オタク文化の切れの端

基本的にweb小説を紹介するブログです。普通のラノベも読みます。批評とかもします。たまに一般文芸とか映画の感想とか思ったこととかが入ります。

【小説紹介と感想・雑談】異世界転生して騎士になった僕(男)は、メスオークどもからくっころを強要されていた。

ミリオタを拗らせすぎて軍人になり、見事出世ロードに乗ることに成功した主人公。しかし、とある事件をきっかけに非業の死を遂げてしまう。
運よく異世界転生に成功した彼は、第二の人生で再び軍人としての成功を望み騎士となる。しかし、その世界は男が性的に狙われる貞操逆転世界で……
現代軍事知識を武器に成り上がりを狙う主人公に襲い掛かるのはセクハラ女!ストーカー女!ナンパ女!おまけに体目当ての蛮族たち!彼が栄光を掴む日はいつ来るのだろうか……

なろう、カクヨムでも連載しています。

 

おすすめ度3.5

 

 この小説は異世界転生物です。貞操観念逆転した世界で主人公が女騎士のポジションで成り上がる感じです。説明しづらい。

 内容としては主人公が元軍人であるという前世を生かして、魔法はあるものの技術が近代化する前の異世界で成り上がってくのと、貞操観念が逆転してるのでヒロインズからめちゃくちゃアプローチされる恋愛模様の二本仕立てですね。

 読みやすい文章とちゃんと調べて作ったのが感じられるリアリティある戦いの描写等、さっくり読むにはとても適しています。

 この作者さんはなろうの方でも連載されていた貞操観念逆転物を完結させ、それが書籍化しています。私はそれと知らず、なんか作者の方の名前見たことあるな……あ!とかなり後に気づきました。そちらは貞操観念逆転世界の宇宙パイロットエースが主人公です。めっちゃ貞操観念逆転させるの好きなんだなと伝わってくる……。そっちも面白かったのでまた今度紹介するかもしれません。

 割とリアリティがありつつもエンタメ的な面白さは損なわない文章はかなり読みやすく、その上更新頻度も高いのですごいなぁと思っています。何か軽く読みたいなーと思ってる人にはお勧めです。

 

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【小説紹介と雑談】魔女狩り聖女

 聖女と騎士の物語は、いつだって悲劇で終わる。

 魔女禍。それは女にのみ現れる悍ましい病、あるいは呪い。
 魔女となった女は正気を失い、異形の怪物へとなり果てる。
 そして聖女と騎士と呼ばれる者たちが、そんな魔女を狩り続けていた。

「聖女なき騎士」レーベン。
 ただ一人で魔女を狩っていた彼はある夜、「騎士なき聖女」シスネと出会う。
 それは歪な聖女と騎士の、長く短い戦いの始まりとなった。

 これは世界を守る英雄の物語ではなく、世界を変える狂人の物語でもない。
 大いなる災いの中、ただ望む己であることを願った二人の物語。

 

 おすすめ度3.5

 

 この小説はハイファンタジーです。人間の女が魔女と呼ばれる化け物になる世界でそれを狩る騎士は聖女と呼ばれる回復役と二人一組で戦うのが常識の世界。そんな中で一人で戦っていた異色の騎士である主人公が、これまた一人で戦っていたヒロインとであるころから始まります。

 内容としてはダークファンタジーのめちゃくちゃ王道といった感じで、奇をてらうような感じが一切なく、基本的に暗めの雰囲気で進むストーリーとそれに似合った重めの戦闘描写がメインですね。

 そのまま進むと重くなりすぎるのを主人公やその周りの会話でうまくバランスを取っているのがうまいなぁと思います。三人称で進んでいく物語にぴったり合った文体や表現も手堅く、高いレベルでまとまってる印象です。

 ネット小説にありがちな要素はあまりなく、きっちりとしたダークファンタジーなのでこういうのがお好きな方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

 

 

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【小説紹介と雑談】『雛森「シロちゃんに『雛森ィィィィ!』と叫ばせたいだけの人生だった…」』とBLEACH

最高峰の美少女に憑依転生したクソ主が歪んだ愛情でイケメンショタ幼馴染を愛でて色々引っ掻き回して満足するお話だゾ。

 

おすすめ度4

 

 この小説はBLEACHの二次創作ですね。雛森桃に転生した主人公が、自分の押しキャラである日番谷十四郎を曇らせて喜ぶみたいな話です。

 正直なところ私はあんまりBLEACHファンではなく、原作も一応全部読んでたんですけど、そこまで思い入れがあるわけじゃありません。日番谷十四郎は結構話題になるので氷結系最強! みたいな感じで覚えてましたが、主人公が転生した雛森桃にいたっては……? みたいな感じでした。一応読んだはずなのに!

 そんな曖昧な記憶でしたが、この小説はその辺りの曖昧さを補完しつつも、いい感じに主人公が狂っていていろんなイベントを起こし、キャラクターの良さを引き立ててくれます。特に十刃当たりのキャラがめっちゃ出てきて、あーいたいた! みたいな気持ちになりました。あと藍染惣右介も推されててよき。

 物語として破綻しない程度に主人公が暴れつつも、キャラクターの内面まで踏み込んで魅力を引き立てくれます。あまりBLEACHに思い入れがなかった私もこれを見て原作の良さを再発見できました。設定がすごい(小学生)。

 BLEACHが好きな人にはとてもおすすめな二次創作です。

 

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【小説紹介と雑談】『勇者刑に処す 懲罰勇者9004隊刑務記録』

全員が性格破綻者で構成される、懲罰勇者部隊の刑務記録。
世界史上最悪のコソ泥、詐欺師の政治犯、自称・国王のテロリスト、成功率ゼロの暗殺者――

彼らを率いる《女神殺し》の重犯罪者、ザイロ・フォルバーツは、今日も無茶な作戦に投入される。
その任務の最中、深刻な盗癖を持つ仲間が、一つの死体が入った棺桶を盗んでくる。

……だが、その棺桶の中に入っていたのは死体ではなく、《女神》であった。

いかにして彼らが魔王現象と戦い、また恩赦を勝ち取ったか。

 

おすすめ度☆5

 

 この小説は異世界ファンタジーです。特に転生とかはないハイファンタジーです。

 ざっくり内容としては人類の敵が攻めてきていて、それを一癖も二癖もある人物で構成された懲罰部隊とそれを率いる主人公が無茶な局面を何とかしてくみたいな話しですね。こんな適当に書いたあれより上のあらすじ見てください。そんな感じです。

 この小説のすごいところはキャラクターの個性で地固めされた物語の展開のうまさです。

 この小説は一人称で進んでいくんですが、主人公のザイロ視点からほぼブレない一視点で統一されています。この書き方だと主人公の視点で進んでいくので他のキャラクターはあまり心情描写し辛い問題があります。他の作品だと他のキャラ視点での話を入れたりしてその辺を補うんですが、この小説にはそのあたりの描写がかなり遅くに書かれています。そのまま普通に読んだとして単行本何冊か読んだあたりで、他キャラクターの視点からの話が展開するのです。

 それでまあ上にあるあらすじの通り、結構な独自言語が入ってる上に、ハイファンタジーなので読者にはなじみのない世界を説明するところから始まるわけです。そんな中で序盤に主人公以外の視点が出てこないというのは世界観説明やキャラクターの説明がめちゃくちゃハードになるということです。導入でこいつはこんなキャラだ! ここはこんな世界だ! っていうのをうまくやらないと「なんか説明多いな」とか「つまり……どういうこと?」みたいになりかねません。

 その辺りのめちゃくちゃ難しい塩梅をこの作品は練り上げられたキャラクターの個性と非常に高い筆力でとてもうまく描いています。

 読んでいるとわかるのですがキャラ一人一人の解像度がとても高く、場面場面でこういうキャラなんだというのがはっきり理解できる個性が三人称の小説でも浮かび上がってきます。

 もちろんそういう場面を描いているのもありますが、割と地の文自体は淡白な描写にもかかわらず、キャラクターの個性がここまで浮かび上がるのは、作者の方の高い筆力と非常に練られたキャラクターの高い解像度あってこそだと思います。ぱわーですね。

 元々作者さんはTRPGをかなりやっていた方らしく、そう思ってみるとキャラクターの解像度が高いのも、章ごとの区切り方がキャンペーンっぽいのも納得というか。私の中でTRPG出身者は大体お強いの法則が着々と出来上がりつつあります。

 この作者さんの小説は他にも読んだことがあるのですが、この小説が一番好みですね。あとは文体や内容的にも電撃で出てもおかしくないけど、文庫の方で出るにはちょっと淡白かなーっと思ってたら電撃の新文芸で出ると聞いて電撃の編集さん目ざといなーと思いました。さすがだなー。 

 

 いつも思ってるんですが、あんまり読みたいってなる紹介じゃないですねこれ。ネタバレ防止で私がどこに感銘を受けたかを適当に書いてるのであんまりこれ読んで読もうとはならないかもしれません。おすすめ度だけ見て参考にしてください(無)。

 とりあえずめちゃくちゃに出来がいいのでみんな読んでみてください。面白いので。

 

 

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【小説紹介】『高2にタイムリープした俺が、当時好きだった先生に告った結果』

【漫画版1~5巻好評発売中!】【小説版1~5巻がGA文庫様より発売中です!】 
アラサー社畜の俺は、目が覚めたら高2の春にタイムリープしていた。
当時好きだった先生に告白出来なかったことを後悔していた俺は、思いきって告白し、付き合うことになった!
けど先生は男をダメにする女の人で、ことあるごとに俺を甘やかしまくる。

尽くし過ぎる先生(恋人)とバレないように付き合いながら、甘々でイチャイチャな学園生活を送る。
中身アラサーで高2な俺と、俺を甘やかしたい先生(恋人)の日常イチャコメディ!

 

 おすすめ度☆3.5

 

 この小説は男性向けのラブコメですね。引用したあらすじにもあるように中身おっさんの主人公がヒロインの先生といちゃつく内容です。

 主人公やヒロインに何か問題があって……のようなシリアス展開にはならず、常に緩い感じで進んでいくので安心感がありますね。これを読みに来る想定読者に刺さるようなシチュレーションが高い精度で描かれてるので、こういう感じのラブコメが好きな人にはとてもおすすめできる内容です。書籍化、漫画化もしているようなのでそちらで読むのもいいかもしれません。

 

https://ncode.syosetu.com/n4976ea/

 

 この小説自体は数年前の投稿ですが、書店なんかを覗くと割とこういう小説や漫画が増えたなーという気持ちになります。とても流行している、とまではいきませんが、一定の存在感があって流行りの移り変わりを感じますね。

 

 

 

 

【小説紹介】『顔真っ赤なネイチャさんに「お、お馴染み1着ぅ……」と言わせるまで』

ちょっぴり卑屈で斜に構えた女の子がトゥインクルシリーズを多くの勝利と共に走り終え、URA優勝セレモニーで感極まっているところを邪知暴虐のトレーナーに

「オラ! 言え! お馴染み1着ぅ! って言え!」

と、かつての自嘲「お馴染み3着ぅ」をパロってこれまでの実績を誇るよう商店街の皆さんの前で無茶ぶりされるまでのお話。


※アプリ版ナイスネイチャシナリオをベースに、アニメ2期と史実を被せるような形で作っていますので、そういった部分の改変が苦手な方はこの文を警告タグのようなものと受け取ってください。
主に、トウカイテイオーとのライバル関係がアニメよりも強まります。
「「お前には負けたくない」」系です

 

 おすすめ度☆3.5

 ウマ娘の二次です。卑屈な感じのナイスネイチャがポジティブトレーナーに出会って明るくなってく話ですね。原作の関係性の強化という感じですが、非常に丁寧です。キャラの感じやエピソードもちゃんと感情が動いてる感じがして記号じゃないように感じれていいです。

 しかしながら更新が遅く、がっつり勧めるには現状ちょっと内容量が足らない印象。なのでちょっと控えめなおすすめ度です。表現自体はとても高いレベルでまとまっていて面白いので今後の更新が楽しみですね。

 

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【小説紹介】『アラサーがVtuberになった話。』とVtuber小説の話

ブラック企業辞めたシスコンアラサー(♂)が底辺企業Vtuberとして炎上しながらも奮闘する話。
※炎上ネタが苦手な方はスルー推奨です。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。
※サブタイトル横★マーク付きは頂いたイラスト等が掲載してある回になります。
※「小説家になろう」「カクヨム」にてマルチ投稿しています。

 

 

 おすすめ度☆3.5

 

 この小説はVtuberを題材とした小説ですね。こういう題材+人間関係メインのジャンルって何て呼べばいいんだろうといつも首をひねっております。コメディとか青春物とかいろんな要素があるもののどれもメインとはいいがたく……。まあそれは置いておきます。

 内容としてはまあ引用したあらすじ通りですね。こういう題材だと主人公のステータス上昇としてぽんぽんと登録者数が増えていったりしてネタ切れというのが結構起こるんですけど、この小説はその辺のインフレに安易に手を出さない感じでえらいなぁと思います。

 結局有名な他の人間(ここではVtuberの中身)に違和感なく絡むってなった場合、数字が近くないとなんでこいつら絡むの? みたいなことになってしまうのでこういう題材で言う登録者数(ファン数)を増やすというのは導入として自然なんですけど、作品自体の目的が人気Vtuberになるだと序盤にしてもうそこに近づくという意味でもあるので終わりが近くなるというか。

 そうなっちゃうと次の目的として人間関係、しましょうか! になってメインの配信業が消え失せていくのが割と見た展開ですね。登録者数をすぐインフレさせると他のキャラのキャラ立ちもしてないので人間関係メインになっても薄いなーとなっちゃいがち……。

 やめましょう世知辛い話は。この小説はインフレしないで他キャラの関係性エピソードとか配信のどうのみたいなので物語を進めててえらいです。面白いです。それが伝わればいいのです。

 他にもwiki風の話があったり、文字演出も結構手が込んでていてすごいなーという気持ちがあります。私なんてこんな千文字くらいの記事書くだけでめんどくさがってるというのに。文字の大きさも色も変えない殺風景。なぜならめんどうだから。ハーメルンに書いてる人は工夫してる人が多くてえらいですね。

 こういうのが好きな人にはお勧めです。

 

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【小説紹介と雑談】『奥多摩個人迷宮(プライベートダンジョン)~浸食してきた異世界迷宮』とローファンタジーのダンジョン物

奥多摩で家業のコンビニを手伝う高校生、山岸恭二はある日、店内で《浸食》の影響によって大けがを負う。
救急車で搬送された病院で魔法によって回復した恭二は、何かに誘われるように<浸食の口>に飛び込んでその先で迷宮を発見する。
現代世界に突如現れたダンジョン。そして浸食の口からあふれ出す魔素《マナ》によって魔法使い達、そして新しい職業『冒険者』が誕生する――。

ダンジョン内でドロップする素材を現代科学に利用して、新たな産業が生まれ、世界は徐々に「冒険者」という職業に理解を示していく。

 

 おすすめ度 ☆3.5

 

 この小説はタイトルにあるように現実に異世界からのダンジョンが出てきたよーというローファンタジーですね。この小説の投稿自体は2015年で結構古いのでその頃の流れとしては割と新しめのものでした。今だと結構このジャンルは開拓されちゃってそこまでポンポン出てくるって感じじゃないですね。

 内容としては割とリアルよりで進む感じで、ダンジョンから手に入れた素材、技術をリアルで活かしてく見たいな方面に進んでいきます。そのストーリーならこういうのが欲しいよねって言うのが大雑把ながらも詰め込まれていて面白く読めますね。

 文体も取っつきやすく、すらすらと呼んでいけるのでこういうのが好きという人はおすすめです。

 

https://ncode.syosetu.com/n6787cs/

 

 

 

 それでまあここからは雑談なんですが、現実にダンジョンできる系の奴の話です。

 この小説や前紹介した『Dジェネシス』もそうなんですが、結局そこで出てきた新素材をリアルでの有効活用にもっていこうってなると流れがテンプレートと化しちゃってあんまり目新しさがなくなっちゃいますよね。

 リアルのマクロ視点で見ると突然自分が石油王のような戦略物資を好きに扱えるようになったって話になってしまうわけで、それを狙う国家の圧に対して自身の武力(+自信を早期に認めてくれた国からの圧)によって対抗するという流れがテンプレートになりますよね。というかそうならざるを得ないですよ。それが自然。

 内容がリアルでの立身出世のほうに傾くとダンジョンは自分だけが使える新物資供給施設になってしまいがちで、そこからの世界の動きというのは割と決まった流れになりがちなんですよ。

 その資源を狙ったアメリカは実は宇宙人に乗っ取られていてその物資を狙ってアメリカエイリアン連合軍が外交と武力の両方で攻めてくる! みたいな予想を飛び越えてくるような展開にしづらいんです。いや、この例えはちょっと見たいですがそれはいいとして。

 リアルでの立身出世をこういうダンジョン物で行うと最終的なゴールは世界中の権力者に認められ、主人公が動くだけで世界に大きな衝撃を与えかねない人物になることだと思うんです。

 それでまあ既存権力の側を予想を飛び越えていく空想の産物にしちゃうと、途端にリアルでダンジョン資源から固めた地位まででがあやふやになっちゃうので厳しくなるんですよね。

 真実の中に嘘を混ぜてるからそれが本当に見えるのであって嘘ばっかの泥団子を鉄の塊に見せるには大変な労力がいるのです。

 他のジャンルならそれだけに注力して描写範囲を狭めるとかで何とか出来たりもするんですが、立身出世だとかかわるものが大きくなるので描写の係数も大きくなってそれを嘘で塗り固めるとマジで大変になりがち。

 結局何が言いたいかというと描写大変だし、テンプレの流れを変えるにはめちゃくちゃ難しいストーリーにリアリティ持たせないと面白くないから最近はあんまり出てこなくなったのかなぁということですね。話が長い。

 

 

 

【小説紹介】『俺たちの魔王はこれからだ。』

高校生の透、真紀子、静は、前世にて異世界の三大魔王として君臨していた記憶を持っています。外道な勇者によって殺された三人は、高校で“前世懺悔同好会”を設立し、 前世の事を悔いる電波で痛々しい日々を送っていたのですが、ある日新任の先生がやって来て、不吉なフラグを立てました。「お前たちの戦いはこれからだ」ーーー二千年後の異世界に再び転生した三人が、それぞれの前世を思い出し、懺悔したり反省したり、巡り会ったりしながら、再び魔王になっていく独白系コメディ&シリアス。勇者の影に怯えます。
【書籍情報】富士見L文庫より発売中の「浅草鬼嫁日記」「メイデーア転生物語」シリーズの原案となります。書籍とは設定や世界観は同じところがありますが、違う物語ですので、ご注意ください。

 

 

 おすすめ度☆4

 

 この小説は異世界ファンタジーですね。内容としては割と恋愛が中心ですが、世界観が作りこまれていてファンタジー小説としても高い完成度です。

 コメディとシリアスの塩梅がちょうどよく、内容としてもきっちりまとまっていて読みやすい小説です。ただ最初に書いたようにメインのジャンルとしては恋愛物なので、魔王による無双みたいな要素を期待していると少し外れたような気持ちになるかもしれません。そういう背負ったものがある恋愛を描くために周りの世界観完成度が高まったイメージ。方向性としては恋愛喜劇(悲劇)ですね、ロミオとジュリエットとかみたいな感じです。こういうのが好きな人にはとてもおすすめですし、完成度が高いのでそういうのが苦手というのでなければ読んでみてほしいところです。

 あとこれを原案としたライトノベルが書籍化されています。漫画にもなってるようで絵がきれい。下にリンクを置いておきます。そちらは読んでないのですが、それだけ力のある作者さんということですね。完結済みでもあるのでぜひ。

 

 

 

https://ncode.syosetu.com/n3862be/

 

 

 

 

 

 

【小説紹介】『TSオリ主は完璧なチートオリ主になりたいようです』

自分が転生した世界をいい感じの二次創作に仕上げる為に、意識高い系オリ主が完璧なチートオリ主を目指す話。

 

 

おすすめ度☆3.5

 

 今回紹介する小説はまた複数のオタク専門用語からなる小説なので、その辺に詳しくないと頭にはてなマークが浮かびます。

 タイトルに出てる言葉から言うとTSは性別転換を意味していて男→女になってるよ、オリ主はオリジナル主人公を意味していて二次創作でよく使われる自分の考えたキャラクターが主人公ですよの意。ちなみにこの小説はオリジナルの小説であり、元の小説というものは存在しません。何も知らない人が一遍に理解しようとすると頭おかしなります。

 あらすじを大雑把に説明すると主人公は昔見ていたアニメの世界にTS転生していたのでその原作アニメの流れを完璧なハッピーエンドにするために介入して頑張っていくよ! という話です。

 二次創作におけるオリジナル主人公というのは、下手すると原作をぶっ壊して気持ちよくなるためのものになりかねません。有名なので言うとメアリースーですね。あれはそういうのを揶揄するために書かれたものなので、あれなんですが。要するに安易にはやるなよ! って言われてるものなわけです。

 この小説はその辺のメタ的な意味を含ませながら主人公が動いていくので、こういう二次創作界隈にある程度詳しくない人が見ると最初はどゆこと? となりがちです。オリジナル小説なのに二次創作界隈のことを知らないとちょっと取っつきづらいとというなかなか面白い立ち位置ですよね。まあ言ってしまえばすべての物語が現実のn次創作なので正統進化なのかも。

 内容としては色々な要素を包容しているのもあって展開に幅があり、主人公の一人称説明がとても軽快なのもあって、最初のハードルさえ乗り越えてしまえばサクサク読めて面白いです。更新頻度が高いのも魅力的。

 作中でも説明してくれるのでweb小説を元々読んでるっていう人にはおすすめです。

 

 

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【小説紹介】『この世界のヤベー奴らは大体みんな俺の弟子』

一度は世界征服を果たした最強の魔王は言った。私の師は私と比べ物にならないほど強いと。
魔王を倒した偉大な勇者は、全ての力は彼に授けられたと語った。
一説にはその人物は裏社会で畏れられる謎めいた暗殺ギルドの設立にも関わっているという。
長きに渡る大陸の戦乱を納めてのけた皇帝の影にはその男の姿があったとまことしやかに囁かれる。
つまり全部俺の事だ。かつて神々と肩を並べて宇宙人の侵略を撃退した、神話の終わりを結ぶ最強無敵の人間にかかれば最強の弟子乱造もちょちょいのちょいさ。
さあ、このファンタジーな世界で最強の弟子を育て、宇宙人の再侵攻に備えろッ!!!(再侵攻はない)

 

 おすすめ度☆4

 

 この小説はハイファンタジー異世界転生物ですね。すごい大雑把に言うとめっちゃ強い主人公が弟子を育てて、その弟子が世界各地で成り上がって師匠の株も上がってく感じの奴です。

 この作者さんは前に紹介した『世界の闇と戦う秘密結社が無いから作った(半ギレ)』という書籍化作品の作者さんでもあります。紹介記事はこれ

 ラノベ一冊分の容量でうまくまとまっていて、テーマでほしいものがきっちり詰まっています。前の作品の時も思いましたが、この作者さんはアイデアをきれいにまとめるのがとてもお上手です。

 半面、人物や設定の掘り下げはちょっと苦手なのかなと思っていましたが、このような一冊分となると全く気になりませんでした。とても面白かったです。

 

https://ncode.syosetu.com/n2245gi/

 

【小説紹介】『勇者の剣の〈贋作〉をつかまされた男の話』

はじまりは、嘘だった。青年は馬鹿正直な馬鹿であり、嘘を信じて戦った。その嘘が誰かを傷つけることもあった。けれど、彼は戦い続けた。そのくだらない嘘が、真実に変わるように。

 

おすすめ度☆4

 

 今回紹介する小説は短編ですね。勇者がどのように生まれるかという問いにシンプルな解を物語で返しています。話の内容も欲しいものがあってシンプルにまとまっていて、短編なのでサクッと読めるのも魅力的です。

 短編なので中身を説明しだすとアレなため、このくらいにしておきます。なんかちょっと読みたい人におすすめです。

【小説紹介と雑談】『【完全版】俺は何度でもお前を追放する~ハズレスキルがこのあと覚醒して、最強になるんだよね? 一方で俺は没落してひどい最期を迎えるんだよね? 知ってるよ、でもパーティーを出て行ってくれないか~』とタイトルの話

※書籍化すっ飛ばしてコミカライズする事になりました! 詳細は後日!

 父親を魔王に殺された青年エリウスは、成人の日に

「取引すれば、新たなスキルによって魔王の討伐を早くできる」

 と語る男と出会う。
 男の言葉を疑いながらも、エリウスが取引によって手にしたのは「導(しるべ)」という、魔王討伐までの五年間を繰り返しながら、必要な因果を発見することのできるスキルだった。
 導の力で何度も五年間を繰り返しながら、聖女や槍の名手といった、強力なスキルの持ち主達を発見し、魔王討伐への手応えを感じるエリウスだったが⋯⋯。

  あらすじより

 

 おすすめ度 ☆4

 

 今回の小説はなろうで流行ってる追放系のエッセンスが入ったタイムリープものですね。もう完結もしていてラノベ一冊分ほどの内容できれいにまとまってます。タイトルがちょっと長いですが、内容は非常にきれいにまとまっており、このストーリー展開なら欲しいという展開がしっかりと入っていて、非常に無駄なく話が進んでいきます。盛り上がるところは盛り上がりとても面白く読めました。そんなに長くないやつがいいけど何か読みたい!という人には特におすすめ。

 

 

https://ncode.syosetu.com/n4623gx/

 

 

 ここからは雑談ですが、ラノベのタイトル長いよねという話。私みたいな人間だと長すぎるタイトルを見るとちょっとうーんと思ってしまいますが、これはタイトルを含めた小説自体の完成度を見たときにもっと適切な言葉があるだろうと考えるからですね。他にもこのタイトルによって釣られる読者層に私が入ってないことが多いっていうのも理由なんですが、最近は長いタイトルでも普通に私が面白いと思える小説が増えてきているのであまりあてにならない感じはします。

 

ラノベのタイトルが長くなったのはいつ頃か? タイトル文字数の長さを年別分布にした図表が興味深い - ねとらぼ

 

 このリンクにもあるように少なくとも商業のライトノベルはタイトルの長さが増えているようです。私のような人間は実際のところ少数派で、しかしながら発信する人間もこの少数派に属しているところが多く、ここに好かれる小説→つまり簡潔なタイトルが昔は好まれてたのでしょう。たぶん。小説の完成度という項目でいえばそちらのほうが自然ですし、ライトノベルという枠にオタク目線の厳しい視線が注がれていた時代はそちらがベターだったのかなと思ってます。

 しかしながら今は漫画と同列とは言わないまでもかなり気軽に消費されるようになったライトノベル。この辺は単純にIPが金になるみたいな感じで消費スピードが速くなったことが原因だと思いますがここは置いときます。なのでリーチしようとしてる層が変わればそこのベストも変わってくるわけで。SNSの発達なんかも増えてだれでもある程度作品について発信するようになり、同じ声の大きさなら多数派の好みをとるよねってことでタイトルが長くなったのかなぁなんて考えてました。めっちゃ端折ったんですけど伝われ。

 まあ少なくともタイトルで内容を分かりやすく説明しろっていう指示は出ているでしょうし、そのほうが数字が出るのでしょう。webのほうもランキングに乗るために同じ考えを採用してる人が多いはずです。ちょっと悲しい。

 しかしまあその流れの中逆らって本来読みたかった小説を見逃すのは本末転倒なので頑張って見極めていきたいものです。

【小説紹介と雑談】『異世界居酒屋「のぶ」』とグルメ系物語の話し

古都の路地裏に一風変わった店がある。
居酒屋「のぶ」
これは、一軒の居酒屋を巡る、小さな物語である。

 

おすすめ度☆☆☆☆(☆)

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています) 

 

 今回紹介する小説『異世界居酒屋「のぶ」』は食事を中心に物語が展開するグルメ系のやつです。書籍化、アニメ化もしていて、これ系統の小説ではかなり有名だと思います。

 内容としては短い話数で一つの料理を題材に区切りがついており、それが連なって物語の形を成してる感じです。時系列も途切れるようなこともなく、綺麗につながってるので短編連作とはまた違う感じですね。区切りが小さくついていくので読みやすく、それでいてきちんと全体としてまとまっているので、読みごたえもあってとてもいいですね。

 一時期漫画やweb小説にもグルメ系の物語が流行ってたくさん出てましたが、この小説はそのブームの最初の方に出てきた、このジャンルをけん引したような小説な印象です。多分最初の火付け役は『孤独のグルメ』だと思うんですけど、火付け役というよりは流行る下地を作ったという印象で、2010年くらいからなんかしらのグルメ系再評価の流れがあったんだと思います。人がご飯食ってるの見るのってそれだけで結構面白いじゃん的な。

 この小説も2012年初稿(投稿年を見るに2014年付近まで更新はあまりなかったようですが)ですし、『孤独のグルメ』のドラマが始まったのも同じ2012年です。私は正直その辺ネット環境がなかったので実感としてはないんですけど、実際のところはどうなんでしょうね。この辺は全部想像です。

 話を戻しますとグルメ系の話しって食事という動作自体は短い行動に紙幅を取られるので、ストーリー自体はあまり進められないんですよ。なので自然と行動の範囲が主人公の周りにならざるを得なくて、少し変化に欠けます。これ系統の物語って何か驚きを探しに行くというよりはある程度想定した範囲内での物語を見に行くような気持ちで見ると思うんです。

 しかしながら何かしら変化がないと飽きられます。グルメ系のブームがひと段落したのもこの辺の変化がジャンル全体としてもうぱっとは出てこないようになったせいなのかなと思いますがそれはともかく。漫画だと視覚で料理が変わるので違いがあっていいんですが小説だとなかなかそうはいかないですよね。

 そこでこの小説だと異世界という別の世界を持ってきてそこにいる人たちに料理を食べさせるという解決策を取ってます。短い区切りで現地の人の視点へ切り替えているので主人公の動きの少なさも解決してます。こう見るとすごく理にかなった物語の作り方なんだなぁと感心させられます。

 その上で大筋を外さずに綺麗に物語を繋げていること、料理の描写も非常に上手く、完成度高くまとまっていてとても面白いです。まさにこういうのでいいんだよって読者から言われるような物語という感じですね。大体こういうのでいいんだよっていうのは綻びを許さない物なので、この評価がある時点でそつなく完成度が高いということです。そしてこういうそつのなさは高い筆力や知識に裏打ちされないと出ない物なので、作者さんはすごいということですね。

 長く語ったんですけど一言で言えば面白いよってだけですね。こういうのが好きな人はぜひ読んでみてください。

 

https://ncode.syosetu.com/n9773bj/

 

 

 

 

 

【小説紹介と雑談】『Garden of Clockwork』とSCPの話し

VRMMO。深淵に臨む。

 

 

おすすめ度☆☆☆☆

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています) 

 

 

 先に言っておきますと今回紹介する『Garden of Clockwork』はもう3年以上更新がないので、正直続きが書かれる可能性は低いことを述べておきます。それでも紹介する理由は面白いからです。というか個人的には未完結であろうが、それまでの面白さで評価してるので普通に紹介します。まあ完結した方がいいのはそうですけどね。

 この小説は概要にもあるVRMMO物にSCPの要素を混ぜた小説ですね。このジャンルのやつだとよく見られるスキルレベルのアレに戦闘→リソース回収・自身強化→戦闘の気持ちいいループ。序盤はそうやって進んでいくんですけどそのうちに説明の足りてなかった世界観が徐々に浮き上がってくる構成です。

 知らない人に為に説明しますと、SCPっていうのは報告書の体で異常な物、事、場所について創作しようというコミュニティサイトですね。正確に言うとちょっと違うんですがまあそれは置いといて。

 このSCPという創作物は元々海外の掲示板で発生したものなんですが、それがウケてじわじわ広がっていき、今では世界中で盛んに創作が行われてます。

 特徴としては報告書という体裁で、ここに創作されるものはSCPのフォーマットに則った実用的かつ客観的な文章で書くようにされていることですね。情緒的な主観などはなるべく排除されています。

 方向としては割とホラーな風味が多いですが、いろんなジャンルの報告書が作られていて、特に評価が高いものは良質のショートストーリーを読んだかのような読後感があって一コンテンツとしても非常に深い広がりがあってとても楽しめます。

 で一言で言えば『約束事に則って自由に創作しよう』というサイトのコンテンツな訳ですが、ここのコンテンツは基本的に二次創作OKなんですけど営利利用はダメというスタンスです。なのでSCPの二次創作ってこの内輪で止まりやすくて外にはあまり出てこないですね。前提を説明するのが面倒なのでそりゃあ好きな人で集まってるとこで消費しますよね。地産地消というか。まあそうじゃないと明らかにめんどくさいことになるのが目に見えてるので仕方ないです。

 しかしまあSCPの世界観って先人が10年以上練り上げてきたものなので、普通に魅力的なわけですよ。しかしながらSCPのサイトでストーリー的なものを描くのは結構厳しいし、営利目的も無理となると他のとこでもまあ出てこない。(ちなみに厳しい理由はいろいろあるんですけど説明するのが面倒なので省きます)

 そんな中でこの『Garden of Clockwork』はVRMMO物の路線にいれつつ、SCPの流れを上手に世界観に組み込んでいるのですごい。

 SCP自体が誰にでも創作できるけど、ちゃんと枠組みの中に入ってるかサイトにいる人たちで精査してね! っていう方式で各記事の面白さを担保してるんですけど、そのせいで自由なように見えて結構縛りが強いんですよね。味が強いというかSCPの要素を入れると下手なものは全部塗りつぶされちゃう。

 その辺りをうまく制御して自分の物語に落とし込んでいるのがこの小説のすごいところで、その当時はやっていたVRMMO物に組み込めちゃう作者さんはパワーが高いです。更新はもう望めないかもしれませんが、こういうのが好きな人には是非お勧めしたい小説です。

 

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