オタク文化の切れの端

基本的にweb小説を紹介するブログです。普通のラノベも読みます。批評とかもします。たまに一般文芸とか映画の感想とか思ったこととかが入ります。

【小説紹介と雑談】『リィンカーネーションダービー ‐新人トレーナーがんばる‐』と二次創作の面白さの種類

 その男には前世の記憶があった。
 その男が生まれ変わった世界にはウマ娘という存在がいた。
 だが、その男は競馬も競走馬もほとんど知らなかった。
 その男が新人トレーナーになった時、一人のウマ娘に出会う。
 そのウマ娘の名前はハルウララ
 競走馬をろくに知らないその男でも、聞いたことがある名前だった。
 だからこそ、その男はハルウララをスカウトした。
 そしてその男はハルウララを育成し始めて思った。
「え? 競馬を知らない俺でも名前を知ってるぐらい有名なんだし、ハルウララってすごいウマ娘じゃないの?」

 この物語はウマ娘を知らず、競馬もほとんど知らない凡庸な男がウマ娘の世界に転生して新人トレーナーとして頑張る話である。

※注意※
基本的にアプリやアニメ、漫画の設定を遵守するつもりですが、現状判明していない設定などは独自設定として描写しますのでご注意ください。
※注意※
作者は競馬の知識があまりありません。極力調べて作中で描写する予定ですが、間違っていたら「このニワカめ!」と罵ってからこっそり教えてもらえるとすごく助かります。
※注意※
アプリの面白さとアニメの感動とこのハーメルンに投稿されている数々のウマ娘SSに触発されて書き始めました。広く温かくゆるい心で読んでいただけると嬉しいです。

 

 小説紹介から引用

 

二次創作用おすすめ度☆☆☆☆☆

(二次創作おすすめ度 指標

☆5つ 純粋に完成度が高く、原作を知っているのならば間違いなくおすすめできる小説

☆4つ 原作をある程度知っていれば楽しめる完成度の高い小説

☆3つ 原作の知識が前提になっているものの楽しめる小説

の目安で付けています) 

 

 今回も前回と同じくウマ娘の二次創作ですね。ハルウララ(のちに他のウマ娘も)に焦点を当ててアプリ版のストーリーをベースに丁寧に描いています。アプリなどでは簡略されてしまいがちの一戦一戦に紡がれる思いが熱く描かれており、そこに至るまでのトレーナーとウマ娘の信頼関係や、ウマ娘同士の友情やライバル関係など、アプリ版では語られないもののユーザーが欲しかった物が描かれています。とても面白く読んでいます。

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 この辺りの需要があってそういう二次創作が結構出てるよねって話は前の記事でもやりましたね。要するにウマ娘のアニメでやってたようなキャラの深堀を他のキャラでもやってほしいという。実は私アニメまだ見てないんですが、特に二期の評判がいいらしいので今度見ようとは思っております。

 でまあ単純にウマ娘のストーリーってスポコン物として完成度がめちゃくちゃ高いんですよね。それを元々あるドラマチックな競馬史実から引用してIFを語れたり、夢の対決が出来たりするんですよ。そりゃ強い。

 スポコン物は根強く人気があったわけですが、ここにきてまた再確認されたなーみたいな気持ちがあります。この辺の話はやると長くなるので今度別記事でやるかもしれません。

 

 それとは別の話しなんですが、二次創作でおすすめの評価基準変えてみました。今はこの記事だけですが、あとで別記事も直しときます。たぶん。

 まあ二次創作ってどうしても原作が土台にあるわけなので、誰にでも勧められるってわけじゃないですよね。原作の前提を省略してたり、説明が省かれてたりすることが結構あるので、そこも難しい。

 そういう小説がつまらないというわけでもなく、むしろ原作をしっかり知っていればとても楽しく読めるものもあるわけで、他のオリジナル小説よりも万人に受けるという指標が機能しないなーと思った次第です。そもそも読者の読解力とか知識によっても最適な本って変わると思ってるので普段のも個人的指標以外の何物でもないんですけども……。

 なので単純に完成度高いなーって思った小説を多めに☆つけするようにしました。まあ一個人の感想なのであんまり鵜呑みにはしないでほしい……。この辺りの二次創作の話しもまた別記事でやるかもしれません。

 とりあえず今回はここまで。ではまた。

【小説紹介と雑談】『ウマ娘 ワールドダービー 凱旋門レギュ『4:25:00』 ミホノブルボンチャート』とウマ娘の話し【二次創作】

おすすめ度☆☆☆☆

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています) 

 

 今回紹介する小説はウマ娘の二次創作ですね。ハーメルンで前からあるRTA物とウマ娘を組み合わせた話になります。RTA物の説明をちゃんとするとニコニ二動画に~~とかこういうスタイルの動画にそこの流行りが組み合わさって~~とかめちゃくちゃ長くなるので説明は端折ります。簡単に言えば既定の路線をなるべく早くやろうとするけど、ポカとかのせいで茶番っぽくなるタイプのコメディです。ネット文化とかが複雑に絡んでるので説明がとてもめんどくさい。

 まあこうやって書いたわけですが、この小説ではあんまりRTAパートは出てきませんね。特に後半になるほど小説パートばかりになっていくので、あんまりRTA物って感じは鳴りを潜めていきます。真面目なウマ娘の二次創作小説というか。

 アプリの方でもあるミホノブルボンライスシャワーのライバル関係にオリジナルの主人公でもあるトレーナーとの関係性も入れて、真面目にレースに向けて特訓していきます。

 おおむねアプリ版通りでそこの関係性をきちんと補足して、綺麗にやっています。後はそもそもの原作であるウマ娘のストーリー自体がパワーありまくってるので、そりゃあ面白いよねという。

 とりあえずウマ娘知ってる人ならかなり楽しめると思います。最初のノリ寒いなーってなった人は4話辺りから小説パートが始まるのでそこまで飛ばしながら読んでみるといいかもしれません。

 

syosetu.org

 

 

 ここからは雑談なんですが、ウマ娘の二次創作めちゃめちゃ増えてますよね。それも普通に原作アプリのトレーナーを主人公にした、あんまりアプリストーリーと変わらない感じのやつ。

 これが(ランキング入りしてて評価高いやつは)大体面白いのでそもそものウマ娘のアプリが作ったストーリーって面白いな、というか気合入りまくってるなーというのが一つ。

 そこからまあウマ娘自体も超気合の入った二次創作で、元々の競馬で作られたデカいストーリーを引っ張ってきてるしと当然かもと思ったのが一つですね。

 そもそも物語とかでなんで神話とかをバックボーンにしがちなのかって説明が端折れるのもそうですが、そもそも世界観にリアリティ出すのに読者の既知要素を利用するとやりやすいからですね。

 何の情報もないなかこうだから魔法使えるよ! より魔女だからとかこういう神話の神の血を引いてるからっていう方が納得しやすい。

 でウマ娘の話しに戻しますと、元々競馬のフィールドで何年も積み上げてきた事実があってそれを元に競馬界隈の人が物語を紡いできたわけですよね。

 馬自体は別に喋ったりしないので競馬の界隈の人が馬の仕草からこの馬とこの馬はライバル関係で~~とか○○みたいな二つ名とかを作っていったわけです。こういう話しの裏で活躍できなかった馬は処分されるみたいな現実を見えないようにしてるわけですね。その是非はここでは関係ないので放置します。

 まあそうやって作られた信頼と実績の原典を引用して、もっと人(オタク)好みにして作られたのが競馬の二次創作であるウマ娘なわけです。馬を全部女の子にするとか最たるものではないでしょうか。あとはウイニングライブとか。FGOとかもそうですが、大体女の子の方がウケがいいですからね。売れるのが正義とは言いませんが、売れないと次もないし、いろんなとこにヒットしやすい。

 しかしそうやって原典で確保した世界観のリアリティをウケるように変えていくと大体権利者問題に引っ掛かります。先に挙げたFGOの場合は権利者が死んでるので文句言われないんですけど、ウマ娘の場合は馬が文句言わないのはそうですが、権利者である馬主の許可も取ってきたのがすごいですよね。Cyagamesの人はめっちゃ気を使っただろうし、今も売れてホッとすると同時に界隈のごたごたにめっちゃ目を光らせてると思います。

 でまあ元々面白い原典の利用と改変の許可もらって、その上でめちゃくちゃ金かけて丁寧に作ったら大ヒットというある意味順当な感じですよね。とてもすごい。

 しかしながらノベルゲームじゃないのでどうしても主人公とウマ娘たちの絡み自体は少し物足りなくならざるを得ません。一緒に育ててきたウマ娘とのやってきていただろう絡みが不可視化されていてそれを見たい! という欲求が今のウマ娘二次創作が原作ストーリーを強化したものが多い理由な気がします。そりゃあ面白いわけですよ。そもそもの年季が違いますからね。

 長々書きましたが個人的には面白い二次創作が増える分には歓迎なのでどんどん増えてほしいですね。これ以外にも何作か読んでいるのがあるので、そっちも今度紹介したいと思います。

【小説紹介と雑談】『その勇者、虚ろにつき』と推しのいる人いない人

剣と魔法の世界、魔王との戦争に明け暮れる同盟四国の一国、ノル国は国秘とされる召喚魔術により、現代世界より呼び寄せた勇者で魔王を倒そうとする。

しかし、現れた勇者は心持たぬ虚ろの怪物。魂に空洞を宿す連続殺人鬼だった。

その勇者に願うな。
例え、諦められぬ願いがあろうとも。

その勇者にすがるな。
例え、絶望の淵にあろうとも。

その勇者に挑むな。
されど、人は生き抜くために闘いを選ぶ。

これは世界を救おうとする勇者の物語。
これは世界を護ろうとする英雄達の物語。

 

 

おすすめ度☆☆☆(☆)

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています) 

 

今回の小説は異世界ファンタジーです。魔法のあるファンタジー世界に狂人である主人公が転移してきて、異世界民を虐殺するので現地の強者がそれを止めるべく白熱の魔法バトルを繰り広げます。もっといい説明があるかもしれませんが実際こんな感じ。

 主人公は悪役のような行動や言動を行い続けるので、どちらかといえば敵役の方に目が行く珍しい作品でもあります。主人公のキャラクター性的に共感する相手が敵役になるのでそっちに目が行くというか。

 割と残酷なシーンも多く、異世界転生系の流れを予想しているとそれを大きく外されることになります。その辺を楽しめるかが好き嫌いの分かれるポイントかもしれません。

 内容としては戦闘シーンに重きが置かれていて、そこに至る過程をシリアスに描いているので、こういう土台の整った戦闘描写が好きな人には特におすすめできるものとなってます。ハードボイルド戦闘風味というか。いやまあ厳密に言えば違うと思うんですが伝わってほしい。

 普通の転生物は結構お腹いっぱいって人にもおすすめです。

 

 

https://ncode.syosetu.com/n7248z/

 

 

 ここからは雑談なんですが、割と最近になって推しって言葉がよく聞かれるようになったじゃないですか。急に市民権獲得しましたよね、推しって言葉。

 昔からたくさん小説やら漫画やらを読んできたんですが、キャラクターを推すってことをしたことがないんですよ。現実の人間でもそうですね。

 しかしながらこれだけ推しという言葉が叫ばれて普遍的に使われるようになったということは何かしら皆このような気持ちがあったということだと思うんです。名づけられてなかった概念に名前が付けられたので流行ったというか。

 ということで推しがいないという私は少数派に属するわけですが、それについて少し考えてみると物語の捉え方の違いかなぁと。

 小説であれ漫画であれ、物語そのものには優劣は存在しないわけですが、それを心が動かされる、情景を想起させるetc→面白いという風に定義すると、どうしてもそこには優劣があります。ここにはそれを受け取った人間のバックグラウンドなども加味されるので人それぞれ違うんですが、それでもある程度共通のものがあってそこが上手だと名作と評価されるわけです。

 私は普通の人間より物語を摂取した関係上、この尺度で物語を読みます。キャラクターの存在もいかに”面白い”に近いのかという関係で評価しますし、そこでどれだけ魅力を感じても物語の一要素というところからは抜け出しません。なので推すということに繋がらないわけですね。現実の人間(芸能人とか)も別に会おうと思わなければニュースとかで流れてくるだけなので、物語のキャラクターと同一の見方をしています。面白いなとは思いつつ、何かしようとは思わないわけです。

 私のようなことなく普通に読んでいるとキャラクターを物語の一要素ではなく人間として見るようになるので、そこにある思い入れが一定値を超えた時、物語から帰ってきてもキャラクターという枠を飛び出して特別な存在=推しになるというのが私の考えなんですけど、一概にこれだと言い切るには幅広いので何とも言えません。

 でもまあ少なくとも何か入れ込む対象がいたほうが生きる気力にもなっていいですよね。精神衛生的にもそうですし。まあそんなこと言って引いた目線だからできないんだぞと言われればそうとしか言えないんですけど、その辺は中々変えづらい訳で。上手く切り替えられるとより人生が楽しいかもなーなんてことを考えておりました。

 

 

 

 

【小説紹介と雑談】《『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO》とMMOの話し

呪詛が蔓延し、異形の化け物である魔物が跋扈する世界を舞台にしたVRMMO『Curse Nightmare Party』。
プレイヤーも呪いによって異形の姿を取り、呪いが込められた道具を操って戦うダークファンタジー系のゲームである。
そんな世界にて彼女は禍々しい妖精の姿を取って冒険を始めた。

 本編あらすじより

 

おすすめ度☆☆☆☆

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 

 記事更新がちょっと空きましたが、最近寒暖差が激しくて眠れないのでやる気を失ってました。不眠は社会性を破壊します。

 今回の紹介する小説は呪術モチーフのVRMMO物ですね。呪術モチーフのVRMMOにてキャラメイクの結果、13の眼がある妖精となった主人公が、ゲーム内世界を成り上がっていく話です。

 中身は呪術を土台とした世界観に、次々と現れる敵から手に入れた素材で自分を強化し、そして主人公以外のその他プレイヤーにその能力で暴れて、また次の敵を倒すというサイクルを繰り返していく、まさしくMMO的な話しになっています。

 サクサク読み進められ、盛り上がるところはちゃんと盛り上がってくれる期待を裏切らない感じですね。説明すると矛盾が生じやすくて詰めるのが大変なところ(主人公の人間性の元とかゲーム運営の都合のよさとか)は置いて、他の魅力的な部分でその辺をカバーしているのが潔くていいなーと思います。

 こういう成長していくVRMMO物が好きな人にはおすすめです。

 

https://ncode.syosetu.com/n3014fi/

 

 

 

 ここから先は雑談なんですが、VRMMOって小説ジャンルはかなり人気ありますよね。それを下地にした異世界転移とかも含めるとかなりのヒット作がありますが、これらのファン層は熱量が一味も二味も違うなって思います。

 前に紹介したシャンフロとかデンドロとかは個別にwikiが作られたりしてます。すごくないですか? 一つの小説にwikiが作られるほどの情報量って。そしてそれを作って編集しようと思う熱量って。ちなみに今回紹介した小説もwikiが作られております(こちらは作者さんの他の作品群と共通しての物っぽいですが)。

 これだけの熱量を読者に発生させているわけで、もちろん小説自体の面白さがすごいのもそうですが、いかにVRMMO(物語の都合でVRがついてるわけで、実際には面白いMMO)を求められているのかというのが分かります。これらの小説の感想ではこういうゲームやりたい! みたいな感想も多いです。単純に面白いMMOやりたーいみたいな話もよく聞きますしね。

 しかしながら正道であるゲームでのMMOはそこまで芳しくありません。今でこそff14がかなりユーザーを伸ばしていますが、それまではWoWが全盛になった時代から、小粒はあれど大ヒットを飛ばしたMMORPGというのはないに等しいです。それはなんでだろうと思って少し考えてみました。

 問題はたくさんありますが、実際のところ、小説ジャンルのMMO読者が求めているMMORPGというのはだれでも『何者かになれる』という場所なのではないかと思います。英雄譚の主人公には感情移入できなくてもゲームという枠組みでなら『何者』かになれるという夢を上に挙げたような(VR)MMO物は魅せてくれるという。

 しかしながらゲームではどうしても枠を決めなければならない以上、その人だけのストーリーから紡がれる『何者か』になれる道筋なんてものはリソースの都合、作れません。

 強者という『何者』になれるようなレア装備を実装するにしたって、それは数多の『何者』にもなれなかった人たちの上で成り立つ物であって、そんな少数のためのMMOはゲームとして成り立ちません。手段が課金だろうが運だろうがゲームの上手さであっても同じです。

 そこで取りこぼされた人たちが別ジャンルで『何者』かになれる、もしくはならなくても満足できるだけのリソースというのをゲームのMMOでは生み出すことが難しい。この辺VRになったら体験の良さとかで何とかなるのかもしれませんが、今の段階だともう一段階ブレイクスルーが起きないと厳しそう。

 まあ言ってしまえばすごい当たり前の話しなんですが、小説ジャンルの(VR)MMOというのは現実のMMOとは全くの別物なんだなぁということですね。何を当たり前のことをつらつら書いてるんだって言われると悲しくなるのでやめてください。

【小説紹介と雑談】『Babel』と世界観構築の性別差

★ 電撃の新文芸より3巻まで発売
大学1年生の水瀬 雫(ミナセ シズク)は大学からの帰り道、ある日おかしな穴に遭う。
穴に吸い込まれ放り出された先は、見たこともない異世界だった。
魔法が当たり前の世界に困惑と共に降り立った彼女は、帰る方法を探す為旅に出る。
隠された大陸の真実。言語と変革にまつわる物語。
歴史に残らぬ少女と魔法士の旅路が、今始まる。 ※自サイト転載。《memoriae 1960~1961年》
本編完結済み・番外更新中。 

本編あらすじより

 

おすすめ度☆☆☆☆(☆)

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 この小説は異世界に転移してしまった学生の主人公の少女が、異世界での出来事で精神的に成長していくハイファンタジーです。書籍化済み。

 内容としてはきっちりとした世界観にそこに根付く人々を通じたエピソードによって主人公である雫が成長していく感じなので、チートや無双などといった自身の能力を上げて世界に価値を示すような物というよりは、どのように世界に馴染んでいくかを描いたものですね。

 主人公の心情や異世界の情景などが三人称による少し硬めの文章で語られて行くのですが、その表現の仕方が分かりやすく簡潔でとてもスムーズに読み進めることができます。

 かといって感情移入しにくいかといえばそんなこともなく、少し離れたところから描かれる視点からでも登場人物の感情の動きが伝わってくるような、そんな文章です。すっきりと読めてしっかり感情移入できるので主人公の成長物語にとても合っています。

 物語で成長を描くとなると主人公はまだ成長の余地を残す子供であって、成長すべき事柄に対して自分一人ではそれに気づくことができません。それを外界からの刺激によって成長するわけですが、一人称で描くと主人公の性格にもよりますが結構まとめずらいことになるのは想像に難くないので、基本的には三人称で描かれることになります(青春小説とか)。

 しかし三人称はどうしても神の視点になるわけで、心の動きからは離れてしまいがちになるので、それをうまく描写できるかは作者さんの技量にかかっています。この辺りをしっかりとこなして高い水準でまとめてるこの作者さんはとても素晴らしいですね。

 この辺の話しをちゃんとしてるとめちゃくちゃ長くなるので結構端折りましたが要するにこの小説はすごいということです。気が向いたらちゃんと書こうかなって気持ちがあります。

 それはともかく、とてもおすすめの小説です。どちらかといえば女性向けですが、男性も楽しく読める完成度の高い小説です。本編は完結済みなので安心して読めるのも魅力。

 

https://ncode.syosetu.com/n4660bi/

 

 

 ここからは雑談ですね。話題は世界観の作り方から作者の性別が結構わかるよねみたいな話しです。

 主観なんですがこの小説で見られるように世界観を先に作って(あって)そこに生きたキャラを住まわせるという物語の作り方が結構女性の作者によくみられる気がします。前に記事にした本好きの下克上とかもそうですね。存在させたいシチュレーションが有った場合、世界観に合わせてキャラクターが作られている印象。最近の漫画で言えば鬼滅の刃とかもそうですよね。鬼がある不条理な世界観が先にあって、そこで産まれた人が足掻く。世界が先にあってその後にキャラクター。他にも私が読んだことがあるので言えば十二国記シリーズや彩雲国物語なんかもそうです。

 こういう作り方というのは作者の知識や技量がめちゃくちゃにモノを言います。キャラクターは作者の引き出し分しか大きくはなれないので、作者が世界観設定や人間心理についての理解が浅かったりすると違和感がモロに出てしまいます。なのでこういう作り方をしている(一般向けの)女性作家さんは名作か視界に映らないかで二極化してる気がします。まあ私が知らないだけかもしれませんが。

 男性の作者の場合、出したいキャラクターがいてそれに世界観を後付けする感じが多いです。キャラクターが主で世界観が従。この場合、好きなキャラクターがいれば刺さる層がいるので、世界観がきっちりしてなくても割と目に付く回数が多い印象。

 この辺は全部主観な上にすべてに例外がたくさんいますが、大雑把にはこんな感じの印象を受けてます。他にも判断基準はたくさんあるのですが、その辺まとめると普通に別の記事にした方いいのでここではまとめません。気が向いたらまとめるかも(記事内二回目)

 ここで勘違いしないでほしいのが、男性だからこう、女性だからこうと切り分けてるんじゃなくて、小説内でキャラや世界観がどういう扱いを作者から受けているのかを考えて、そうしたバックグラウンドを想像するとこういう考えからだから性別はこっちなのでは? という感じで捉えてるだけです。男女の違いがこういうとこに出るのが興味深いと勝手に思ってるだけなのでレッテル張りしているわけではありませんよ!

 なんか脱線しそうなのでこの辺で。

 

【小説紹介と雑談】『美少女になってちやほやされて人生イージーモードで生きたい!』と本来のライトノベルの話し

おすすめ度☆☆☆

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 この小説はTSしてVtuberしてちやほやされるみたいな話です。ラインやディスコード、youtube配信で見られるスーパーチャット(投げ銭)みたいな、Vtuberを見ている若い人に刺さりやすい表現をうまく使ってるのがすごいと思います。

 美少女になって価値を上げ、その上Vtuberでちやほやされて名声を得て、そして他のVtuberの美少女たちと仲良くするという今のエンタメの次郎系のような構成ですね。マシマシマシ。

 個人的にはエンタメの次郎系のようなものはもう読んでいて厳しくなってきたのと、この辺の題材に拒否感があった(なまじすぐ現実で見れる分幻想を抱く余地が少ないように感じる)んですが、コミカライズも決定しているようで確かな需要があるようです。Vtuberを題材にしたものが各ラノベ出版社からも出てきてますし、もうこの辺まで浸透したんだなーと感慨深くもありますね。

 こういうのが好きな人にはお勧めです。

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 ここからは雑談。

 ラノベを読み始めたころであったならば、もっと何も考えることなく純粋に楽しめたような気がするんですが、今こういうマシマシマシな物語を見るとウッとなってしまいます。美少女になるのもコメントでちやほやされるのも美少女と仲良くするのも、なかなかに直接的ですからね。

 まあ結局エンタメって現実では手に入らないこういうの欲しいでしょ? っていうのを叶える物なのでそういうところで清楚ぶってるのは滑稽でしかないんですが、染み込んだものを何とかするのは中々に厳しい。

 しかしながらこういうラノベを好む時期っていうのは誰にでも確かにあって、それこそが本来の定義のライトノベルなのかなとも思ったり。

 結構馬鹿にされてる転生物だとかもう遅いだとかの今の流行を追って書いている作者さん達も、大人に対してはチープだなってわかってて書いていると思うんですよ。でもこういうのを好んでいた時期が確かにあって、そこへ向けて忘れずに書いているわけで誰にも出来ることしゃないし、すごいなぁと思います。それだけが理由って訳でも無いとは思いますけども。

 今はライトノベルの定義がかなり広がってますが、それは名作が多くて大人まで楽しめるものがライトノベルという定義でたくさん出たからであって、本来のライトノベルの意味が指しているのは初めて小説を触り出すような子を打ち抜くような単純で魅力的な話なのかなーみたいなことを考えておりました。

【小説紹介と雑談】『TS悪役令嬢神様転生善人追放配信RTA』と大きくなる身内話

悪役令嬢にTS神様転生して実は善人だけど追放されるRTAの様子を配信しようとした。
気づいたら金!血筋!権力!女!女!イケメンヤンデレ!暴力!暴力!暴力!って感じの異世界ライフを送る羽目になっていた。
そういう感じのお話。

 

おすすめ度☆☆☆(☆)

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 

 今回の紹介する小説はコメディです。ハーメルンで一時期流行っていたRTA物にTSだとか悪役令嬢だとか転生だとかいろんな要素をごった煮して混ぜ込んだ小説ですね。

 なんかまああらすじを語ると私の方が意味わかんないこと言ってる頭おかしい人間になってしまうのでやれないという。

 この小説は独自色の強いもののかなり作りこまれたファンタジーをベースにして、現代のネット文化の色々を前提として借りて彩ってるという感じです。

 ネット文化、というか人が集まる物事って基本的にはそれに属する人たちで界隈が出来て、その中で通用するような言語などによって文化が形成されて行きますよね。

 皆さんも経験あると思いますが、お友達と集まってるといろんなエピソードを通じてそのお友達間でしか通用しない話し、いわゆる身内話が出来るじゃないですか。それと同じです。そうやってお互いの思い出とかを語ってじゃれ合うのってとても楽しいですよね。しかし、そのエピソードを共有してない他人にとっては全く分からないどうでもいい話なわけです。

 ネット文化は不特定多数が集まってそのエピソードや体験が可視化されるようになったので、その界隈に興味を持った人たちがその情報に触れて簡単にそれに属せるようになる……つまり身内話の規模が広がったわけですね。

 身内話は楽しいので、その規模が広がってみんなそれを知っている前提で話せるのはそりゃとても楽しいわけです。個人的にはコメディの基本って言うのは今まであった過去からの引用することだと思ってます。そうやって過去を共有して話すことでそこには面白さと一体感が生まれる。

 とまあそれっぽく言ってきましたが、要するにたくさん属性(文化)あれば面白いよって話ですね。代償としては物語のまとまりが厳しくなるという点がありますが、この小説では色んなところへ手を出しつつも、ファンタジーの軸が定まっているので楽しく読むことができます。 

 総じてこういうジャンルに対してある程度知識があるとより楽しめるコメディ/ファンタジー小説といった感じです。タイトルのどれかが好きならば読んでみるといいかもしれません。おすすめです。

 

 

 

 

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【小説紹介と雑談】『狂走馬と呼ばれまして』とウマ娘の話し

おすすめ度☆☆☆☆

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 

 今回の小説は今流行りに流行っているウマ娘の二次創作です。と言ってもウマ娘のキャラクターは登場せず、競走馬に転生した主人公とそれに振り回される周りの関係者たちのイベントがメインなのでウマ娘やってませんって人でも楽しめると思います。

 人の知能を持った馬が周りをかき回しながらレースではきっちり締めて勝っていくというのがとても面白いですね。牧場などの関係者描写が割とリアリティがあり、容易に想像しやすく、そこに主人公の行動などが合わさってコメディとしても、競馬バラエティとしても楽しめてとてもグッド。

 ウマ娘をやっていない人でも楽しめるのでこの機会にどうでしょうか。おすすめです。

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 ここからは雑談です。

 

 すごく面白い物語というのは本来の軸に複合して別の面白さも持っていることが多いです。今回あげたウマ娘であれば史実の馬たちにおけるレースというスポーツ物の要素と、それを人に寄せて作られたウマ娘とのエピソードが盛り立てるという構成になっていて、エピソードにより感情移入したキャラクターがライバルとのレースという熱い舞台で勝つという構成になっています。レースという主軸にエピソードというもう一つの面白さを組み合わせて相乗効果を生み出してるということですね。

 この構成はたくさんの物語でも見られるベーシックな構造です。周りの人間との関係を深め、それによって得た力を何らかの勝負事で反映する。ジャンプの標語であった友情、努力、勝利です。今は他にもたくさんの漫画の形態が発掘されたので、あまり聞かなくはなりましたが、スタンダードでかつ力のある型なのは間違いないでしょう。

 ウマ娘のアプリで言えば自分の選択肢がキャラクターの成長に繋がるシステムなので感情移入のしやすさもあり、手の込み具合も相まって流行るのはとても納得だなぁと思います。 ちなみに自分はウマ娘ちょっとやってたんですがガチャが渋すぎたのと、ソシャゲに時間取られすぎそうだったのでやめています。ゲーム自体はとても面白かったです。

 ハーメルンのランキングを見るにウマ娘の二次創作がめちゃくちゃに出てきていて、すごい活気だなぁと思っています。何作か読んでみましたが、面白いものも多く、更新の頻度もめちゃくちゃに高いので作者さんのモチベーションがすごいんだなぁと感じています。

 鉄は熱いうちに打てといいますが、このような流行りはそのゲーム自体もそうですが、そのジャンル(今回のウマ娘であれば競馬、そこから発展してスポコンなど)に熱を吹込み、再発掘、そして深堀に繋がっていくと思うので、こういうクオリティの高い創作物がでるのはとてもいいですね!

【小説紹介と雑談】『貞操逆転世界観童貞辺境領主騎士』と貞操逆転世界

おすすめ度☆☆☆☆

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 ちょっと期間が開きましたが私は元気です。最近はハーメルンの小説を読んでるんですけど、ランキングに上がってるもので好みのやつを読む感じで進めてます。ハーメルンだと二次創作が盛んな土壌なので書籍化狙ってます! みたいな感じの小説がなくてランキングが機能してるのがいいなーと。

 代わりに個人的にはちょっと受け付けないなーみたいな小説もランキングにあったりするのが印象的ですね。個々人の好みを色濃く反映しているというか。この辺りは上手く言い直せるような気もしてますがあんまり考えてないので印象だけ。

 とまあそんな感じなので記事にしたところでこういう性癖の人には刺さるよ! 以上! みたいなあんまり説明するところがない記事になりそうでちょっと躊躇してたんですが、まあそれはそれとして別に適当なこと書けばいいかと気づいたのでこれからはもう少し更新が増えるでしょう。

 さてまあ脱線しましたが、今回の小説は貞操逆転世界での騎士物語という他になかなか類を見ない感じの小説ですね。貞操逆転の世界観をあんまり読んだことないのでこれが魅力だとかはあんまり考えてなかったんですけど、少し考えた結果主人公にどうやって価値を出すかというのの亜種みたいな感じなのではという気がしました。

 大抵の物語では主人公とそれに付随する人たちの関係が進展していくことで進んでいくわけですが、まあ主人公に何らかの価値がないと誰も関わらないわけです。そういうのがない物語もあるでしょうが、正道を考えると基本的には主人公に何らかの価値(才能やら地位やら人格)があって、それが縁となって人との関りが出来、それにより話が進んでいくはずです。

 基本的には物語が進むごとに主人公の価値は増していきます。それは資産のように分かりやすいもののほかに、他人との関係性だったり、主人公の能力だったりします。ここでいう価値というのは主人公(読者)に対しての物なので、思い入れのある○○みたいなものでも価値が増えているといえるでしょう。

 まあ要するに大抵の主人公は何かしらの価値を持っていないといけないということです。それが神様にもらった異世界転生特典だろうが、偶然ヒロインの前を通りがかった運だとか。なんでもいいんですが、何かしらないと話が進みづらいですよね。

 そこで貞操逆転物なんですが、その世界での主人公は基本的にはとても希少な価値観の持ち主であり、それが周りを引き付けるような描かれ方をします。そして主人公(読者)からするとヒロイン枠が寄ってくるので主人公の価値が上がると。その辺りの説明がとてもスムーズに行えて、なおかつ他のジャンルでの当たり前が入れ替わっているので新鮮味があって面白いというのが貞操逆転物の面白さ……な気がします。ほんとはどうかわかりませんけども。

 話を戻すとこの小説はそのような貞操逆転の中での騎士物語で、主人公は内心でコメディを交えつつも、なかなかに骨太な騎士物語を展開させていきます。貞操逆転以外でもきっちりと作られた世界観でとても面白く、貞操逆転していることが新鮮で飽きなく読めます。これからの更新も楽しみですね。

 

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【小説紹介と雑談】『追加戦士になりたくない黒騎士くん』と小説サイト毎の作中の表現

自分をワルモノだと思っていたヴィラン、“黒騎士”こと穂村克己はとうとう最終決戦に敗れ、ヒーローに捕まってしまった。
しかし、捕まった彼を待っていたのは監獄でも警察ではなく、まったく別の地獄であった。

戦隊ヒーローと呼ばれる存在が実際に現れてから一年。
これは色々とズレた常識を持っているヴィラン、黒騎士くんが一般人に勘違いされたり、ヒーローに追加戦士にされそうになったりするお話である。
※この作品はコメディとなります。

 

 

おすすめ度☆☆☆(☆)

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 この小説は変身ヒーローをテーマにしたSF・コメディ小説です。内容としては主人公がヒーローとして活動していくうちに他のヒーローや敵に追い掛け回されたりする話ですね。なんか雑な感じですが、変身ヒーロー物って前提が多いのでなかなか端的に書きづらいです。なんでベルトで変身するのとか何で敵が来るのとか変身ヒーローのテンプレートってなかなかに独特ですよね。

 その割には人気が衰えることなくずっと続くジャンルですし、海外だとマーベルみたいなめちゃくちゃに大きなヒーロー物もあります。変身ヒーローというのはなかなかにいろんな人へ刺さるジャンルですね。自分はそんなに予習していませんがマーベルの有名どころくらいは見ないとなーと未来の予定に書きこんではいます。

 とまあ脱線しましたが、この作品自体は日曜朝にやっている仮面ライダーや戦隊ヒーローのネタを多数盛り込みつつも、軽いコメディとSFで進んでいく変身ヒーロー物として王道な構成です。いや、自分が日曜朝のその辺の番組を見たのはかなり昔のことなので今はそんなんじゃないぜ! って言われると浅学でしたと言うしかないんですが、個人的なふんわりとした印象として聞いてください。

 いわゆるお約束が多数盛り込まれつつも、ライトノベルの軽い感じで進んでいくこの作品。楽しく読むことが出来ました。こういうのが好きな人はもっと楽しめると思います。

 

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 ここからは雑談なんですが(今までが雑談じゃないかと言われるとアレですが)私が最近気づいたのはハーメルンでは作中の表現にいろいろな形があるなーということなんです。

 ここでいう作中の表現というのは基本の文章や文字以外に何か変化を加えた物のこととしておきます(例、物語の地図 文字の色や大きさの変化 文章での○○の再現等)

 今回紹介した小説もそうですが、変身シーンだとみたいな色を使って見たり、lineを再現してみたり、掲示板のフォーマットを再現してみたり、いろんな手法を用いられているなーと思いました。

 なろうやカクヨムでもこういうような工夫がないなんてことは全然ありませんが、やはりハーメルンに比べると数も種類も違うなーと思います。(それ以外のサイトはあんまり読んでないので比較できません)

 個人的にこういう文章以外の表現はあんまり好きではなく、それは多分オリジナルの作品しかほとんど読んでこなかったのでキャラ立ちや物語がしっかりしていないときに、このような表現に頼るとその表現に作品自体が寄せられてしまい、そういう表現を世界観の補強に使うのならば別媒体でやった方いいんじゃないかみたいな頭の固い考えが根底にあるせいだと思います。

 しかしながらハーメルンの小説は大体がまずキャラ立ちを第一として、世界観自体は二次創作のような皆が知っていたりする世界や、テンプレートとしてしられる世界観(異世界転生や○○といったジャンル)を使う形が多い気がします。

 そのような環境であるならば、いかにその世界が読者と思い描く物と同じなのかを証明する手段としてこのような作中の表現を使うのは正当な進化なのかなーみたいな気持ちになりました。

 好きじゃないといってもこういう表現を使う小説が私にとって面白くない物になりがちだったからの苦手意識なのでその物語に合ってるならヨシ! と思っております。それが面白いならオッケー!

 長々書きましたが以上です。ふんわりとした雑談でした。  

 

【小説紹介と雑談】『和風ファンタジーな鬱エロゲーの名無し戦闘員に転生したんだが周囲の女がヤベー奴ばかりで嫌な予感しかしない件』と最近の18禁ゲーム

どうやら和風ファンタジーゲームの名無しモブに転生したらしい
……尚、ゲームのジャンルはエログロ上等な鬱ゲーである

・追記
ファンアートへのリンク等がある話には●を付けました

 

 

おすすめ度☆☆☆☆

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 今回はハーメルンの作品で和風ファンタジー物ですね。内容としてはタイトルから連想されるような軽い感じではあまりなく、容易く人が死に、力あるものが暴れれば吹けば飛んでしまうような小さな力しか持っていない主人公が、その中でも活躍しようと足掻くような、そんな物語です。

 描写もしっかりとした土台にある文章で、成立難易度の高い和風ファンタジーという世界をきちんと成立させています。その上でタイトルにもある通り、主人公はやったことのあるゲームからの転生ということでヒロインなどの魅力あるキャラクター達も兼ね備えており、とても面白く読んでいます。

 物語としてはまだ中盤にようやく差し掛かったところという印象を受けますが、このままのクオリティで進んでいくのなら、非常に楽しみです。

 さてこの小説でも出てきているエロゲーという単語ですが、実際のところこのような作品に耐えうるようなしっかりとした世界観を持つ18禁ゲームというのは最近だと出ているんでしょうか。

 その辺の歴史をあまり知らず、私自体が18禁のフィールドに詳しくないのであれなんですが、元々18禁のPCゲームというのはシナリオに非常に重きを置いたものが散見したみたいなことを聞いたことがあります。なんか制約が少ないだとかなんとか。この辺ふわっとしてるんで違かったらやんわり指摘してくれると助かります。

 自分も知っているので言えば沙耶の歌とかG線上の魔王とかですかね。まあやったことはないので中身だけ知ってるという感じですが。それこそ今は最初から全年齢版みたいな顔をしてるもののfate/stay nightとか。これは私もやった記憶あります。内容というよりノベルゲーだと文字送りが遅くて、一気に表示できないのが好きじゃないなーと思ってました。

 それはともかく、そういうシナリオを重視するみたいな流れは今はどちらかといえば18禁の同人ゲームみたいな方へ流れていったみたいな感触があります。いや、これも全然詳しくはないので違いますって言われるとアレなんですが。

 ネット小説みたいな気軽に投稿できるテキストメインのところが出来ましたし、わざわざ18禁の場所でみたいなのが流れてるというのは確実にありそうですよね。

 なのでこの小説などにおける『世界観が重厚なエロゲー』というのは今後幻想入りしていくのかなーなんて思いました。ゲームに転移する系のMMORPGという概念と同じ立ち位置。

 しかしながら物語の題材になるということは人にそれらが望まれている証拠でもあるので、またなんらかのきっかけで復活したりもするのかもしれません。そのまま復活するか形を変えるのかはともかく。

 関係ないことをだらだらと述べてきましたがとても面白い小説です。いい意味でタイトルから想像したものとは違うしっかりとした物語が味わえるので是非読んでみてはいかがでしょうか。

 

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【小説紹介と雑談】『鬼人幻燈抄』とフィクションにおける未来の先取り

『人よ、何故刀を振るう』

 江戸時代、まだ怪異が現代より身近で鬼が跋扈していた頃のこと。
 江戸より百三十里ほど離れた山間の集落“葛野”にはいつきひめと呼ばれる巫女がいた。
 護衛役である甚太はいつきひめの為に刀を振るうが、何一つ守れず全てを失う。
 巫女を、惚れた女を殺したのは大切な妹。
 彼女は百七十年後、全てを滅ぼす鬼神となって再び現世に姿を現すという。
 憎しみから鬼となった甚太は、何を斬るべきか定まらぬまま、遥か遠い未来を目指す。
 
 鬼に成れど人の心は捨て切れず。
 江戸、明治、大正、昭和、平成。
 途方もない時間を旅する、人と鬼の間で揺れる鬼人の物語。

 

おすすめ度☆☆☆☆(☆)

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 この小説は和風のローファンタジーで、鬼や妖怪などの伝奇物ですね。主人公は鬼になった妹に大切な人であった女性を殺され、その憎しみから鬼になり、妹への復讐をするために長い年月を生きていく。その途中での関わった人たちから影響を受けて主人公も周りの人間も変わっていく……みたいな内容ですね。まああらすじまんまなんですが。

 特徴としては江戸から平成にかけて主人公が過ごしていくわけなんですけど、非常に丁寧なつくり方をされています。その時代の特色がきちんと文章から伝わってきますし、下調べがきっちりしているなーということを感じさせます。キャラクターの造形というのも非常に丁寧で、揺れゆく人間心理をしっかりととらえ、それを描いているのがすごいですね。

 この小説では早い段階から平成の主人公周りの描写、つまり未来の先取りが話として出てきます。この手法というのは基本的に最初の方で出てきて風呂敷を広げるため、世界観に時系列によって奥行きを持たせるために使われることが多いです。「この○○がのちの世に多大な影響を与えることはこの時誰も知らなかった」みたいな表現ですね。結構見る表現ではないでしょうか。

 しかしこの小説ではそれをエピソードとして1話、時にはそれ以上の長さで行うことが結構あります。この手法は時系列の奥行きを持たせられる反面、それが遠い未来のことだとそこへ行きつくまでの過程が結構制限されるものです。少なくとも見知った主人公や登場人物が出てきたら、少なくとも死んだりはしないんだなとなりますしこれからの展開が読めてしまいます。

 こんな功績を残してるんだ! というエピソードだったら、一番気持ちいい栄光を浴びる部分をもうこなしてしまっているので、そこに至るまでのしんどい過程を読者が面白く感じるように描かねばなりません。それも大変ですし、もしその描写を飛ばしてしまったら浴びている賞賛が薄っぺらくなってしまいますからね。総じてそのエピソード時点では世界観が広がるものの制約が多く、展開が読みやすくなる(融通が利きづらい)ので辛いというのが個人的な感想でした。こういう展開(未来の話しを長くする)をした小説できっちり終えた小説をほぼ見たことがありませんでしたし。

 しかしながらこの小説は魅力の部分を他のキャラクターとの交流、揺れ動く人間心理や活劇といったところに移し、その制約をきっちりクリアして見せ、時系列の差で起きる面白さを引き出しています。すごい!

 ストーリーラインとしてはまっすぐでそこまで奇を衒ったものではないですが、未来の描写もありつつも長編をきっちりと最後まで収束していて作者の方の力量が伺えるようです。

 もう完結しているのもあり、非常に上手くまとまっていて、なろうにはあまりない和風の伝奇物ということでそういう話しが好きな方は是非読んでみてはいかがでしょうか。

 

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【小説紹介と雑談】『子豚ちゃんな私は、この世界では超美少女らしいです。』とルッキズム

私(♀)には、日本という国で女として生きていた前世の記憶がある。どうやら転生者というやつらしい。転生先のこの世界と地球には、当然多くの違いがあるけれど、最大の違いは美的感覚だと思う。なんせ、私の価値観では不細工子豚ちゃんな見た目の私が、こちらの価値観では傾国レベルの超美少女らしいのだ。そんな私が、私基準ではめちゃくちゃかっこいい虎獣人の男性に出会って、押せ押せするお話。
本編は全十七話、プラス番外編いくつか。男女両方の視点から話を書いているので、場面の重複があります。

 

おすすめ度☆☆☆

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 この小説は美醜逆転物の恋愛小説ですね。元の世界だと虐げられているような見た目の主人公が持て囃される世界にて、元の世界では価値のあるとされていた見た目の相手が虐げられているのを見て、その相手に恋に落ちるみたいな話です。まあ美醜逆転で恋愛物って言ったらこれしかないような気もするんですが。

 元々美醜逆転というのは容姿が優れていない自分がどうしたら愛されるようになるのかを妄想していったら出来た要素だと思うんですが、個人的にはなかなか複雑だなと思います。

 現実では多かれ少なかれルッキズム、つまり容姿によって評価が左右される場面があるわけです。こと恋愛関係においては一番多いかもしれませんね。努力の多寡はもちろんあるでしょうが、容姿に恵まれる/恵まれないというのは確実に存在します。

 その上で恵まれない容姿である人が逆の立場になったらというのが美醜逆転物なわけですが、結局のところ立場が逆になっただけで仕組み自体は変わっていないというのが悲しいところ。ルッキズムに虐げられてきた人がルッキズムで支配する側に回るという構造。すごく嫌味な風に言えば逆転世界で虐げられている相手(つまりイケメンや美女)に主人公が手を差し伸べれば自分たちが支配層なら虐げられた人間も認めて上げれると示せます。

 現実では自分の身体の価値を社会が勝手に決めて、それに応じた対応を周りがしてくるというのは覆しのないようなことで、例えば自立すれば整形などの対応もできなくはないですが、子供のころに受ける周りからの評価は人格に多大な影響を与えますよね。何とか出来るようになった頃には癒えない傷がついていることもあります。

 そんな中で心が綺麗なら……みたいな綺麗ごとは通用しないとは言いませんがほとんど力がないのはそんな経験をしてきた彼ら/彼女らにとっては明らかであって、そういう時にこういう美醜逆転物が助けになるのかなぁなんて思ったり。そんなことを考えながら読んでました。

 まあこんなどうでもいいことを考えながら読んでいる人はいないでしょうし、普通にこのジャンルとして面白く読めたので興味がある方はいかがでしょうか。

 

 

 

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【小説紹介と雑談】『ギアス世界に転生したら病弱な日本人女子だったんだが、俺はどうしたらいいだろうか』と二次小説について

元日本人男子の「俺」が転生した先はコードギアスの世界、しかもブリタニアと開戦する以前の日本だった。
このままだと戦争で死ぬ。
由緒正しい忍者(?)の家柄である篠崎家の娘、百合として、彼は生き残るための方法を模索する。

※読者さまからいただいたイラストはまとめて活動報告に掲載させていただいております。
まことにありがとうございます。
※本編完結しました。

 

おすすめ度☆☆☆☆

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 

 

 今回紹介するのはコードギアスの二次創作ですね。私はコードギアスをかなり周回遅れで履修したんですけど、遅れた理由があんまりロボットに興味がないからでした。実際のところギアスの能力やストーリーがよく、そこで大きくウケていた印象なので、ロボット物というだけでなくいろんな要素を上手く噛み合わせたところが人気だったのかなぁと今となっては思います。まあ人気のロボット物ってみんなそんな感じだと思いますが。ガンダムとかエヴァとか。

 この小説は主人公が本編開始前の世界へ転生して、原作の知識を使って未来の改変をしていく話ですね。まあ二次創作小説としては王道なのではないでしょうか。

 最近になって二次創作小説をよく読むようになったんですけど、それまではイメージとして原作キャラクターの別の魅力を引き出すのが主な目的なのかなーと漠然と思ってました。

 もちろんそういう小説もたくさんあると思うんですけど、基本的にハーメルン内で人気なのはそこの世界に別種の主人公を送り込んで原作と絡めつつ活躍させる奴ですね。そこそこ読んだ(ランキングから50作いかないくらい?)程度の認識なので違うよ? と言われるかもしれないですが。

 すでに完成された面白い世界で何者かになって活躍できる! というのがこのような小説の大きな魅力ですよね。さっくり読めるものが多いので最近はもっぱらこういうのを読んでます。

 小説の話しに戻すと、読んでるうちにあーこういうキャラクターいたなーとかこんなストーリーだったなーと思いだすことができ、主人公のキャラクターも立っていてとても面白く読めました。二次創作でも原作の出来事をすでに知っているでしょ? って感じで説明を全部すっ飛ばされるとメアリースー感が高くなってしまいますし、この辺りがきちんとしている作者さんはすごいなーと思います。私みたいなうろ覚えにも優しい。

 コードギアスを知らない、知っていても聞きかじりだけみたいな人でも楽しめます。二次創作に抵抗ない人にはお勧めです。

 

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【小説紹介と雑談】『ダークファンタジー系海外小説の世界で人外に好かれる体質です』とダークファンタジーについて

生まれ変わった先は、人外魔境で有名なダークファンタジー小説の主人公でした。
せっかくのファンタジーだし、どうせなら原作みたくカッコいい魔法使いになりたい。
でも、一つだけ大きな問題がある。
それは、僕のヒロインが全員イカれた化け物ってことだ……

 

おすすめ度☆☆☆☆

(おすすめ度 指標

☆5つ 万人におすすめ出来る完成度が非常に高い小説

☆4つ 小説好きには勿論、殆どの層におすすめできる完成度の高い小説

☆3つ 少し癖があるものの小説好きにおすすめ 

の目安で付けています)

 

 気が付くとすぐ日が経っているので時間というのはあんまり優しくないなと思いつつ。今回の小説はファンタジー物ですね。まあタイトルにある通りなんですが。

 内容としてはゲームオブスローンズみたいながっつりとしたファンタジー世界に主人公として転生してしまい、困ったことに主人公は魔を引き付ける設定があるので何とか生き抜かなきゃって感じですね。

 さわりとしては主人公が知っている原作の話しが多めで、ダークファンタジーの設定な割に重さが足りないかな? って印象でしたが進むにつれてその軽快さは鳴りを潜め、だんだんとそのタイトルにふさわしいダークな感触に変わっていきました。

 その上で登場人物も魅力的で非常に面白く読んでいます。こういうファンタジー世界だとゲームでいう”ネームド”のようなモンスターやキャラクターを存在感ある感じで描写されるとやはりワクワクしますね。

 ところでダークファンタジーっていう括りなんですけど、ファンタジーにはいろいろあるものの実際のところファンタジーと聞いて科学がっつり魔法もがっつり世界は繁栄を極めている! なんて感じを想像する人は少ないと思います。それこそ文明が発達していない架空上の中世ヨーロッパに魔法を乗せた世界みたいなのがパッと考えるファンタジーなのではないでしょうか。

 そもそもそういう世界って普通に考えればならず者が横行していて治安は悪いはずです。少なくとも魔法という派手な武器があってモンスターみたいな人類の敵もいる設定だったらなおさらですよ。

 そんな世界だったら悲劇はごく当たり前に起きるわけで、リアルに考えると大体ダークファンタジーに行きついてしまうわけです。リアルはダーク。

 ファンタジーという言葉が拡大し続けてる現状、古来ならば神話、有名どころでは指輪物語などの本来ファンタジーと呼ばれてたこのジャンルがダークファンタジーとやハイファンタジー呼ばれるようになったのは中々面白い話だなーと思います。

 とまあ脱線しましたが入りは軽く、中に行くほど引き込まれて行く面白い小説です。そういうのが好きな人は読んでみてはどうでしょうか。

 

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