オタク文化の切れの端

基本的にweb小説を紹介するブログです。普通のラノベも読みます。批評とかもします。たまに一般文芸とか映画の感想とか思ったこととかが入ります。

【小説紹介と雑談】《『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO》とMMOの話し

呪詛が蔓延し、異形の化け物である魔物が跋扈する世界を舞台にしたVRMMO『Curse Nightmare Party』。
プレイヤーも呪いによって異形の姿を取り、呪いが込められた道具を操って戦うダークファンタジー系のゲームである。
そんな世界にて彼女は禍々しい妖精の姿を取って冒険を始めた。

 本編あらすじより

 

おすすめ度☆☆☆☆

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 

 記事更新がちょっと空きましたが、最近寒暖差が激しくて眠れないのでやる気を失ってました。不眠は社会性を破壊します。

 今回の紹介する小説は呪術モチーフのVRMMO物ですね。呪術モチーフのVRMMOにてキャラメイクの結果、13の眼がある妖精となった主人公が、ゲーム内世界を成り上がっていく話です。

 中身は呪術を土台とした世界観に、次々と現れる敵から手に入れた素材で自分を強化し、そして主人公以外のその他プレイヤーにその能力で暴れて、また次の敵を倒すというサイクルを繰り返していく、まさしくMMO的な話しになっています。

 サクサク読み進められ、盛り上がるところはちゃんと盛り上がってくれる期待を裏切らない感じですね。説明すると矛盾が生じやすくて詰めるのが大変なところ(主人公の人間性の元とかゲーム運営の都合のよさとか)は置いて、他の魅力的な部分でその辺をカバーしているのが潔くていいなーと思います。

 こういう成長していくVRMMO物が好きな人にはおすすめです。

 

https://ncode.syosetu.com/n3014fi/

 

 

 

 ここから先は雑談なんですが、VRMMOって小説ジャンルはかなり人気ありますよね。それを下地にした異世界転移とかも含めるとかなりのヒット作がありますが、これらのファン層は熱量が一味も二味も違うなって思います。

 前に紹介したシャンフロとかデンドロとかは個別にwikiが作られたりしてます。すごくないですか? 一つの小説にwikiが作られるほどの情報量って。そしてそれを作って編集しようと思う熱量って。ちなみに今回紹介した小説もwikiが作られております(こちらは作者さんの他の作品群と共通しての物っぽいですが)。

 これだけの熱量を読者に発生させているわけで、もちろん小説自体の面白さがすごいのもそうですが、いかにVRMMO(物語の都合でVRがついてるわけで、実際には面白いMMO)を求められているのかというのが分かります。これらの小説の感想ではこういうゲームやりたい! みたいな感想も多いです。単純に面白いMMOやりたーいみたいな話もよく聞きますしね。

 しかしながら正道であるゲームでのMMOはそこまで芳しくありません。今でこそff14がかなりユーザーを伸ばしていますが、それまではWoWが全盛になった時代から、小粒はあれど大ヒットを飛ばしたMMORPGというのはないに等しいです。それはなんでだろうと思って少し考えてみました。

 問題はたくさんありますが、実際のところ、小説ジャンルのMMO読者が求めているMMORPGというのはだれでも『何者かになれる』という場所なのではないかと思います。英雄譚の主人公には感情移入できなくてもゲームという枠組みでなら『何者』かになれるという夢を上に挙げたような(VR)MMO物は魅せてくれるという。

 しかしながらゲームではどうしても枠を決めなければならない以上、その人だけのストーリーから紡がれる『何者か』になれる道筋なんてものはリソースの都合、作れません。

 強者という『何者』になれるようなレア装備を実装するにしたって、それは数多の『何者』にもなれなかった人たちの上で成り立つ物であって、そんな少数のためのMMOはゲームとして成り立ちません。手段が課金だろうが運だろうがゲームの上手さであっても同じです。

 そこで取りこぼされた人たちが別ジャンルで『何者』かになれる、もしくはならなくても満足できるだけのリソースというのをゲームのMMOでは生み出すことが難しい。この辺VRになったら体験の良さとかで何とかなるのかもしれませんが、今の段階だともう一段階ブレイクスルーが起きないと厳しそう。

 まあ言ってしまえばすごい当たり前の話しなんですが、小説ジャンルの(VR)MMOというのは現実のMMOとは全くの別物なんだなぁということですね。何を当たり前のことをつらつら書いてるんだって言われると悲しくなるのでやめてください。

【小説紹介と雑談】『Babel』と世界観構築の性別差

★ 電撃の新文芸より3巻まで発売
大学1年生の水瀬 雫(ミナセ シズク)は大学からの帰り道、ある日おかしな穴に遭う。
穴に吸い込まれ放り出された先は、見たこともない異世界だった。
魔法が当たり前の世界に困惑と共に降り立った彼女は、帰る方法を探す為旅に出る。
隠された大陸の真実。言語と変革にまつわる物語。
歴史に残らぬ少女と魔法士の旅路が、今始まる。 ※自サイト転載。《memoriae 1960~1961年》
本編完結済み・番外更新中。 

本編あらすじより

 

おすすめ度☆☆☆☆(☆)

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 この小説は異世界に転移してしまった学生の主人公の少女が、異世界での出来事で精神的に成長していくハイファンタジーです。書籍化済み。

 内容としてはきっちりとした世界観にそこに根付く人々を通じたエピソードによって主人公である雫が成長していく感じなので、チートや無双などといった自身の能力を上げて世界に価値を示すような物というよりは、どのように世界に馴染んでいくかを描いたものですね。

 主人公の心情や異世界の情景などが三人称による少し硬めの文章で語られて行くのですが、その表現の仕方が分かりやすく簡潔でとてもスムーズに読み進めることができます。

 かといって感情移入しにくいかといえばそんなこともなく、少し離れたところから描かれる視点からでも登場人物の感情の動きが伝わってくるような、そんな文章です。すっきりと読めてしっかり感情移入できるので主人公の成長物語にとても合っています。

 物語で成長を描くとなると主人公はまだ成長の余地を残す子供であって、成長すべき事柄に対して自分一人ではそれに気づくことができません。それを外界からの刺激によって成長するわけですが、一人称で描くと主人公の性格にもよりますが結構まとめずらいことになるのは想像に難くないので、基本的には三人称で描かれることになります(青春小説とか)。

 しかし三人称はどうしても神の視点になるわけで、心の動きからは離れてしまいがちになるので、それをうまく描写できるかは作者さんの技量にかかっています。この辺りをしっかりとこなして高い水準でまとめてるこの作者さんはとても素晴らしいですね。

 この辺の話しをちゃんとしてるとめちゃくちゃ長くなるので結構端折りましたが要するにこの小説はすごいということです。気が向いたらちゃんと書こうかなって気持ちがあります。

 それはともかく、とてもおすすめの小説です。どちらかといえば女性向けですが、男性も楽しく読める完成度の高い小説です。本編は完結済みなので安心して読めるのも魅力。

 

https://ncode.syosetu.com/n4660bi/

 

 

 ここからは雑談ですね。話題は世界観の作り方から作者の性別が結構わかるよねみたいな話しです。

 主観なんですがこの小説で見られるように世界観を先に作って(あって)そこに生きたキャラを住まわせるという物語の作り方が結構女性の作者によくみられる気がします。前に記事にした本好きの下克上とかもそうですね。存在させたいシチュレーションが有った場合、世界観に合わせてキャラクターが作られている印象。最近の漫画で言えば鬼滅の刃とかもそうですよね。鬼がある不条理な世界観が先にあって、そこで産まれた人が足掻く。世界が先にあってその後にキャラクター。他にも私が読んだことがあるので言えば十二国記シリーズや彩雲国物語なんかもそうです。

 こういう作り方というのは作者の知識や技量がめちゃくちゃにモノを言います。キャラクターは作者の引き出し分しか大きくはなれないので、作者が世界観設定や人間心理についての理解が浅かったりすると違和感がモロに出てしまいます。なのでこういう作り方をしている(一般向けの)女性作家さんは名作か視界に映らないかで二極化してる気がします。まあ私が知らないだけかもしれませんが。

 男性の作者の場合、出したいキャラクターがいてそれに世界観を後付けする感じが多いです。キャラクターが主で世界観が従。この場合、好きなキャラクターがいれば刺さる層がいるので、世界観がきっちりしてなくても割と目に付く回数が多い印象。

 この辺は全部主観な上にすべてに例外がたくさんいますが、大雑把にはこんな感じの印象を受けてます。他にも判断基準はたくさんあるのですが、その辺まとめると普通に別の記事にした方いいのでここではまとめません。気が向いたらまとめるかも(記事内二回目)

 ここで勘違いしないでほしいのが、男性だからこう、女性だからこうと切り分けてるんじゃなくて、小説内でキャラや世界観がどういう扱いを作者から受けているのかを考えて、そうしたバックグラウンドを想像するとこういう考えからだから性別はこっちなのでは? という感じで捉えてるだけです。男女の違いがこういうとこに出るのが興味深いと勝手に思ってるだけなのでレッテル張りしているわけではありませんよ!

 なんか脱線しそうなのでこの辺で。

 

【小説紹介と雑談】『美少女になってちやほやされて人生イージーモードで生きたい!』と本来のライトノベルの話し

おすすめ度☆☆☆

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 この小説はTSしてVtuberしてちやほやされるみたいな話です。ラインやディスコード、youtube配信で見られるスーパーチャット(投げ銭)みたいな、Vtuberを見ている若い人に刺さりやすい表現をうまく使ってるのがすごいと思います。

 美少女になって価値を上げ、その上Vtuberでちやほやされて名声を得て、そして他のVtuberの美少女たちと仲良くするという今のエンタメの次郎系のような構成ですね。マシマシマシ。

 個人的にはエンタメの次郎系のようなものはもう読んでいて厳しくなってきたのと、この辺の題材に拒否感があった(なまじすぐ現実で見れる分幻想を抱く余地が少ないように感じる)んですが、コミカライズも決定しているようで確かな需要があるようです。Vtuberを題材にしたものが各ラノベ出版社からも出てきてますし、もうこの辺まで浸透したんだなーと感慨深くもありますね。

 こういうのが好きな人にはお勧めです。

syosetu.org

 

 ここからは雑談。

 ラノベを読み始めたころであったならば、もっと何も考えることなく純粋に楽しめたような気がするんですが、今こういうマシマシマシな物語を見るとウッとなってしまいます。美少女になるのもコメントでちやほやされるのも美少女と仲良くするのも、なかなかに直接的ですからね。

 まあ結局エンタメって現実では手に入らないこういうの欲しいでしょ? っていうのを叶える物なのでそういうところで清楚ぶってるのは滑稽でしかないんですが、染み込んだものを何とかするのは中々に厳しい。

 しかしながらこういうラノベを好む時期っていうのは誰にでも確かにあって、それこそが本来の定義のライトノベルなのかなとも思ったり。

 結構馬鹿にされてる転生物だとかもう遅いだとかの今の流行を追って書いている作者さん達も、大人に対してはチープだなってわかってて書いていると思うんですよ。でもこういうのを好んでいた時期が確かにあって、そこへ向けて忘れずに書いているわけで誰にも出来ることしゃないし、すごいなぁと思います。それだけが理由って訳でも無いとは思いますけども。

 今はライトノベルの定義がかなり広がってますが、それは名作が多くて大人まで楽しめるものがライトノベルという定義でたくさん出たからであって、本来のライトノベルの意味が指しているのは初めて小説を触り出すような子を打ち抜くような単純で魅力的な話なのかなーみたいなことを考えておりました。

【小説紹介と雑談】『淫魔「人間とかいう種族wwww」』と創作での自由さ

淫魔「愛おしすぎて草」


※当作品はだいこん氏(@daikon_onion)のTwitter投稿をネタ元としております

 

おすすめ度☆☆☆(☆)

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています

 

 先に言っておきますがこの小説は割とあけすけな表現が出てくるので、そういうのが苦手な方はご注意を。

 この小説は淫魔や天使などの上位存在に(性的な意味で)愛されてる人間の様子を、掲示板形式で両方の視点から描いています。堅苦しく書くのがあれなので砕けて言うと、めっちゃ強い人外に性的に捕食される性癖ががっつり出た感じ内容ですね。あとはそれに付随する勘違い物。

 やってることは割と人権無視なんですけど性癖に刺さる人にはむしろ望みの状況で、刺さらない人には軽いホラーに見えるというギャップが面白いです。

 他にも異種族で人間よりも上位の存在が人間にあけすけな好意を持っているっていうのも新鮮で面白いです。まあエロ漫画とかの界隈だと当たり前っぽいですが、それがコメディの領域にやってくるのは中々ないですよね。最近で言えば異種族レビュアーズなんかも同じ感じ。

 なんかこういうコメディの内容をこう硬い文で表現するのが、一線引いて見てますって感じで微妙なんですが、まあ紹介する関係上、あんまりに主観に入ってても万人受けしないかなって思って何とも言えない顔して書いています。

 こういうノリが好きな方にはとてもおすすめできる作品です。

 

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 とまあそれはさておき、ここからは雑談です。要約すると創作と資本主義って相性悪いよねーみたいな話です。

 

 ハーメルンではこのような掲示板形式で全編書かれるものや、活字の本にしにくい工夫がされているものがあったり、そもそも二次創作ものが盛んだったりと独自の文化があります。まあハーメルンの文化というか個人の楽しみのための小説文化という感じ。

 基本的にはこういうのって出版できない訳で作者の方にはお金が行かないんですよ。なんにでも創作するってなるとそこには手間とその人個人の能力が必要で、それをお金の入らない物につぎ込みつつ、それ以外の場所でお金を稼いでいるわけですが、それはまあ大変ですよね。

 この辺りの創作物は大体作者の方の熱意や外からの反応によって動いてるわけで、それを考えると頭が下がります。面白さという点ではオリジナルな物と負けてはないわけ(そもそも勝ち負けの問題じゃない)ですし、体験に価値を見出してるならそれをさせてくれる人にお金が入ればなーって思う時もあります。

 まあそうなると水が低い方へ流れるように、お金が集まるマジョリティ向けの物が作られ再生産される、今のなろうのランキングのようになるので自由さが失われるので難しいところ。そもそも二次創作なら権利問題がありますしね。

 この辺なんとかしようって投げ銭システムのサイトやらskebみたいなパトロンと繋ぎやすくするみたいなシステムも出てきてますが、それだけで暮らすのはやっぱり厳しい。

 こと創作物なんかの文化面で考えると資本主義って言うのは邪魔だなーと思います。アウトプットするにはインプットしなくちゃいけない訳で、それをするにもお金がかかり、万人受けはしない創作物を作るってなった時に生活インフラが保証されていないととても厳しい。働いてその余暇で作るってなってもインプットの時間やお金もそこから出てこないといけないわけですし。

 創作物は全員に公開される共通な財産ってなった方が、全体的な作品自体の質も上がるし自由度も増えると思いはします。作者の生活は保障される感じで。

 とまあごちゃごちゃ言っても評価が人それぞれな関係上、それに一定の価値水準を付けること自体が厳しいので現実と折り合いがつかないんですよねー。悲しい。

 結局のところ全部ロボットがやってくれて人間は余暇を楽しみましょうという状況になってほしいみたいな願望に収束するのが辛いところです。

【小説紹介と雑談】『TS悪役令嬢神様転生善人追放配信RTA』と大きくなる身内話

悪役令嬢にTS神様転生して実は善人だけど追放されるRTAの様子を配信しようとした。
気づいたら金!血筋!権力!女!女!イケメンヤンデレ!暴力!暴力!暴力!って感じの異世界ライフを送る羽目になっていた。
そういう感じのお話。

 

おすすめ度☆☆☆(☆)

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 

 今回の紹介する小説はコメディです。ハーメルンで一時期流行っていたRTA物にTSだとか悪役令嬢だとか転生だとかいろんな要素をごった煮して混ぜ込んだ小説ですね。

 なんかまああらすじを語ると私の方が意味わかんないこと言ってる頭おかしい人間になってしまうのでやれないという。

 この小説は独自色の強いもののかなり作りこまれたファンタジーをベースにして、現代のネット文化の色々を前提として借りて彩ってるという感じです。

 ネット文化、というか人が集まる物事って基本的にはそれに属する人たちで界隈が出来て、その中で通用するような言語などによって文化が形成されて行きますよね。

 皆さんも経験あると思いますが、お友達と集まってるといろんなエピソードを通じてそのお友達間でしか通用しない話し、いわゆる身内話が出来るじゃないですか。それと同じです。そうやってお互いの思い出とかを語ってじゃれ合うのってとても楽しいですよね。しかし、そのエピソードを共有してない他人にとっては全く分からないどうでもいい話なわけです。

 ネット文化は不特定多数が集まってそのエピソードや体験が可視化されるようになったので、その界隈に興味を持った人たちがその情報に触れて簡単にそれに属せるようになる……つまり身内話の規模が広がったわけですね。

 身内話は楽しいので、その規模が広がってみんなそれを知っている前提で話せるのはそりゃとても楽しいわけです。個人的にはコメディの基本って言うのは今まであった過去からの引用することだと思ってます。そうやって過去を共有して話すことでそこには面白さと一体感が生まれる。

 とまあそれっぽく言ってきましたが、要するにたくさん属性(文化)あれば面白いよって話ですね。代償としては物語のまとまりが厳しくなるという点がありますが、この小説では色んなところへ手を出しつつも、ファンタジーの軸が定まっているので楽しく読むことができます。 

 総じてこういうジャンルに対してある程度知識があるとより楽しめるコメディ/ファンタジー小説といった感じです。タイトルのどれかが好きならば読んでみるといいかもしれません。おすすめです。

 

 

 

 

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【小説紹介と雑談】『狂走馬と呼ばれまして』とウマ娘の話し

おすすめ度☆☆☆☆

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 今回の小説は今流行りに流行っているウマ娘の二次創作です。と言ってもウマ娘のキャラクターは登場せず、競走馬に転生した主人公とそれに振り回される周りの関係者たちのイベントがメインなのでウマ娘やってませんって人でも楽しめると思います。

 人の知能を持った馬が周りをかき回しながらレースではきっちり締めて勝っていくというのがとても面白いですね。牧場などの関係者描写が割とリアリティがあり、容易に想像しやすく、そこに主人公の行動などが合わさってコメディとしても、競馬バラエティとしても楽しめてとてもグッド。

 ウマ娘をやっていない人でも楽しめるのでこの機会にどうでしょうか。おすすめです。

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 ここからは雑談です。

 

 すごく面白い物語というのは本来の軸に複合して別の面白さも持っていることが多いです。今回あげたウマ娘であれば史実の馬たちにおけるレースというスポーツ物の要素と、それを人に寄せて作られたウマ娘とのエピソードが盛り立てるという構成になっていて、エピソードにより感情移入したキャラクターがライバルとのレースという熱い舞台で勝つという構成になっています。レースという主軸にエピソードというもう一つの面白さを組み合わせて相乗効果を生み出してるということですね。

 この構成はたくさんの物語でも見られるベーシックな構造です。周りの人間との関係を深め、それによって得た力を何らかの勝負事で反映する。ジャンプの標語であった友情、努力、勝利です。今は他にもたくさんの漫画の形態が発掘されたので、あまり聞かなくはなりましたが、スタンダードでかつ力のある型なのは間違いないでしょう。

 ウマ娘のアプリで言えば自分の選択肢がキャラクターの成長に繋がるシステムなので感情移入のしやすさもあり、手の込み具合も相まって流行るのはとても納得だなぁと思います。 ちなみに自分はウマ娘ちょっとやってたんですがガチャが渋すぎたのと、ソシャゲに時間取られすぎそうだったのでやめています。ゲーム自体はとても面白かったです。

 ハーメルンのランキングを見るにウマ娘の二次創作がめちゃくちゃに出てきていて、すごい活気だなぁと思っています。何作か読んでみましたが、面白いものも多く、更新の頻度もめちゃくちゃに高いので作者さんのモチベーションがすごいんだなぁと感じています。

 鉄は熱いうちに打てといいますが、このような流行りはそのゲーム自体もそうですが、そのジャンル(今回のウマ娘であれば競馬、そこから発展してスポコンなど)に熱を吹込み、再発掘、そして深堀に繋がっていくと思うので、こういうクオリティの高い創作物がでるのはとてもいいですね!

【小説紹介と雑談】『貞操逆転世界観童貞辺境領主騎士』と貞操逆転世界

おすすめ度☆☆☆☆

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

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 ちょっと期間が開きましたが私は元気です。最近はハーメルンの小説を読んでるんですけど、ランキングに上がってるもので好みのやつを読む感じで進めてます。ハーメルンだと二次創作が盛んな土壌なので書籍化狙ってます! みたいな感じの小説がなくてランキングが機能してるのがいいなーと。

 代わりに個人的にはちょっと受け付けないなーみたいな小説もランキングにあったりするのが印象的ですね。個々人の好みを色濃く反映しているというか。この辺りは上手く言い直せるような気もしてますがあんまり考えてないので印象だけ。

 とまあそんな感じなので記事にしたところでこういう性癖の人には刺さるよ! 以上! みたいなあんまり説明するところがない記事になりそうでちょっと躊躇してたんですが、まあそれはそれとして別に適当なこと書けばいいかと気づいたのでこれからはもう少し更新が増えるでしょう。

 さてまあ脱線しましたが、今回の小説は貞操逆転世界での騎士物語という他になかなか類を見ない感じの小説ですね。貞操逆転の世界観をあんまり読んだことないのでこれが魅力だとかはあんまり考えてなかったんですけど、少し考えた結果主人公にどうやって価値を出すかというのの亜種みたいな感じなのではという気がしました。

 大抵の物語では主人公とそれに付随する人たちの関係が進展していくことで進んでいくわけですが、まあ主人公に何らかの価値がないと誰も関わらないわけです。そういうのがない物語もあるでしょうが、正道を考えると基本的には主人公に何らかの価値(才能やら地位やら人格)があって、それが縁となって人との関りが出来、それにより話が進んでいくはずです。

 基本的には物語が進むごとに主人公の価値は増していきます。それは資産のように分かりやすいもののほかに、他人との関係性だったり、主人公の能力だったりします。ここでいう価値というのは主人公(読者)に対しての物なので、思い入れのある○○みたいなものでも価値が増えているといえるでしょう。

 まあ要するに大抵の主人公は何かしらの価値を持っていないといけないということです。それが神様にもらった異世界転生特典だろうが、偶然ヒロインの前を通りがかった運だとか。なんでもいいんですが、何かしらないと話が進みづらいですよね。

 そこで貞操逆転物なんですが、その世界での主人公は基本的にはとても希少な価値観の持ち主であり、それが周りを引き付けるような描かれ方をします。そして主人公(読者)からするとヒロイン枠が寄ってくるので主人公の価値が上がると。その辺りの説明がとてもスムーズに行えて、なおかつ他のジャンルでの当たり前が入れ替わっているので新鮮味があって面白いというのが貞操逆転物の面白さ……な気がします。ほんとはどうかわかりませんけども。

 話を戻すとこの小説はそのような貞操逆転の中での騎士物語で、主人公は内心でコメディを交えつつも、なかなかに骨太な騎士物語を展開させていきます。貞操逆転以外でもきっちりと作られた世界観でとても面白く、貞操逆転していることが新鮮で飽きなく読めます。これからの更新も楽しみですね。

 

syosetu.org

 

【小説紹介と雑談】『追加戦士になりたくない黒騎士くん』と小説サイト毎の作中の表現

自分をワルモノだと思っていたヴィラン、“黒騎士”こと穂村克己はとうとう最終決戦に敗れ、ヒーローに捕まってしまった。
しかし、捕まった彼を待っていたのは監獄でも警察ではなく、まったく別の地獄であった。

戦隊ヒーローと呼ばれる存在が実際に現れてから一年。
これは色々とズレた常識を持っているヴィラン、黒騎士くんが一般人に勘違いされたり、ヒーローに追加戦士にされそうになったりするお話である。
※この作品はコメディとなります。

 

 

おすすめ度☆☆☆(☆)

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 この小説は変身ヒーローをテーマにしたSF・コメディ小説です。内容としては主人公がヒーローとして活動していくうちに他のヒーローや敵に追い掛け回されたりする話ですね。なんか雑な感じですが、変身ヒーロー物って前提が多いのでなかなか端的に書きづらいです。なんでベルトで変身するのとか何で敵が来るのとか変身ヒーローのテンプレートってなかなかに独特ですよね。

 その割には人気が衰えることなくずっと続くジャンルですし、海外だとマーベルみたいなめちゃくちゃに大きなヒーロー物もあります。変身ヒーローというのはなかなかにいろんな人へ刺さるジャンルですね。自分はそんなに予習していませんがマーベルの有名どころくらいは見ないとなーと未来の予定に書きこんではいます。

 とまあ脱線しましたが、この作品自体は日曜朝にやっている仮面ライダーや戦隊ヒーローのネタを多数盛り込みつつも、軽いコメディとSFで進んでいく変身ヒーロー物として王道な構成です。いや、自分が日曜朝のその辺の番組を見たのはかなり昔のことなので今はそんなんじゃないぜ! って言われると浅学でしたと言うしかないんですが、個人的なふんわりとした印象として聞いてください。

 いわゆるお約束が多数盛り込まれつつも、ライトノベルの軽い感じで進んでいくこの作品。楽しく読むことが出来ました。こういうのが好きな人はもっと楽しめると思います。

 

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 ここからは雑談なんですが(今までが雑談じゃないかと言われるとアレですが)私が最近気づいたのはハーメルンでは作中の表現にいろいろな形があるなーということなんです。

 ここでいう作中の表現というのは基本の文章や文字以外に何か変化を加えた物のこととしておきます(例、物語の地図 文字の色や大きさの変化 文章での○○の再現等)

 今回紹介した小説もそうですが、変身シーンだとみたいな色を使って見たり、lineを再現してみたり、掲示板のフォーマットを再現してみたり、いろんな手法を用いられているなーと思いました。

 なろうやカクヨムでもこういうような工夫がないなんてことは全然ありませんが、やはりハーメルンに比べると数も種類も違うなーと思います。(それ以外のサイトはあんまり読んでないので比較できません)

 個人的にこういう文章以外の表現はあんまり好きではなく、それは多分オリジナルの作品しかほとんど読んでこなかったのでキャラ立ちや物語がしっかりしていないときに、このような表現に頼るとその表現に作品自体が寄せられてしまい、そういう表現を世界観の補強に使うのならば別媒体でやった方いいんじゃないかみたいな頭の固い考えが根底にあるせいだと思います。

 しかしながらハーメルンの小説は大体がまずキャラ立ちを第一として、世界観自体は二次創作のような皆が知っていたりする世界や、テンプレートとしてしられる世界観(異世界転生や○○といったジャンル)を使う形が多い気がします。

 そのような環境であるならば、いかにその世界が読者と思い描く物と同じなのかを証明する手段としてこのような作中の表現を使うのは正当な進化なのかなーみたいな気持ちになりました。

 好きじゃないといってもこういう表現を使う小説が私にとって面白くない物になりがちだったからの苦手意識なのでその物語に合ってるならヨシ! と思っております。それが面白いならオッケー!

 長々書きましたが以上です。ふんわりとした雑談でした。  

 

【小説紹介と雑談】『和風ファンタジーな鬱エロゲーの名無し戦闘員に転生したんだが周囲の女がヤベー奴ばかりで嫌な予感しかしない件』と最近の18禁ゲーム

どうやら和風ファンタジーゲームの名無しモブに転生したらしい
……尚、ゲームのジャンルはエログロ上等な鬱ゲーである

・追記
ファンアートへのリンク等がある話には●を付けました

 

 

おすすめ度☆☆☆☆

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 今回はハーメルンの作品で和風ファンタジー物ですね。内容としてはタイトルから連想されるような軽い感じではあまりなく、容易く人が死に、力あるものが暴れれば吹けば飛んでしまうような小さな力しか持っていない主人公が、その中でも活躍しようと足掻くような、そんな物語です。

 描写もしっかりとした土台にある文章で、成立難易度の高い和風ファンタジーという世界をきちんと成立させています。その上でタイトルにもある通り、主人公はやったことのあるゲームからの転生ということでヒロインなどの魅力あるキャラクター達も兼ね備えており、とても面白く読んでいます。

 物語としてはまだ中盤にようやく差し掛かったところという印象を受けますが、このままのクオリティで進んでいくのなら、非常に楽しみです。

 さてこの小説でも出てきているエロゲーという単語ですが、実際のところこのような作品に耐えうるようなしっかりとした世界観を持つ18禁ゲームというのは最近だと出ているんでしょうか。

 その辺の歴史をあまり知らず、私自体が18禁のフィールドに詳しくないのであれなんですが、元々18禁のPCゲームというのはシナリオに非常に重きを置いたものが散見したみたいなことを聞いたことがあります。なんか制約が少ないだとかなんとか。この辺ふわっとしてるんで違かったらやんわり指摘してくれると助かります。

 自分も知っているので言えば沙耶の歌とかG線上の魔王とかですかね。まあやったことはないので中身だけ知ってるという感じですが。それこそ今は最初から全年齢版みたいな顔をしてるもののfate/stay nightとか。これは私もやった記憶あります。内容というよりノベルゲーだと文字送りが遅くて、一気に表示できないのが好きじゃないなーと思ってました。

 それはともかく、そういうシナリオを重視するみたいな流れは今はどちらかといえば18禁の同人ゲームみたいな方へ流れていったみたいな感触があります。いや、これも全然詳しくはないので違いますって言われるとアレなんですが。

 ネット小説みたいな気軽に投稿できるテキストメインのところが出来ましたし、わざわざ18禁の場所でみたいなのが流れてるというのは確実にありそうですよね。

 なのでこの小説などにおける『世界観が重厚なエロゲー』というのは今後幻想入りしていくのかなーなんて思いました。ゲームに転移する系のMMORPGという概念と同じ立ち位置。

 しかしながら物語の題材になるということは人にそれらが望まれている証拠でもあるので、またなんらかのきっかけで復活したりもするのかもしれません。そのまま復活するか形を変えるのかはともかく。

 関係ないことをだらだらと述べてきましたがとても面白い小説です。いい意味でタイトルから想像したものとは違うしっかりとした物語が味わえるので是非読んでみてはいかがでしょうか。

 

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【小説紹介と雑談】『鬼人幻燈抄』とフィクションにおける未来の先取り

『人よ、何故刀を振るう』

 江戸時代、まだ怪異が現代より身近で鬼が跋扈していた頃のこと。
 江戸より百三十里ほど離れた山間の集落“葛野”にはいつきひめと呼ばれる巫女がいた。
 護衛役である甚太はいつきひめの為に刀を振るうが、何一つ守れず全てを失う。
 巫女を、惚れた女を殺したのは大切な妹。
 彼女は百七十年後、全てを滅ぼす鬼神となって再び現世に姿を現すという。
 憎しみから鬼となった甚太は、何を斬るべきか定まらぬまま、遥か遠い未来を目指す。
 
 鬼に成れど人の心は捨て切れず。
 江戸、明治、大正、昭和、平成。
 途方もない時間を旅する、人と鬼の間で揺れる鬼人の物語。

 

おすすめ度☆☆☆☆(☆)

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 この小説は和風のローファンタジーで、鬼や妖怪などの伝奇物ですね。主人公は鬼になった妹に大切な人であった女性を殺され、その憎しみから鬼になり、妹への復讐をするために長い年月を生きていく。その途中での関わった人たちから影響を受けて主人公も周りの人間も変わっていく……みたいな内容ですね。まああらすじまんまなんですが。

 特徴としては江戸から平成にかけて主人公が過ごしていくわけなんですけど、非常に丁寧なつくり方をされています。その時代の特色がきちんと文章から伝わってきますし、下調べがきっちりしているなーということを感じさせます。キャラクターの造形というのも非常に丁寧で、揺れゆく人間心理をしっかりととらえ、それを描いているのがすごいですね。

 この小説では早い段階から平成の主人公周りの描写、つまり未来の先取りが話として出てきます。この手法というのは基本的に最初の方で出てきて風呂敷を広げるため、世界観に時系列によって奥行きを持たせるために使われることが多いです。「この○○がのちの世に多大な影響を与えることはこの時誰も知らなかった」みたいな表現ですね。結構見る表現ではないでしょうか。

 しかしこの小説ではそれをエピソードとして1話、時にはそれ以上の長さで行うことが結構あります。この手法は時系列の奥行きを持たせられる反面、それが遠い未来のことだとそこへ行きつくまでの過程が結構制限されるものです。少なくとも見知った主人公や登場人物が出てきたら、少なくとも死んだりはしないんだなとなりますしこれからの展開が読めてしまいます。

 こんな功績を残してるんだ! というエピソードだったら、一番気持ちいい栄光を浴びる部分をもうこなしてしまっているので、そこに至るまでのしんどい過程を読者が面白く感じるように描かねばなりません。それも大変ですし、もしその描写を飛ばしてしまったら浴びている賞賛が薄っぺらくなってしまいますからね。総じてそのエピソード時点では世界観が広がるものの制約が多く、展開が読みやすくなる(融通が利きづらい)ので辛いというのが個人的な感想でした。こういう展開(未来の話しを長くする)をした小説できっちり終えた小説をほぼ見たことがありませんでしたし。

 しかしながらこの小説は魅力の部分を他のキャラクターとの交流、揺れ動く人間心理や活劇といったところに移し、その制約をきっちりクリアして見せ、時系列の差で起きる面白さを引き出しています。すごい!

 ストーリーラインとしてはまっすぐでそこまで奇を衒ったものではないですが、未来の描写もありつつも長編をきっちりと最後まで収束していて作者の方の力量が伺えるようです。

 もう完結しているのもあり、非常に上手くまとまっていて、なろうにはあまりない和風の伝奇物ということでそういう話しが好きな方は是非読んでみてはいかがでしょうか。

 

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【小説紹介と雑談】『子豚ちゃんな私は、この世界では超美少女らしいです。』とルッキズム

私(♀)には、日本という国で女として生きていた前世の記憶がある。どうやら転生者というやつらしい。転生先のこの世界と地球には、当然多くの違いがあるけれど、最大の違いは美的感覚だと思う。なんせ、私の価値観では不細工子豚ちゃんな見た目の私が、こちらの価値観では傾国レベルの超美少女らしいのだ。そんな私が、私基準ではめちゃくちゃかっこいい虎獣人の男性に出会って、押せ押せするお話。
本編は全十七話、プラス番外編いくつか。男女両方の視点から話を書いているので、場面の重複があります。

 

おすすめ度☆☆☆

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 この小説は美醜逆転物の恋愛小説ですね。元の世界だと虐げられているような見た目の主人公が持て囃される世界にて、元の世界では価値のあるとされていた見た目の相手が虐げられているのを見て、その相手に恋に落ちるみたいな話です。まあ美醜逆転で恋愛物って言ったらこれしかないような気もするんですが。

 元々美醜逆転というのは容姿が優れていない自分がどうしたら愛されるようになるのかを妄想していったら出来た要素だと思うんですが、個人的にはなかなか複雑だなと思います。

 現実では多かれ少なかれルッキズム、つまり容姿によって評価が左右される場面があるわけです。こと恋愛関係においては一番多いかもしれませんね。努力の多寡はもちろんあるでしょうが、容姿に恵まれる/恵まれないというのは確実に存在します。

 その上で恵まれない容姿である人が逆の立場になったらというのが美醜逆転物なわけですが、結局のところ立場が逆になっただけで仕組み自体は変わっていないというのが悲しいところ。ルッキズムに虐げられてきた人がルッキズムで支配する側に回るという構造。すごく嫌味な風に言えば逆転世界で虐げられている相手(つまりイケメンや美女)に主人公が手を差し伸べれば自分たちが支配層なら虐げられた人間も認めて上げれると示せます。

 現実では自分の身体の価値を社会が勝手に決めて、それに応じた対応を周りがしてくるというのは覆しのないようなことで、例えば自立すれば整形などの対応もできなくはないですが、子供のころに受ける周りからの評価は人格に多大な影響を与えますよね。何とか出来るようになった頃には癒えない傷がついていることもあります。

 そんな中で心が綺麗なら……みたいな綺麗ごとは通用しないとは言いませんがほとんど力がないのはそんな経験をしてきた彼ら/彼女らにとっては明らかであって、そういう時にこういう美醜逆転物が助けになるのかなぁなんて思ったり。そんなことを考えながら読んでました。

 まあこんなどうでもいいことを考えながら読んでいる人はいないでしょうし、普通にこのジャンルとして面白く読めたので興味がある方はいかがでしょうか。

 

 

 

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【小説紹介と雑談】『ギアス世界に転生したら病弱な日本人女子だったんだが、俺はどうしたらいいだろうか』と二次小説について

元日本人男子の「俺」が転生した先はコードギアスの世界、しかもブリタニアと開戦する以前の日本だった。
このままだと戦争で死ぬ。
由緒正しい忍者(?)の家柄である篠崎家の娘、百合として、彼は生き残るための方法を模索する。

※読者さまからいただいたイラストはまとめて活動報告に掲載させていただいております。
まことにありがとうございます。
※本編完結しました。

 

おすすめ度☆☆☆☆

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 

 

 今回紹介するのはコードギアスの二次創作ですね。私はコードギアスをかなり周回遅れで履修したんですけど、遅れた理由があんまりロボットに興味がないからでした。実際のところギアスの能力やストーリーがよく、そこで大きくウケていた印象なので、ロボット物というだけでなくいろんな要素を上手く噛み合わせたところが人気だったのかなぁと今となっては思います。まあ人気のロボット物ってみんなそんな感じだと思いますが。ガンダムとかエヴァとか。

 この小説は主人公が本編開始前の世界へ転生して、原作の知識を使って未来の改変をしていく話ですね。まあ二次創作小説としては王道なのではないでしょうか。

 最近になって二次創作小説をよく読むようになったんですけど、それまではイメージとして原作キャラクターの別の魅力を引き出すのが主な目的なのかなーと漠然と思ってました。

 もちろんそういう小説もたくさんあると思うんですけど、基本的にハーメルン内で人気なのはそこの世界に別種の主人公を送り込んで原作と絡めつつ活躍させる奴ですね。そこそこ読んだ(ランキングから50作いかないくらい?)程度の認識なので違うよ? と言われるかもしれないですが。

 すでに完成された面白い世界で何者かになって活躍できる! というのがこのような小説の大きな魅力ですよね。さっくり読めるものが多いので最近はもっぱらこういうのを読んでます。

 小説の話しに戻すと、読んでるうちにあーこういうキャラクターいたなーとかこんなストーリーだったなーと思いだすことができ、主人公のキャラクターも立っていてとても面白く読めました。二次創作でも原作の出来事をすでに知っているでしょ? って感じで説明を全部すっ飛ばされるとメアリースー感が高くなってしまいますし、この辺りがきちんとしている作者さんはすごいなーと思います。私みたいなうろ覚えにも優しい。

 コードギアスを知らない、知っていても聞きかじりだけみたいな人でも楽しめます。二次創作に抵抗ない人にはお勧めです。

 

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【小説紹介と雑談】『ダークファンタジー系海外小説の世界で人外に好かれる体質です』とダークファンタジーについて

生まれ変わった先は、人外魔境で有名なダークファンタジー小説の主人公でした。
せっかくのファンタジーだし、どうせなら原作みたくカッコいい魔法使いになりたい。
でも、一つだけ大きな問題がある。
それは、僕のヒロインが全員イカれた化け物ってことだ……

 

おすすめ度☆☆☆☆

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 気が付くとすぐ日が経っているので時間というのはあんまり優しくないなと思いつつ。今回の小説はファンタジー物ですね。まあタイトルにある通りなんですが。

 内容としてはゲームオブスローンズみたいながっつりとしたファンタジー世界に主人公として転生してしまい、困ったことに主人公は魔を引き付ける設定があるので何とか生き抜かなきゃって感じですね。

 さわりとしては主人公が知っている原作の話しが多めで、ダークファンタジーの設定な割に重さが足りないかな? って印象でしたが進むにつれてその軽快さは鳴りを潜め、だんだんとそのタイトルにふさわしいダークな感触に変わっていきました。

 その上で登場人物も魅力的で非常に面白く読んでいます。こういうファンタジー世界だとゲームでいう”ネームド”のようなモンスターやキャラクターを存在感ある感じで描写されるとやはりワクワクしますね。

 ところでダークファンタジーっていう括りなんですけど、ファンタジーにはいろいろあるものの実際のところファンタジーと聞いて科学がっつり魔法もがっつり世界は繁栄を極めている! なんて感じを想像する人は少ないと思います。それこそ文明が発達していない架空上の中世ヨーロッパに魔法を乗せた世界みたいなのがパッと考えるファンタジーなのではないでしょうか。

 そもそもそういう世界って普通に考えればならず者が横行していて治安は悪いはずです。少なくとも魔法という派手な武器があってモンスターみたいな人類の敵もいる設定だったらなおさらですよ。

 そんな世界だったら悲劇はごく当たり前に起きるわけで、リアルに考えると大体ダークファンタジーに行きついてしまうわけです。リアルはダーク。

 ファンタジーという言葉が拡大し続けてる現状、古来ならば神話、有名どころでは指輪物語などの本来ファンタジーと呼ばれてたこのジャンルがダークファンタジーとやハイファンタジー呼ばれるようになったのは中々面白い話だなーと思います。

 とまあ脱線しましたが入りは軽く、中に行くほど引き込まれて行く面白い小説です。そういうのが好きな人は読んでみてはどうでしょうか。

 

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【小説紹介と雑談】『サイレント・ウィッチ』と女性主人公

天才魔術師モニカ・エヴァレットは人見知りで、人前で喋るのが大の苦手。
そこで彼女は猛努力の末に、詠唱をせずとも使える無詠唱魔術を習得。〈沈黙の魔女〉として、弱冠十五歳で七賢人に選ばれた後は、森の中で静かに暮らしていた。

それから二年が経ったある日、モニカに一つの命令が下される。
その命令とは、学園に通う第二王子を、本人には気づかれぬよう秘密裏に護衛してほしい、というもの。
かくしてモニカは王子の護衛をするために、貴族の子女が通う煌びやかな学園へ潜入するのだった。

「いやだよぅ、怖いよぅ……うっ、うっ……胃がキリキリするぅ……」

と泣きべそをかきつつ。


カドカワBOOKS様から書籍化していただけることになりました。ありがとうございます!
コミカライズ企画も、現在進行中です。
番外編・外伝は、タイトル上のリンクからとべます。

 

 

おすすめ度☆☆☆☆

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 気づくといつの間にか月日が過ぎていて更新結構開いてしまいました。今回の小説は魔法ファンタジーでの学園物ですね。地球出身の人間が~みたいな異世界系ではないハイファンタジーです。

 中身としては天才魔術師でありながらそれ以外は年相応な少女である主人公が、ひょんなことから学園に通う王子の影の護衛として学園に潜入することになり、そしてそこで人間的に成長していくという感じです。

 こういうモチーフだと天才魔術師という部分にフォーカスを当てて主人公を持ち上げるのが最近のブームというか流れですが、この小説はそうではありません。その部分は主人公という人物を構成する一要素であって、それ以外の人間的な部分にもきっちりと焦点が当てられており、天才魔術師(数学が非常に得意)であるというステータスがどこにでも出張ってくるというような構成にはなっていません。

 それは主人公の脇を固めるキャラクター達も同じで、誰もが皆悩みや葛藤などを抱えており、その人間らしさをうまく物語の上で昇華していくような、気持ちのいい物語になっています。

 ストーリーも綺麗にまとまっており、魔術などの設定も凝りすぎず、それでいて説得力がきっちり出るような風に描かれているのでとても完成度が高い小説だなーというのが私の感想です。キャラとしては主人公のモニカが好きですね。

 

https://ncode.syosetu.com/n8356ga/

 

 ここから先はネタバレを含みます。中身としては主人公の性別による攻略対象の選び方って変わるよねみたいなことが書いてあります。

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【小説紹介と雑談】『俺にはこの暗がりが心地よかった』と小説の掲示板回

「私が選んだ1000人に異世界へ行ってもらう」
全世界のディスプレイに現れた神の言葉によりその騒乱は始まった。
幼馴染みが転移に選ばれてしまった黒瀬ヒカルは、彼女が転移する当日、彼女と共に殺害されてしまう。しかし、なぜかヒカルは死なず、権利がなかったはずの『行動のすべてを地球でライブ中継される異世界転移』に選ばれてしまうのだった。
何の準備もなく魔境へと転移させられた彼は、何度も死の危機に直面しながらもギフト闇の精霊術によりどうにか生き残り続けていた。
「死ねない。地球でみんなが応援してくれているはずだから――」
これは、視聴者達の視線に翻弄されながらもやがて前を向き歩き出す、精霊に愛された少年の物語

 

おすすめ度☆☆☆☆

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 また期間が開きましたが例によってFF14してました。楽しいからしょうがない。

 今回のこの小説は異世界転移物ですね。あらすじは引用した紹介文の通りです。王道ですね。作者の方がタイトル変えるかもーと書いていたので変わった時は記事タイトルも変えときます。

 このような感じの設定でよくある主人公周りだけ解像度を高めて、それに都合のいいよう世界側を歪めるご都合主義みたいな感じではなく、しっかりと物語が練られており、世界の上にキャラクターが動いているのが感じ取れます。

 異世界転移物というのはこの辺りの匙加減が難しいです。基本的に読者は主人公の活躍を望んでいるわけですが、主人公に有利すぎてパカパカ無双されると物語のリアリティがなくなってしまい、これってただの空想じゃん! と醒めてしまうことになります。そりゃあ全部が全部自分に都合のいい世界に生きている人はいませんからね。これは裸の王様だと気づいてしまうわけです。

 かといって現実に即したような苦難を描くとそこから抜け出して活躍する道筋が遠くなり、切ったばったで無双するような単純な主人公の活躍からは遠くなってしまいます。もちろんそういうこと以外にも主人公が活躍する手段はあるでしょう。しかし現実的な路線で行くと栄え辛い、もしくは適切な知識がかなり必要になり、ご都合主義的な設定チートでそこを打開すると上の醒めてしまうことに繋がってしまいます。

 この辺りをうまくコントロールして主人公などのキャラクターに感情移入させるような物語を創るのは作者さんの力量がないと成立しません。その辺りこの小説はとてもうまくやっていて、少し引っ掛かるところはあるものの(視聴者数の話しとか現実社会の動きなど)サクサク読めてかなり面白いです。

 とまあ紹介とは少し離れるんですが、この小説にはいわゆる掲示板回が結構出てきます。現実の匿名掲示板を模した感じのアレです。

 私は結構好きなんですが、なんでだろうと考えた時に主人公の優位が明確に再確認できるからかなーと思うんです。

 実際の匿名掲示板はともかく、こういう物語で出てくる場合は主人公たち以外の民意として現れるわけです。基本的には一般の人たちが主人公について語るわけですから、話題の中心です。しかも彼らが主人公の起こしてきた事実を言って再確認しても露骨なヨイショには感じません。あまり嫌味なく主人公の業績が確認でき、話題の中心にもいます。カタルシスポイントが貯められます。読んでて気持ちいい!

 しかしながらこれが成立するには語られるだけの業績が主人公に必要なわけです。その辺りの積み重ねが疎かだとそもそも成立させれません。何もしてない主人公を褒めそやせませんよ。無い袖は振れない訳で、その辺りはやはり作者の方の力量が大事。その辺りが私の掲示板回が好きな理由なのかなーなんて思いました。

 とまあ結構脱線しましたが、サクサク読めてとても面白いです。異世界転移系を読みたい! けど露骨なのはちょっと……みたいな人には特にお勧めです!

 

https://ncode.syosetu.com/n7820go/