流れの中ではほんの少しなのは本当に美しいと思うんですけど、最後の一話だけがエンタメに積極的に屈した感じで違和感があります。

 そうしないと主人公の動機付けや本編中薄っすら出てきたシステムとしての神に回答できないのはそうなんですけども。現実の神学をめちゃくちゃうまく補完して早送りで描いてる人間の闘いに部外者が出てくるのが嫌と言うか……。個人的なわがままでしかないのはそうなんですが。

 それはさておき、久しぶりに勉強しようかなと思うようなそんな小説でした。作者さんに敬礼!

 

 

 

 

 

【小説紹介と雑談】『異世界職業図鑑』と長編の難しさ

異世界経済物語(小説家になろうの方でも共通世界観の「少年冒険者の生活」を連載中)

■20200630 本編完結済

 

おすすめ度☆☆☆☆

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

※R18です

 

 この小説はファンタジーの群像劇です。一つの異世界で繰り広げられる数多の物語を章ごとにフォーカスする人物を変えて描いています。なんか堅苦しくなりましたが、本編的には結構な割合でギャグ的なシーンが混ざってくるのでサクサク読めます。あとこの小説、R18なので結構あけすけな表現が出てきますが、あくまでメインは物語になります。

 しかしながらサクサクは読めるんですが、すぐ読み終われはしません。これは前の記事から更新が遅れた理由にも直結してるんですが、この小説、めちゃくちゃ長編です。話数は1000を超えて文字数で言えば730万文字! 参考にライトノベル一冊は約10万文字です。今まで読んできた続き物で一番長かったと思います。読むスピードには結構自信のある私ですら3週間以上かかりましたからね。読み終わってから記事書こうと思ってたらかなり時間が経ってしまいました。あんまり小説読まないって人だったらこの一作読み終わるのに一年かかるとか普通にあり得そうです。

 この小説のすごいところはこの大長編にもかかわらず、中だるみが見当たらず、終わりに至るまでどんどんと盛り上げていき、きちんと完結して見せたことです。編ごとの終わりが物語へと収束していき、一本の線に繋がっています。これは本当にすさまじいことで、これだけの長編を綺麗にまとめるにはその場その場で書いていては絶対に無理です。もちろん厳密に考えていなかった部分は多々あると思います。しかしながら書いたところから展開を組み立て、それを綺麗に着地させる作者さんの構想力には飛びぬけた物があります。

 基本的に小説は読めば読むほどこの展開になったらこうなるだろうなーという予測がつくようになります。これをテンプレと言うか必然性と言うかはともかく、これを外して読者を納得させるのは非常に難しいことです。

 しかしながらこの小説ではこの非常に難しいことを何度も成功させてきます。筋で読んでいると外され唸らされること多数。これもこの作者さんの構想力を裏付けする物でしょう。個人的にはやっぱり蜘蛛の糸編が一番好きですね。

 話自体のクオリティも非常に高く、完結していることもあってこれだけの長編でもガンガンお勧めしていきたいところなのですが、しかしながら人によっては合わないかもという部分もあります。

 基本的に物語というのは不快なキャラクター(ここでの不快は一般道徳に反す立ち振る舞いのキャラ)は登場を減らすべきです。誰だって不快な者を見たいとは思わないはずです。しかしながら古今東西色んな物語では”悪者”が出てきます。そんな”悪者”がなぜ出てくるのかと言えば、それは基本的に免罪符的な話となります。このキャラクターはこれだけの悪行をしたのだから何かに裁かれるべきという理由で打ち倒されてもらうわけです。主人公が何もしてない人を打ち倒したら主人公が不快なキャラになってしまいますから、免罪符が必要なのです。公平世界仮説ですね。

 なので”悪者”は打ち倒されるために必要なカルマポイントが溜まったら素早く退場させるのが基本です。まあ何事にも例外はありますが、それは例外足りうる要素がそろった時のだけです。

 この物語では長編であるがゆえに”悪者”にも長く活躍があり、悪行の報いが起こるまでに結構な時間差があります。そのせいでこのキャラきついよーとなる描写は結構続くことがあります。最序盤のヒモの章はその最たるものです。自分はここで一回読むのやめようかなってなりました。この辺りを耐えられないと厳しいかもしれないですね。ちなみになんですが、この理由で私はリゼロを読み進められなくなりました。主人公がめちゃくちゃするので……。

 非常にクオリティが高いこの作品がそこまで有名になっていないのはR18の検索の壁と上記の壁が大きいのかもと勝手に思っています。あとは全1178話の圧。

 しかしながら食わず嫌いするのはもったいない作品なので皆さん読んでみてほしいです。おすすめです!

 

https://ncode.syosetu.com/n8426ea/

【小説紹介と雑談】『転生エルフ血風伝』と今のなろうの流行り

「汝、夢幻の世界の住人たらんことを欲するか?」それは地獄への罠。強要される未曾有の大量殺人。開始地点はダンジョンの最下層。最初の敵はドラゴン。復讐を誓った元受験生の転生エルフは、やがて大陸全土を巻き込む戦乱の中心へと躍り出ていく……魔王として。

 

おすすめ度☆☆☆

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 この小説は異世界転生物ですね。流行りとしては過ぎ去った感じもありますが、この小説自体が2013年投稿なので当時を考えると流行にきっちり乗ってるという感じでしょうか。

 中身としては転生してきた主人公が魔王として世界に覇を轟かせていくといった感じで王道ですね。主人公以外の人間からの視点変更もうまく使っていて、世界観の広がりも抑えつつ、インフレをある程度コントロールしてるのがうまいなーと思いました。

 しかしながら世界観自体の説明はかなり不足していて、それを賛美的な言い回しで盛り上げて乗り切ってることが多いです。個人的にはもっと地盤を固めて世界観をストーリーで絡めつつ深めていったものの方が好きですね。

 とはいえ面白くないということはなく、こういうあらすじの物語が好きなんだ! って人にはお勧めできます。

 

 ここからは雑談なんですが、久しぶりになろうのランキングを覗いたらタイトルにみんな『もう遅い!』だとか『今更戻らない!』みたいなタイトルがすごい量出ててひえぇ……ってなりました。大抵の作品がめちゃくちゃ長いタイトルで、それを読むと成功が確約されており、元いた場所と比べて優越感! みたいな感じ。

 勝敗のわからないギリギリのバトルだとか失敗しても成長して……みたいな読者にストレスを与えてそれを開放するみたいな小説はなろうでは求められてない感がありますね。カタルシスまでの展開を約束してもらってストレスなしで読むというのが主流という感じ。

 正直こう確約されてると無意識に現実と比べてむなしくなりそうな気もするんですが、人気はあるわけですよね。予定調和的な楽しみ方なんでしょうかね。水戸黄門みたいな感じ。

 なろうの読者層おじさん説みたいなことも言われてるので、現実に重ねてる? みたいなことも考えたんですけど調べた感じ10代20代が半分以上を占めている*1らしいので違うみたいですし。

 個人的には物語に触ってきた数の違いかなという気持ちもあります。ラノベに触り始めたばかりだとこれくらいわかりやすい感じが一番ウケるとか。私みたいな擦れたオタクの総数なんて全体から見たら大したことないと思いますし。別にマーケティングするようにがっつり情報集めるほど興味がないのであくまで想像ですけども。

 何にせよこういう流れ自体は別にいいと思います。しかしながらランキングが汚染されて私好みのが見れないのだけは何とかしてほしいなぁなんて。まあ前々からそうなんですけども。

 なろうのランキングが書籍化の登竜門になってる現状、仕方ないといえばそうですが、そういうPVとかの数値に頼らないで当たる小説を見つけてほしいという気持ち……。まあ納得させやすさが違うのでなんとも。この世は儘ならないことだらけです。

 終わり。

*1:ソースここ!

premium.kai-you.net

【雑談】youtubeに改造されていく私たちと近況でも

 どうもこんにちは。また久しぶりに記事更新ですね。

 小説を紹介したいなーって気持ち、なくはないんですけど書けないでいるのには理由があります。ここ最近なろうのランキングなどを全く見なくなり、完結済みの作品ばっかり追っています。

 星の数ほどある作品から埋まっている作品を掘り当てることよりも個人的には面白い作品をたくさん読みたいんですよね。なので高い評価がある小説ばっかり読んでいるんです。

 まあwebで高めの評価ってなると面白さは当然として定期的な更新や長く続いての完結というのが基本になってくるわけです。

 そうなると必然的に話数が多い小説を読むことになるのでなかなか読み終わらないというか……。まあ毎日飽きずにff14してるのが悪いと言えば悪いんですが。

 とはいえ何作か読み終わって紹介できそうなのもそこそこに溜まったので近いうちに記事を出すでしょう。ちなみに今は異世界職業図鑑を読んでます。1000話超えてるのでもう少しかかりそうですが読み終わったらまずこの小説の記事かなと思ってます。

 

 近況終わり。あとは雑談でも。

 最近ゲームのお供にデュアルディスプレイyoutubeを見ています。皆さんも便利なのでデュアルディスプレイスマホの広告ブロックだけは買いましょう。お得です。

 とまあそこは置いておくとしてみなさんはyoutubeってどうやってみてますか? 正確に聞くならどうやって動画を探してますか?

 思うにyoutubeがおすすめしてくる動画を見ていることが一番多いんじゃないでしょうか。検索窓を使って調べるのはそこまで多くないのではと思います。事実私はそうなので。

 あのターゲッティングはとても精度の高いものでついつい見ちゃうんですよね。私だと料理系の動画だとか生き物の生態だとか雑学系の動画がわんさと出てきます。今だったらハマってるゲームのも出ますね。みなさんもそうなのではないでしょうか。

 それはとても喜ばしいことなんですが、一方でこのまま自分の視点が広まらないんではないかと思ったりもします。

 人は年を経るにつれて色んな物事を知っていくわけですが、どうしても新しいものに触れる機会は減っていきます。そもそも新しいものに対して気力が持たなかったりもしますしね。

 年老いてくると必然的に慣れ親しんだものを再生産再確認というような興味の閉じた円環になってしまいがちです。そのすべてが未来永劫通用するならいいのですが、そうではないのは歴史を見るに明らかです。天動説とか。

 そんな存在になるのを私は非常に恐れているのですが、その対策の一環としてなるべく多くの視点を知っておきたいというのがあります。

 まあ堅苦しくなりましたが、簡単に言えば知らないことは知っときたい! ってだけのことですね。

 しかしまあこういう風に好みを把握されているとその外側に足を向ける機会が失われてる感じがするなーという話しです。

 youtubeなんかだけじゃなくてターゲッティング広告とかもかなり身近にありますし、インターネットのその傾向はますます強まっていきそうです。

 そうやって興味の幅が狭くなっていった結果、自分の世界も狭くなっていくというのは避けたいとこですが、試しにyoutubeのターゲッティング切ってみたら見たい動画を見るのにめちゃくちゃ手間がかかるようになったのでやめました。グーグル様万歳!

 完

 

【小説紹介と雑談】『陰の実力者になりたくて!』と勘違い物

【web版と書籍版は途中から内容が異なります】

※書籍3巻とコミック2巻好評発売中です!

 どこにでもいる平凡な少年は、異世界で最高峰の魔剣士だった。

 彼の名はシド。

『陰の実力者』に憧れる転生者である。

 彼は実力を隠して学園に入学し、理想の『陰の実力者』になるため暗躍する。

 これは、おバカな夢を真面目に叶えようとする少年の物語。

 

おすすめ度☆☆☆☆

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 少し目を離すと結構日付過ぎてますね。最近めっきり新しく読む量が減ってブックマークの更新を見に行くくらいしかできてないのであんまり書くことないというか。まあFF14にハマってるのが全て原因なんですけど。

 まあ読んでる本はたくさんあるのですが、改めて紹介しようとなるときっかけがないのもまた事実。読んだ直後みたいな脳内の占有率が高いうちに記事を書いた方がいいのはそうですね。今回は読んでたストックからの放出なんですけど。

 この小説は勘違い物です。陰の実力者というミームにあこがれて常識をぶっちぎるくらい強くなった少年とそれに深読みして振り回される周りという勘違い物としては王道な感じですね。

 この作品自体はなろうの累計ランキングの上位(今調べたら7位でした)に入っているので結構有名な感じです。今まで結構流行ってはいるものの、なろうのボリューム層にヒットしていなかった部分をきっちりまとめ上げて受けやすくした王道な勘違い物というのが私の印象ですね。 

 そもそも勘違い物というジャンル自体が本来そうなるよね? という読者の認識に反してギャップを出すという話なわけですが、この認識自体がが読者すべてにあるかと言われるとなかなか難しいところがあります。

 読者の層が厚いほど、そのすべてで通用する認識は制限されて行くものです。毎日三食食べてるだとか睡眠は最低でも五時間は取ってるだとか、当たり前だろうと思っていることでも重なっていくとすべてに当てはまっている人間は思いのほか少なくなるもので、それはこのような認識にも言えるでしょう。

 面白い部分がきっちりと抑えられていて読んでいてくすりと笑ってしまうような箇所がたくさんあり、その上で無双的な要素も満たしています。その辺りをうまくやっているこの作品を見ているとやっぱり人気になるにも理由があるんだなぁと感じます。勘違い物が好きな人は読んでまず間違いない感じです。

 

 

https://ncode.syosetu.com/n0611em/

 

 

【小説紹介と雑談】『ログ・ホライズン』とMMORPGという属性

MMORPG〈エルダー・テイル〉をプレイしていたプレイヤーは、ある日世界規模で、ゲームの舞台と酷似した異世界に転移してしまった。その数は日本では約三万人。各々がゲームのキャラクターとしての肉体を得た今、プレイヤーたちは高い戦闘能力、「死」からの蘇生能力を備えた英雄的存在〈冒険者〉とよばれ、この異世界で暮らすこととなる。

 

 

おすすめ度☆☆☆☆(☆)

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 どうも私です。今回は『ログ・ホライズン』の紹介記事です。まあ今更紹介なんてするまでもない有名な作品で、アニメなどのメディアミックスも行われた小説ですね。

 今自分がMMORPGに属するFF14(正確に言うと違うんですけどそこは置いておいて)をやっているのでその辺に関連した小説でもと思って改めて読んだ感じです。

 あらすじと言えばまあ引用文そのまんまですよね。たくさんのプレイヤーがゲームの世界に入っちゃったっていう。この設定が人気になった頃にこの小説、『ログ・ホライズン』が現れて、異世界転移系の爆発的人気の決定打の一つになった……みたいな印象があります。実際の流れとしては結構違うかもしれないですが、個人的な印象としてはそうです。少なくともなろうの小説はこれだけ面白いものもあると確かな価値を示しだしたのがこの小説あたりからかなーと。レジェンド的作品ですね。

 内容なんですが、異世界転移で地に足付けた成長譚を非常に丁寧に描いていて、やっぱり頭一つ抜けてる面白さを感じます。地の文での心の動きを示すのがめちゃくちゃうまくて改めてすごいなーと思いました。

 最初にこの小説を読んだときは何にも考えてないガキンチョだったので、読み終わってもおもしれーーーーーーーーくらいしか感想が浮かばなかったのですが、今読むとなかなか考えることがあって面白いというか。

 例えばなんですが、この作品に出てくるキャラクター達は皆モブとは一線を画す傑物達なわけです。そりゃあスポットライトの当たっている人物ですから当然のことで、誰も物語のキャラクター達がモブ的な動きだけして終わるなんて面白くないです。少なくとも非日常での冒険譚では登場人物は何か非凡な才や幸運があるわけです。

 しかしまあこの小説の設定を紐解くと登場人物たちはMMORPGから突然異世界に転移してきた一般人なわけです。それがこの小説では突然の出来事にも動揺少なく、ハイコンテクストな会話をし、この世界や全身であったゲーム時代の仕様、そして豊かな発想からの勇断を持って世界をぐいぐいと動かしていきます。一応言っとくとゲーム時代は普通にパソコンでやるゲームであってVRMMOとかではないんです。少なくとも元のゲームの上手さと肉体を動かす戦闘なんかは全く別の物のはずなんですけど。

 なまじ現実でMMORPGというかネットゲームという属性を知ってしまったが故に、この英傑たちは少なくとも地球ではないどこか遠く、そして美しい場所からやってきた人と似て非なる尊い種族なんだ……みたいな気持ちがあります。

 まあ物語何て全部現実に即していたら全くもってつまらないのでこれでいいんですが、入りがゲーマーみたいな身近な題材だったので。意識してる分、違和感が結構出たというか。とまあ何も考えずに楽しんでた頃より成長したのか何なのか。めんどくさいオタクの話しですね。

 しかしながらつまらないなんてことは全くなく、ゲーム時代から来るこれどうなってるの? みたいな曖昧な部分やそういう違和感をも吹っ飛ばしてしまうほど文章が上手く、物語への没入感を高めてくれるので読んでる時は全然気になりません。こういう情感を乗せるのが上手いような、純粋に文章が上手い作家さんは最近のネット小説では全く見なくなりましたね。まあむしろネット小説にいた時代が特別だったという説もありますけども。

 脱線しました。とりあえず面白い異世界転移物は? と聞かれたら間違いなく早めに出てくるこの作品。まだ読んでない人はぜひ読んでみてはどうでしょうか?

 

 

https://ncode.syosetu.com/n8725k/

 

ログ・ホライズン1 異世界のはじまり

ログ・ホライズン1 異世界のはじまり

 

 

 

 

【小説紹介と雑談】『ギガファウナ ―超巨大生物の惑星―』と人から離れるSF

 25世紀。宇宙からの外来微生物により地球は危機に瀕していた。迫りくる滅亡を回避するため人類は外宇宙に活路を見いだす。日本政府が白羽の矢を立てたのは地球から約70光年離れた惑星あさぎりだった。だが、この星にはいわくつきの過去があった。かつて大型移民船セドナ丸が謎の超巨大生物の映像を最後に遺し消息を絶っていたのだ。
 探検隊のメンバーに抜擢された科学者やエンジニア、元傭兵に自衛官など、総勢157名の男女は謎に包まれたあさぎりへと旅立つ。長き航宙の末にたどり着いた彼らを待っていたのは、奇妙な生物に満ちあふれた生態系と、その上に神のごとく君臨する全長数百メートル規模の超巨大生物相だった。
 果てしてセドナ丸に何が起きたのか。惑星あさぎりの生命に秘められた謎とは。そして、探検隊員たちはこの星で生存することができるのだろうか。

 

おすすめ度☆☆☆(☆)

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 この小説のジャンルはSFですね。web小説の界隈で言えば少し珍しいジャンルです。まあ私が好んで読んでるわけじゃないので観測範囲が狭いというのはそうなんですが。

 この小説の中身を端的に言い表すなら超巨大生物が潜む惑星を探検して人類の居住区を作ろう! という感じですね。やはり未知の場所への探検というのは連綿と語りづかれ、その上で尚色褪せない魅力があります。私も普段はテレビとかあんまり見ないのですが、『深海に潜む謎の巨大生物!』みたいなタイトルを見たらのこのこテレビの前に這い出してしまいます。ここではないどこかで自分の想像を超えるような生き物や環境があるというのはやはりロマンですね。

 さて、こういう未知への探索となるとエンタメ的には大きな分岐があると思います。

 それは人間が主役か、それとも未知の生き物が主役かどうかです。これは一概にこれが主役と言えるものではなく、比重によるわけですが、基本的に人間寄りの話しが多いです。そりゃあまあ私たち人間ですからね。自分たちがそこに関わってないとつまらなくなりがちです。

 人の比重が大きければ大きいほど未知の生物や環境といった大きな力に対して、それを獲得して力を手に入れるというのが多くなってきます。これはそもそももっと大きなテンプレートである○○から不思議な力を手に入れて活躍するようなとこからの派生ですね。例えばナウシカとかそうですね。なろう系とも相性は良く、自由度も高いのでweb小説だとよく見かけます。

 未知の生き物が主役の場合、大抵語り手である人間があっちこっちに振り回されることになります。完全に振り切った場合、未知の生き物が語り手となって話を進めるのですが、これが見られるのはSFくらいなもので、あまりメジャーではないですね。

 この比重の割合が作品全体の方向性を決めると言っても過言ではないですが、どうしても人間以外に比重を置くと書くのが難しくなっていきます。感情移入しづらいですし、そもそも作者が人間なのですから自分の種族以外をリアルに読者に伝えるというのが難しいことは分かると思います。

 というわけでエンタメ的な小説だと人の比重が多くなりがちなんですが、この小説はその辺りのバランスが結構未知の生き物側に寄っていて、設定が練りこまれてるなーと感じます。

 SF的な方に寄りつつも未知な存在への畏敬とそれに対する人間の反応というがいい感じでこういうタイプの小説は久しぶりに読んだなーと新鮮でした。巨大生物やSF的な小説が好きな人にはお勧めです。

 

 

https://ncode.syosetu.com/n3366fv/

【小説紹介と雑談】『異世界クイズ王 ~妖精世界と七王の宴~』と同じ土俵で戦い、それでも一位になる方法

かつてクイズ王と呼ばれた男、ユーヤこと七沼遊也。
彼が目を覚ましたとき、そこはクイズと妖精が支配する世界、ディンダミア妖精世界であった。

彼を召喚したのは小国の姫、エイルマイル。
この世界で、七つの国の王が競う巨大なクイズ大会が開かれる、それに出場してほしいと告げられる。

しかしユーヤは困惑する、言語は通じるものの、異世界の知識などまったく持っていなかった。
そんなとき、ある人物から決闘を申し込まれる。果たして経験と技術だけを武器に、異世界で勝ち抜くことができるのか――。

 


こんな方にオススメです

・クイズ番組が好きだった方
・クイズに興味がある方
・クイズにガチで取り組んでいる方
・「おいおい、異世界でクイズなんかできるわけないだろ」と思った方

 

おすすめ度☆☆☆☆

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 どうも、私です。月日の流れが早いというか、ff14にハマりすぎているというか。気づいたら記事更新をしていない期間が結構長くなってたのでこりゃいかんと書きに来たというのもあるのですが、今回紹介する小説が純粋にすごいと思ったのが割合としては大きいです。

 この小説、『異世界クイズ王 ~妖精世界と七王の宴~』は題名の通り異世界でクイズ物するって話です。クイズというのは基本的に問題を出し、それにこたえるという形式をとる以上、その世界に基づいた知識が前提となってくるわけです。それを現実を基盤にした場所以外でやるというのはかなり難しいことだと思います。異世界に自然な問題を出した場合、私たちに取っては全くもってわからないものになってしまうので、それをいちいち説明していくというのは本筋から離れてつまらなくなりがちです。私としてはタイトルやあらすじを見てまたアイデアだけの見切り発車っぽいなーと読む前は思っていました。

 しかしながらこの小説はそんな予想を見事にぶっちぎってくれました。一度熱中したら飽きるまで他の事を全くやらなくなる私がこうして紹介をしようと思うだけのパワーがありました。

 クイズという物がその世界の知識に基づいたものであるというのは先にも述べましたが、皆さんも感覚的に理解していると思います。ンベラ星人が好物のノミュイスタはマグマの中で取れる木の実ですが……とか書かれてもわかんないです。ちなみにこれは今私が適当に考えただけです。

 そのような読者に対して説明をしなければならない異世界においてクイズをするとなった場合、一つだけ共通しているものがあります。それは人間の反応です。異世界と言ってもこの小説でやっているのは人間同士のクイズ勝負です。その世界の知識という大きな共通項が抜け落ちてしまっている中で、クイズに対しての人の反応をこの小説は鍵としています。

 なんでもそうなのですが、特に何か対人相手の技術を極めようと思った時に、その物事に当たった人の普遍的反応に対して有利を取る技術というのが存在します。それはそのジャンルにおいて前提を備えているのが当たり前になり、道具的な工夫の要素がなくなった時に出てきやすいものです。

 対人ゲームが分かりやすいと思うので例を挙げます。対人ゲームのトップ層というのはその時点で最強と呼ばれている装備だったり、この行動にはこの行動をするのようなテンプレートを完全に網羅している存在です。そうやって能力的に差が付かなくなった集団の中でトップを目指そうとするならば、そのような前提を抜けた場所での工夫が必要になってきます。それは時には普通のプレイヤーには全く関係のないことであり、そんなの大したことないと思われる程度の差しか生まないこともあります。しかしながら皆が一様に努力し続けて並び立った集団の中で、その上一歩抜き出すにはそのような技術がものすごく重みを持つのです。スポーツや競技などを真面目にやったことがある人ならば納得しやすいと思います。

 この小説は異世界でクイズ物を通してそこよりも深い、上で述べたような対人の競技においての努力についてアクセスしていくようなそんな中身だったのです。それはとても普遍的で、しかしながら努力をし続け、辿り着いたものにしか語れないような工夫です。作者の方は競技クイズの世界にどっぷりと浸かっていたのだろうなと思わせるような知識の幅でした。これをクイズ全くやってなかったけど下調べしまくって書いたよ! って言われたらそれはもう宇宙人ですよ。

 その上でまるで情景を見てきたかのような描写と関わる要素の多さで言えば驚異的ともいえるストーリーのまとめ方といい、作者の方の力量に感嘆しました。

 しかしながら作中でも主人公が述べていますが、クイズという物が大衆の娯楽という世間の前提がある以上、深く競技的な深層に潜っていくのに大衆的な共感は得られません。この辺りの王道感の喪失や切り良くまとめたせいなのか、少し謎が浮いたままになっている終わり方も考えておすすめ度は4にしています。

 しかしながらこの小説で使われてる技量というのは私が今年呼んできた小説の中でもトップに食い込みます。トップですと言い切れないところが今年(私が読んだ年なだけで連載年はあれですが)の豊作ぶりを表してる感じがしますね。

 とまあ長々と語りましたがとても面白く、すごかったので読んでみてはどうでしょうか。切り良く終わっていますし、題材もクイズと取っつきやすいので読みやすいと思います。競技的なことをやっていたよ! って人には特におすすめです。

 

 

https://ncode.syosetu.com/n1867fd/

【小説紹介と雑談】不死なるプレイヤーズギルド

ゲームを始めようとしたら、突然不死の身体と現地基準では貧弱なステータスで異世界っぽい所にぶち込まれたプレイヤー達。
魔法は上手く扱えないわ、死ねばレベルはリセットされるわ、現地の人も魔物も強過ぎるわというハードモード。
それでも死んだらコンティニューできる力を使って懸命に戦い元の世界への帰還を目指す……が早々に飽きた主人公の自由気ままな振る舞いは、やがて世界を巻き込む大事件に発展していく……のだろうか。
これは不死の身体を持つプレイヤーという異物が入り込んだ世界の日常を、記す物語である。

 

おすすめ度☆☆☆☆

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 久々の記事更新となります。更新しなかった理由はff14に今更ハマってたからです。まあどうでもいいことなんですが。

 この小説はコメディ要素多めの異世界転移物ですね。主人公達異世界転移者の命が軽ーく扱われ、あっという間に死んだ後、すぐに復活して何事もなかったかのように次の話しに登場してくるのはすごくギャグマンガっぽいですね。

 こういう方式のギャグというのは小説という媒体でやるのは結構難しいと私は思っています。場面がそのまま目の前にある漫画と違って、突飛なことをやったと文字で書かれたとしてもそれを受け取るのに頭でそれを想像しないといけないわけです。それを成立させるには文章の書き方もそうですが、出てくるキャラクターがみんなキャラ立ちしていてその場面を容易に想像させれないとそれを理解させれないわけです。まあその他にもギャグの面白さなんかも当然あるわけで大変ですよねギャグコメディ。

 その辺りの領域に手を伸ばしているのがこの作品です。コメディ一辺倒というわけでもないのですが、大きな出来事に対して主人公の関わり方が全部ギャグ的で面白いです。そして私はギャグを面白くなく紹介することにかけて一流かもしれません。

 キャラの立ち方もしっかりしていて難しいのをよく成立させてるなと思ってました。作者さんの力量の高さが伺えますね。ギャグ物が好きな人にはおすすめです。

 後余談なんですが、今ジャンププラスでギャグ漫画でハチャメチャに受けたボーボボが毎日一話ずつ無料になっていて、それを毎日楽しみに読んでます。不条理ギャグの頂点という感じなので読んでない人は読みましょう。

 

 

https://ncode.syosetu.com/n3069ez/

【漫画 感想】だんしゃりと機能不全家族

 どうも私です。今日はモーニング月例賞の佳作を受賞された『だんしゃり』の感想です。ここから読めるのでどうぞ。

comic-days.com

 

 それで感想なんですが、なんというか複雑な気持ちになりました。あまり良くない方面で。こういう方面の構造になまじ固まった思想あるためにうーんとなってしまうというか。

 主人公の家庭は明らかな機能不全家庭で祖母や父親の反応がとてもリアルです。このような『外には出ないが家の中で問題が多々ある』ような家庭はありふれているでしょう。ただ外に見えてないだけです。

 このような家庭で育った子供というのは心にトラウマを抱えた状態で大人になっていくわけで、それがアダルトチルドレンと呼ばれる人たちになります。自己肯定感が育たずに身体だけが大人になってしまった人。そんな境遇の主人公が救われるまでの話しを描いたのがこのだんしゃりです。しかしながら思うことが二つ。

 一つ目なんですが主人公は明らかにそのような機能不全家庭で育っているのですが、自己肯定感が結構残っているんですよね。幼い頃からであれば反論なんて出来ず、諦めが先に来るはずなのでこのような口論に発展しないはずです。これは精神が強いとかそういう話しではなく、システムのようなもので外部からの手助けがなければこうなります。

 なのでこの祖母と父親と主人公の三人で暮らすようになって問題が発生したと考えられるわけですが、明確に記されていない母親の存在を考えると中学校のあたりまでは自己肯定感がある程度育まれる環境にあったと考えるのが妥当です。

 この自己肯定感や反骨心がなければ先輩に対して助けを求めるという行為にも家出という行為にも繋がりません。その時点でこの境遇の子供が助かるには『事前に自己肯定感が育まれる環境が必要』という夢も希望もない結論になってしまいます。家族に縛られた主人公が救われる話にこの結論は辛すぎませんか? まずこれが一つ。

 二つ目は先輩の存在です。主人公はこのような重い話を抱えているわけですが、先輩にはそんな素振りが一切ありません。主人公に非常に都合のよく作られた理想の助け舟です。主人公の事を肯定しつづけてくれますし、最後は結婚し子供を作って家族まで作ります。

 こんな都合のいい存在いるわけねえだろ! みたいな話はしません。フィクションなのでこういうスーパーマンがいてもいいでしょう。しかしながら気になる点があります。それは主人公と先輩のきっかけです。

 作中で先輩と主人公の関係は共に好きあってる描写で始まります。先輩側が恋愛感情から熱烈なアプローチ(下級生の教室に来るのは熱烈と言っていいでしょう)をしかけ、自己肯定感が減っているので回答できないものの、主人公も先輩が好きと。恋愛感情を発端としています。

 少なくとも男女逆転させたら成立しないでしょう。先輩側が何の問題もなく主人公を支えられるから成立しています。女性側がぐいぐいアプローチをするならば男性側に何かしらの強みがあるようなエピソードがないとおかしい……となるわけですが男女逆転した場合、もはや別の物語になってしまいます。

 この時点で主人公の性別が女性であり、容姿がすごく悪くはないみたいな前提が必要になってしまいませんか? フィクションなのにあんまりではないですか。救われる素養があるから救われましたなんて話は。これが一つです。

 この漫画の感想をツイッターで見てみるとこの漫画を見てなんだか救われた気がすると書いてあるツイートが非常に伸びていました。かくいう私もそのツイートでこの漫画を知りましたが、少なくともこの漫画で救われた気になっている人はもう十分救われていると思います。

 総じて私にとってはリアルな機能不全家庭の事を描いているのに、時折夢から出てきたような存在が出てきて主人公を助けるので、返って現実が浮き彫りになってしまう漫画でした。

 いろいろと考えさせられたので学びになったなぁと思いつつ、この境遇の人が救われるモデルケースは結婚しかないんですかという気持ちにもなります。現実。

 今日はこの辺で。ではまた。

【雑談】小説を読んでいる時の脳内想像の違いについて

 こんにちは。特に何もない家の階段でコケて身体中打撲まみれになった私です。ここ二日くらいは風邪もひいてずっと寝てたのでここ一週間くらい動けないでいました。弱い。

 さて今回は小説の読み方について。

 私は幼い頃から結構な量の小説を読んできました。基本はライトノベルですが、一般小説だったり児童文学だったり色々。少なくとも同年代ではトップクラスに読んできた自負がありますが、そんな自慢にならないことは置いておきます。

 特に語るものでもないしと思い、読書の感想を他人と語るようなことは全くと言っていいほどしてこなかったので、私には読書仲間みたいなものが全くいませんでした。そもそも探そうとしてなかったので当然なんですが。

 そんな悲しい話しもさておき、インターネットで小説を読む人の話しが少しづつ入ってくるにつれて自分の小説の読み方が周りと全然違うことに気づきました。

 一般的に小説などの物語を活字媒体で読むときは大体の人が頭の中にその風景を思い浮かべて話を進めていくと思います。しかし私の場合、風景などは全く思い浮かばず、すべて言葉の意味そのままで受け取ってそれが滞りなく流れていくのを楽しんでいるという感じでしょうか。

 例を出しましょう。

残月の光をたよりに林中の草地を通って行った時、果して一匹の猛虎もうこくさむらの中から躍り出た。虎は、あわや袁※(「にんべん+參」、第4水準2-1-79)に躍りかかるかと見えたが、たちまち身をひるがえして、元の叢に隠れた。叢の中から人間の声で「あぶないところだった」と繰返しつぶやくのが聞えた。その声に袁※(「にんべん+參」、第4水準2-1-79)は聞きおぼえがあった。驚懼きょうくの中にも、彼は咄嗟とっさに思いあたって、叫んだ。「その声は、我が友、李徴子ではないか?」

  これはかの有名な山月記の冒頭から切り取った一文ですが、大体の人には月明かりの闇夜の中、男が虎に対して会話を試みているシーンが程度の差はあれ、ぼんやりと浮かんでいるのではないでしょうか。

 私の場合は文中の言葉をそのまま意味として受け取って脳内での映像化はせず、意味だけが並んで進んでいきます。

 多分なのですが、普通、脳内で活字を映像化する際の工程として

1.文章のまとまりの意味を把握、映像化への仮組みをする

2.材料を元に想像し、文章と相互に確認し合い更新する。

 という工程で読書してると思うんです。その辺の解像度の差はあれど、この工程以外で読書、とりわけ物語を読んでいる人はあまりいないでしょう。

 私の場合、いつからかはわかりませんが、早く続きが知りたいと思う余り、映像化の仮組みをした段階で、もう意味は分かっているのだからと映像化を飛ばして次に進むことが当たり前になっているという感じです。論旨はきっちり把握しているものの、細部までは見ていないという。

 これ、最近になって気づいたんですが論文の査読読みと似ています。論旨を把握し流れとしておかしな部分がないか確認しつつ、気にならない限り細部を見ない。

 なので評価軸としてはその作品が物語として破綻がなく、面白かったかどうかという読み方になります。アニメや漫画、音楽なんかもこの評価軸になってます。一つ一つをそうやって見るので作者で推すみたいなことがない。作品に思い入れも少ないので中身は語れても作品への愛は語れません。

 物語という共感と創造の分野でこういう読み方をしているのはごく少数でしょう。そして少数の人はそういうことを知らずに生涯を終える人が大半でしょう。こんなことは学校では教えてくれないですからね。

 インターネットのオタクと呼ばれる人たちはみんな作品やキャラクターへの愛を盛んに叫んでいて、それを共有することを楽しんでいます。私も読書が好きというと好きな作家は? と聞かれたことが何度かありますが、そのたびにうーんとなってしまいます。

 いまいち”オタク”という仕草にも乗り切れない割にそういう文化への興味は高かったのでなんでなんだろうなぁと今までぼんやり考えてきましたが、この辺りの答えがこういう物語への接し方に繋がってくるのは中々面白いなぁと思います。

 ちなみに最近、きちんと想像して読んでみようと練習がてらラノベをきちんと工程を踏んで読みだしたのですが、情報量がすごく増えて作品の面白さが増した代わりにめちゃくちゃ読むのが遅い上に疲れました。そりゃあこの読み方で年間300冊とかはなかなか厳しいです。それでも楽しいことは間違いないので習得しておいて間違いないものですね。汎用的な人類スキルの取得率の低さに日々びっくりするばかりです。

 とまあ今日はここまで。ではまた。

 

【雑談】オタクがチェンソーマンに踊り狂えてファイアパンチに踊り狂えなかった理由

 はい。私です。今日はファイアパンチの話しでも。

 皆さんチェンソーマンって漫画知ってますか? 今ジャンプで連載中の人気漫画です。月曜日になるとツイッターでオタクの人たちが踊り狂ってる漫画です。

  リンクはこれです。面白いので読むといいです。

  まあそれはともかく。この漫画の作者の人はその前にも漫画を描いていて、それが今回の話題のファイアパンチです。見たことないって人はとりあえず一話読んでください。無料なので。実はついこないだまで全話無料だったんですけど、細かいことは気にしてはいけません。ちなみに私はアホなので読み忘れてTUTAYAで借りて再読しました。アホなので。

[1話]ファイアパンチ - 藤本タツキ | 少年ジャンプ+

 

 一話読みましたか? 最高ですよね? 面白くなる感じしかしない。私が最初に読んだとき、こりゃあどえらい漫画が来たと思いました。一話にして絶望的な世界できっちりカタルシスを溜めて主人公を主人公たらしめる。新しい風が来たなぁなんて思ったものです。ネットでもかなり話題になってましたね。すげえ漫画が来た! みたいな。

 でまあそこからだんだんと遠くに飛んで行ってしまったわけですが、実際読んでいて伏線や展開の仕方、絵の上手さ、あと漫画の構図はめちゃくちゃに上手いわけです。絵に関しては週間の今より上手い気さえします、まあ背景が雪景色が多いというのも原因ではありますが。

 じゃあ何がダメだったのかと言えば、私的には展開の速さだと思うんですよ。それと映画っていう趣味要素を前面に絡めた感じ。

 私はそこまで映画に詳しくはないのでここがこの作品の影響を受けているなというのを的確に表すことはできませんが、伏線の張り方や構図や演出などに雑多な映画の影響が染み出ています。色んな媒体から影響を受けているのは感じますが、映画の分量が多い感じ。

 映画というのは漫画や小説なんかよりずっと尺が短いもので、普通なら二時間弱、長くても二時間半程度で終わってしまいます。なので無駄な描写や意味の薄い描写を挟んでいるとあっという間に時間が無くなってしまう。常に意味のあるシーンを映し続けないといけない。この辺りの映画の原則がこの漫画にも表れていると感じます。常にノンストップでストーリーを走らせ続ける。

 しかしまあ漫画というのは静止画であって動きを演出するにも限度があります。その上少なくとも映画っていうのは喋って動いてくれるのでキャラクターや世界観のリアリティをある程度担保してくれるのですが、漫画は説明がなければなかなか厳しい。絵で説明するにも限度がありますから。

 これが世界観的に馴染みのある現代とかだったら現実がある程度担保してくれるんですが、ポストアポカリプス的な世界観を使っているので説明する必要が結構あります。それを趣味的な映画という要素に絡めてハイペースでポコポコ進んでいくので読者が置いてかれたというのが私の感想です。なかなかないですよ。読者が離れていったんじゃなくて作品自体が遠くに行っちゃうの。

 チェンソーマンはその辺しっかりしていて担当の方がきっちり手綱を抑えてるのかなぁと感じます。このまま飛んで行かずに行ってくれよ……と失礼な心配をチェンソーマンにはしてるのですが、オタクたちが踊り狂ってる間は大丈夫でしょう。今のジャンプは面白い作品がたくさん出てきてすごいですね。

 ではまた。

【小説紹介と雑談】暴食妃の剣とweb小説のゲーム的表現

 

タイトル:暴食妃の剣 感想

貧しい者は真っ当な武器を持てず、命を懸けて戦おうとも、冒険者として大成することはできない。
 三流冒険者ディーンは、魔獣と戦うことよりも荷物運びや魔獣の解体などの補佐に徹する《運び屋》として貧しい生活を行っていた。
 あるときディーンは雇い主の男の判断ミスによって魔獣の群れに囲まれる羽目に陥ったばかりか、魔獣の気を引くための囮にされてしまう。
 しかし、偶然逃げ込んだ先で、膨大な力を秘めた暴食の悪魔の心臓を手に入れる。暴食の悪魔の心臓は、喰らった相手の力を奪う能力を秘めていた。
 ディーンは相手を喰らうことで無限に成長する暴食の魔剣を手に、一流の冒険者となることを志す。

 

 

おすすめ度☆☆☆(☆) 

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 この小説はハイファンタジーの冒険活劇ですね。うだつの上がらなかった主人公がある時、すごい力を持った悪魔の助力を経て相手のスキルを強奪できる魔剣を手に入れ、そこから成り上がっていくという感じです。ハイファンタジーではありますが作中世界だとスキルという要素が当たり前に存在しているので、その辺はやはりゲーム的……というよりweb小説ゲーム物的と言うべきでしょうか。

 こういうジャンルの小説だと一足飛びに強くなっていき、周りの人間をあっという間に追い抜かしてカタルシスを得るみたいな展開が多いわけですが、この小説ではあくまで魔剣を手に入れたことはきっかけであり、強敵に苦戦しつつもそれに勝利し力を手に入れ、そしてまた別の強敵……と地に足付けて強くなっていきます。いや、まあそれでも成長速度は普通に考えればやばいんですが、成り上がりの要素を含む物語だとこれくらいでも十分に丁寧に感じます。

 スキル的なわかりやすい成長要素とその成長があって立ち向かえる強敵たちとの熱いバトルがこの小説の魅力ですね。成り上がり的な要素と冒険活劇の二種類。

 この小説でもそうですが、昨今見かけるハイファンジー小説で冒険メインとなるとかなりの割合で見ることになるスキルという要素。実際のところ分かりやすく成長を見せられ、説得力もあるのですごい発明なんだなぁと感じます。

 多分これが流行ったのはVRゲーム物のようなゲームを題材にした物が流行ったからというのが理由の一つな気がします。その流れで「あれ? これTRPGのスキルシステムとの方が相性良くね?」という気づきがあり、TRPG的な表現の仕方が流入しているといった感じな気がしますがどうなんでしょうね。

 ステータスやスキルなんて要素は浸透してはいますが、その表現なんかはかっちりしてるわけではないですからね。しかしながらスキルやらステータスと言われた際に、ゲーム的ではなくTRPG的な表現の方が多くなってきたのは確かだと思います。

 最初期はMMORPG的な表現が多かったわけですが、今MMORPGは下火です。理由的にはいろいろあるんですが、少なくとも今あるMMORPGだとよく見る小説の描写にそぐわないわけです。ああいうスキル性の凝ったMMORPGやりたい……。

 そうなるとスキルなんかの要素は使いたいものの、読者に馴染みがなくなってしまう。その辺の兼ね合いもあって比較的シンプルなTRPG的な表記が流行ったのかなぁと。まあこの辺り意識して書いてます! って人の方が少なそうではありますが。まあ真相はどうかわかりませんが、面白い変遷ではあります。

 とまあ小説の話しに戻りますと、もうこの小説は書籍化されています。少し粗はあるもののRPGのような没入感と冒険活劇はやっぱり面白いですね。そういうのが好きな人にはお勧めです。

 ではまた。

 

kakuyomu.jp

 

 

暴食妃の剣 感想

【小説紹介と雑談】迷宮のアルカディア

冒険者として成功するため迷宮群都市へとやってきた少年アルケインは、自身の未熟さから初日で命を落とす。再び彼が目覚めた時、そこは見知らぬ部屋だった。そこで彼はひとつの真実を知る。そう、自分が今まで生きてきた世界はエロゲの世界であり、自分はその主人公であることを…………。攻略サイトから世界の全てを知った時、彼の運命はシナリオを外れた。これは、何の因果か現実の知識を手に入れてしまったエロゲの主人公の話。
ノクスノベルス様より書籍化決定いたしました。

 

 

おすすめ度☆☆☆☆ 

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 

 この小説は異世界転生物です。まあ厳密に言えばちょっと違いますが、内容的にはその文脈なのでこの分類であってると思います。言い忘れてましたがこの小説はR18です。具体的にはエロシーンが結構がっつりあるので苦手な人は注意です。メインがエロではないので紹介します。

 内容に触れますと主人公が自分の生きている世界がエロゲーの世界であると気づき、攻略サイトの中身を覚えた状態で強くてニューゲームといった感じです。

 この小説の良いところとしては主人公一行は攻略サイトの力で周りを圧倒できるくらいに強くなるのですが、敵も強く苦戦を強いられることです。周りを抜いて強くなっている楽しさとそれはそれとしてそんな自分達よりも強大な敵というのは面白さのいいとこ取りでうまいなぁと思います。

 後は最初に言った通り、R18なのでエロシーンががっつり描かれてます。まあ実際のところヒロインと両想いですってなったら行きつくところまで行くのが普通のことで、メイン読者層を考えてその辺が省かれてるライトノベルがおかしいと言えばそうなので自然な流れではあります。そらヒロインが美少女なのもハーレムが欲しいみたいな欲望も行きつく先はそういうことなわけで。

 しかしながらそういうR18なシーンに力を入れると違うジャンルとして成立してしまいますし、その辺本筋からズレるという理由でも描かれないわけですが、この小説くらいの量だと話の本筋からも逸れてませんし、そもそも主人公の行動理由に合致させているのであまり違和感はないですね。

 総じてゲーム的な成長要素をハックして周りより成長する感じの小説としてよくできていて楽しく読めました。エロシーンに抵抗がない人には結構お勧めです。

 余談ではありますが、R18の小説は全くと言っていいほど見ないので面白い作品を見落としてるのかなぁなんて思いました。この小説はたまたま見つけたのですが、そもそもR18的要素を小説に求めていないのでなかなか見つけ辛いと言いますか。なろうにもR18用の場所がありますが、わざわざ見に行こうとはなりませんしね。

 この小説は書籍化されているわけですが、その辺りのコミュニティの規模なんかも全く知らないのでちょっと興味はあります。気が向いたら少し調べてみようかななんて思いました。

 ではまた。